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産 科 【 胎児発育不全(FGR) 】

胎児発育不全(FGR)とは

 胎児発育不全FGRとは、何らかの理由で子宮内での胎児の発育が遅延あるいは停止したために、在胎週数に相当した胎児の発育が見られない状態をいいます。
 FGRの診断基準は、胎児体重基準値を用いて、基準範囲からのずれの程度(-1.5SD値以下)を目安に診断します。ただし、胎児の体重計測はあくまでも超音波計測による推定体重であるため、その測定方法や検査をする術者、胎児の向きなどによっては測定誤差が生じます。その他の所見(羊水過少の有無、胎児の腹囲、胎盤や臍帯の位置など)や経時的変化の検討から、総合的にFGRの臨床診断を行うことが推奨されています。

原因

 原因としては、母体要因、胎児要因、胎盤・臍帯因子などがあり、それらの複数の要因が絡み合って、赤ちゃんの発育が不良になっていると考えられています。母体要因としては、母体疾患やタバコによるものなどがあります。原因を取り除くことが出来れば良いですが、原因不明のことも少なくありません。治療のしようがない場合や、原因が分かっても胎内では治療が出来ないことも多くあります。

治療方法

 原因を取り除く以外にはっきりした治療法はありません。唯一安静に過ごすことは効果が認められています。母体管理、治療のために入院して経過を見ていく場合も多くあります。

分娩方法

 分娩時期はFGRの重症度と早産による未熟性とのバランスとで決定されます。自然分娩に耐えられる体力が胎児にないと考えられるときは、胎児に負担の少ない帝王切開で分娩する場合が多くあります。

最後に

 FGRは慎重な管理が必要になります。
 FGRは胎児の予備能力が決定的に低下する前に予測し、適切な分娩時期を決定することが大切です。外来などで「赤ちゃんが少し小さいようです」と言われたときには基準値内での小ささなのか、そうでないのかを確認する必要があります。状況に応じては新生児集中治療室(NICU)を併用する高次治療施設での妊娠管理が必要になります。



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