医学生、研修医の皆様へ
(初期研修・専攻医プログラムについて)

 全国的に産婦人科医の不足や産科医療崩壊の危機が社会問題となったのは記憶に新しいところですが、この間、当大学内および和歌山県内の産婦人科医の勤務環境の改善や女性医師の産休・育児中の支援体制の整備など、さまざまな努力を続けてきたこともあり、当大学においては、私が就任以後すでに10数名以上の若手産婦人科医師が入り、着実に増加しています。しかしながら、和歌山県内の全ての患者様が安心して安全な医療が受けられる体制を確立するためには、教室のさらなるマンパワーの増加は必須であり、県内外・全国から私たちの仲間に入ってくれる初期研修医および後期研修医(専攻医)を広く受け入れております。産婦人科は外科系でありチーム医療が非常に重要ですので、教室運営に関しては『チームワーク』や『和』を最も大切にしております。

 初期研修についてですが、本大学病院は総合周産期母子医療センターとして、重症妊産婦の母体搬送や新生児搬送を常時受け入れている一方、婦人科悪性腫瘍の手術症例も豊富であります。また地域の拠点病院としての役割も大きく、一般妊婦健診や正常分娩(分娩数は年間約600件)も多数扱っており、婦人科良性疾患の手術件数も多い(手術数は年間580-600件)という特色があります。従って産科、婦人科両分野においてプライマリーケアから高度先端医療までのすべてを満たした研修を行うことが可能であります。初期研修医であっても、教室のスタッフの一員として手術や外来診療に加わってもらい即戦力として実践的な指導をしています。また研修医にも産婦人科関連の学会発表も積極的におこなってもらっています。和歌山県立医科大学附属病院の初期研修医プログラムは、内科系・救急及び地域医療を必修科目とし、他の選択科目は希望に沿って自由に選択でき、自分自身でプログラミングできる非常に自由度の高いローテート方式を実施しています。また本学附属病院を管理型病院とし、県内の多くの公的病院が協力病院に加わっているため、研修医の希望を取り入れながら、常に地域公的基幹病院での研修(産婦人科を含む)も可能で、プライマリーケアの習得を質、量ともに充実させております。さらに2011年度より初期研修医産婦人科重点プログラムを設置し、希望者には2年間で最大で産婦人科を9ヶ月とNICUや麻酔科を重点的に研修できるプログラムもスタートさせました。初期研修医は1学年に60-70名と非常に多く、全国のマッチング数の順位では常にベスト10に入り、希望の科とともに救急・麻酔科の最前線を大学で学びながら、外病院で地域医療も楽しく研修できるところが人気の理由です。初期研修医の約半数は他大学出身者ですので、他府県・他大学からもウエルカムです。

 後期研修(産婦人科専攻医研修)に関しては、日本専門医機構の指針に沿った研修プログラムが2017年から開始される予定であり、和歌山県では当大学が基幹施設となり、当大学を中心に連携施設群(約10施設)を加えた包括的なプログラムが開始されますが、現在すでに同様の研修が受けられます(詳細は、本ホームページ内の 和歌山県立医科大学産科婦人科専門研修プログラム を参照ください)。卒後6年目で産婦人科の専門医を取得するまでの専攻医教育は極めて重要であり、本学では総合周産期母子医療センターにおける正常および異常分娩や産科重症例の研修、婦人科分野では良性・悪性を含む婦人科腫瘍の研修を重点的におこない、3年間の中で、さらに生殖医療分野や女性のヘルスケア分野、特色ある鏡視下手術などを連携型病院で研修できるシステムを実施しています。専攻医研修では、全ての診療に関してマンツーマンで必ず上級医と行動を共にし、基本をしっかりマスターできるように指導していますので、初期研修を他の病院でおこなったり、初期研修中に産婦人科を選択しなかった方でも安心して修練できるシステムを確立しています。また、専攻医の早い時期から多数の手術執刀症例を担当し、研鑽を積むことができます。早い時期から本格的な研究を希望する専攻医には、専攻医研修中に大学院に入学し、研究と並行することも可能です。産婦人科専門医取得後は、本人の希望に沿って、大学病院または関連病院で勤務しますが、その後は、本人の特徴を活かして周産期、腫瘍、生殖の3分野の中からサブスペシャリティーを選択してもらい、必要に応じて学外での修練も含めて、各々の学会の専門医や指導医を取得してその分野の臨床面及び研究面におけるエキスパートを輩出できるよう指導しています。

 当大学の初期研修医プログラム、専攻医(後期研修医)の産婦人科専門研修プログラムでの研修を希望される方、興味のある方、見学を希望される方は、いつでも気軽に連絡していただければ、迅速に対応いたします。



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