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教授挨拶  井箟一彦(Kazuhiko INO)

井箟一彦 私たちのホームページへアクセスして下さり、ありがとうございます。
私は2010年4月より和歌山県立医科大学産科婦人科学講座の教授を務めさせていただいております井箟(いのう)一彦と申します。産科婦人科学講座を代表して当教室の特色や診療、教育、研究の内容を紹介させていただきます。

和歌山県立医科大学産科婦人科学教室は本学が医科大学となった昭和23年に設置され、以後60年以上にわたる伝統と業績をこれまで多くの諸先輩が築き上げてきました。今後も、県内唯一の大学病院として常に和歌山県の地域医療に第一に貢献し、安全で信頼される最高レベルの産婦人科医療を提供すること、また同時に県内唯一の医学部として学生教育や次世代の人材育成、さらには世界に発信できるような産婦人科分野の医学研究の促進にも全力を注いでゆく所存であります。
本ページをご覧になられた患者様が少しでも私たちの診療内容を知っていただき、安心して受診していただけるように、また若い医師や医学生の皆さんがこのホームページを見て私たちの仲間に加わって共に診療や研究ができるきっかけになってくだされば幸いであります。


  • 患者さまへ(診療について)

     診療面では、『県内でお産難民、がん難民をつくらない』をモットーとして、県内唯一の大学病院として地域の患者様に安心して受診していただき、且つ最高レベルの産婦人科医療を常に安全に提供できるよう、スタッフ一同努力しております。重症から軽症まで全ての患者様に医学的根拠に基づいた医療(EBM)のインフォームドコンセントを徹底し、患者-医師間の信頼関係を大切にしています。

    産科では和歌山県内では唯一の『総合周産期母子医療センター』の指定を受けており、母体胎児集中治療室(MFICU)および新生児集中治療室(NICU)を併設し、妊娠30週未満の早産、ハイリスクな合併症・基礎疾患を有する妊娠、分娩時の大量出血や産科救急疾患などあらゆる母体搬送、新生児搬送に小児科と協力して24時間体制で対応しています。遠方からの緊急搬送の依頼に対しては、当科の医師が同乗してドクターヘリによる母体搬送もおこなっています。常に2人の産科医が夜間休日にも院内に常駐し、超緊急帝王切開にも対応可能な体制を麻酔科の協力のもと整えています。県内のお産を扱う病院の減少もあり、分娩数は年々増加傾向で年間600を越えていますが、地域の要請に答えるため県内にお住まいの方の正常分娩も可能な限り受け入れるようにしています。

    診療のもう1つの柱は婦人科がんの治療です。当院は県のがん診療連携拠点病院に認定されており、婦人科においても和歌山県のがんセンター的役割を果たしています。受診された全ての婦人科がんの患者様の受け入れ可能な体制を婦人科腫瘍専門医3人を中心に整えています。私(井箟)の専門分野も婦人科腫瘍の手術と治療であり、婦人科がんの患者様の紹介やセカンドオピニオンを広く受け入れております。子宮頸がんに関しては広汎子宮全摘手術の症例も多く、安全確実でかつ手術後の患者様のQOL(生活の質)の高い術式を確立しております。また手術をしないで放射線と抗がん剤を同時に投与する同時化学放射線療法も放射線科と連携を密にしておこなっており、良好な治療成績を得ています。最近では若い子宮頸がんの患者様の受診が増加しており、初期がんや前がん病変に対しては子宮を温存するレーザー円錐切除を多数おこなっています。子宮体がんや卵巣がんに対する根治手術や抗がん剤の化学療法も多数施行しています。がんの疑われる患者様には最新のPET/CT検査を迅速に施行し、手術や治療開始までの待ち時間を極力短くするよう努力しております。一方がん以外の良性婦人科疾患(卵巣嚢腫、子宮筋腫、子宮内膜症など)に対する腹腔鏡手術や子宮鏡下手術、子宮脱に対する根治手術なども積極的におこなっています。


    最後に、私(井箟)は胞状奇胎妊娠や胎盤の細胞から発生する悪性腫瘍である絨毛がんなどの絨毛性疾患全般の管理や治療のエキスパートとして多数の症例を経験し、国内におけるこの疾患の診療ガイドラインの整備を行ってきました。胞状奇胎、侵入奇胎、絨毛がんの疑いがあるといわれた患者様や他院でこれらの病気の治療中で、ご心配や不安のある方はぜひ受診してご相談ください。

  • 医学生、研修医の皆様へ (初期研修・専攻医プログラムについて)

     全国的に産婦人科医の不足や産科医療崩壊の危機が社会問題となったのは記憶に新しいところですが、この間、当大学内および和歌山県内の産婦人科医の勤務環境の改善や女性医師の産休・育児中の支援体制の整備など、さまざまな努力を続けてきたこともあり、当大学においては、私が就任以後すでに10数名以上の若手産婦人科医師が入り、着実に増加しています。しかしながら、和歌山県内の全ての患者様が安心して安全な医療が受けられる体制を確立するためには、教室のさらなるマンパワーの増加は必須であり、県内外・全国から私たちの仲間に入ってくれる初期研修医および後期研修医(専攻医)を広く受け入れております。産婦人科は外科系でありチーム医療が非常に重要ですので、教室運営に関しては『チームワーク』や『和』を最も大切にしております。

    初期研修についてですが、本大学病院は総合周産期母子医療センターとして、重症妊産婦の母体搬送や新生児搬送を常時受け入れている一方、婦人科悪性腫瘍の手術症例も豊富であります。また地域の拠点病院としての役割も大きく、一般妊婦健診や正常分娩も多数扱っており、婦人科良性疾患の手術件数も多いという特色があります。従って産科、婦人科両分野においてプライマリーケアから高度先端医療までのすべてを満たした研修を行うことが可能であります。初期研修医であっても、教室のスタッフの一員として手術や外来診療に加わってもらい即戦力として実践的な指導をしています。また研修医にも産婦人科関連の学会発表も積極的におこなってもらっています。和歌山県立医科大学附属病院の初期研修医プログラムは、内科系・救急及び地域医療を必修科目とし、他の選択科目は希望に沿って自由に選択でき、自分自身でプログラミングできる非常に自由度の高いローテート方式を実施しています。また本学附属病院を管理型病院とし、県内の多くの公的病院が協力病院に加わっているため、研修医の希望を取り入れながら、常に地域公的基幹病院での研修(産婦人科を含む)も可能で、プライマリーケアの習得を質、量ともに充実させております。さらに2011年度より初期研修医産婦人科重点プログラムを設置し、希望者には2年間で最大で産婦人科を9ヶ月とNICUや麻酔科を重点的に研修できるプログラムもスタートさせました。初期研修医は1学年に60-70名と非常に多く、全国のマッチング数の順位では常にベスト10に入り、希望の科とともに救急・麻酔科の最前線を大学で学びながら、外病院で地域医療も楽しく研修できるところが人気の理由です。初期研修医の約半数は他大学出身者ですので、他府県・他大学からもウエルカムです。

    後期研修(産婦人科専攻医研修)に関しては、日本専門医機構の指針に沿った研修プログラムが2017年から開始される予定であり、和歌山県では当大学が基幹施設となり、当大学を中心に連携施設群(約10施設)を加えた包括的なプログラムが開始されますが、現在すでに同様の研修が受けられます(詳細は、本ホームページ内の和歌山県立医科大学産科婦人科専門研修プログラムを参照ください)。卒後6年目で産婦人科の専門医を取得するまでの専攻医教育は極めて重要であり、本学では総合周産期母子医療センターにおける正常および異常分娩や産科重症例の研修、婦人科分野では良性・悪性を含む婦人科腫瘍の研修を重点的におこない、3年間の中で、さらに生殖医療分野や女性のヘルスケア分野、特色ある鏡視下手術などを連携型病院で研修できるシステムを実施しています。専攻医研修では、全ての診療に関してマンツーマンで必ず上級医と行動を共にし、基本をしっかりマスターできるように指導していますので、初期研修を他の病院でおこなったり、初期研修中に産婦人科を選択しなかった方でも安心して修練できるシステムを確立しています。また、専攻医の早い時期から多数の手術執刀症例を担当し、研鑽を積むことができます。早い時期から本格的な研究を希望する専攻医には、専攻医研修中に大学院に入学し、研究と並行することも可能です。産婦人科専門医取得後は、本人の希望に沿って、大学病院または関連病院で勤務しますが、その後は、本人の特徴を活かして周産期、腫瘍、生殖の3分野の中からサブスペシャリティーを選択してもらい、必要に応じて学外での修練も含めて、各々の学会の専門医や指導医を取得してその分野の臨床面及び研究面におけるエキスパートを輩出できるよう指導しています。


     当大学の初期研修医プログラム、専攻医(後期研修医)の産婦人科専門研修プログラムでの研修を希望される方、興味のある方、見学を希望される方は、いつでも気軽に連絡していただければ、迅速に対応いたします。

  • 大学院生、研究を目指す皆様へ(研究について)

     大学病院は、診療面で現在の最先端医療を地域に提供するのみでなく、5年先10年先の新しい治療法を研究、開発することも重要な責務であります。そのためには、
    (1)診療と平行してリサーチもおこなえる人材の育成
    (2)臨床の現場に視点を置いたトランスレーショナルリサーチの推進
    の2点が重要であると考えております。

    優れた医師とは、診療で疑問に思った時、治療法の選択に迷った時に自ら考えて解決する能力を備えた医師であり、このような能力を育成していくには、一定期間、大学や研究施設(国内外の留学を含む)で基礎研究や臨床研究をおこなって、科学的に医学を考える力を身につけることが必要であります。若い医師の皆様には、ぜひ大学院生や研究生として臨床に直結する医学研究をする機会を持つことを推奨します。当大学においては、大学院生であれば一定期間(通常2年間)は臨床の業務から離れ、研究に没頭することも可能であり、ハイレベルの医学論文を作成したり、医学博士の学位を取得する近道にもなります。また将来、本学教室や他大学の指導者になる夢をもってもらいたいと思います。大学院生でなくても臨床研究の題材は多く、医学博士取得も可能です。現在、学内の複数の基礎医学教室や学外の研究施設とコラボレーションを強化していますが、今後も共同研究を多くの施設と展開していきます。

    本教室の主な研究テーマは、 (1)婦人科癌の腫瘍免疫システムの解明と新たな免疫療法、分子標的治療の開発
    (2)卵巣癌の腫瘍微小環境におけるケモカインの機能解析と腹膜播種の分子機構の解明
    (3)胎盤トロホブラストにおけるストレス応答、分子シャペロンの機能解析
    (4)胎児発育不全、妊娠高血圧症候群の診断・治療法の開発
    (5)子宮内膜症の進展メカニズムの研究
    その他にも多くの研究テーマを推進しています。

    当教室における人材育成のモットーとして、 (1)高い医療倫理観
    (2)チーム医療を遂行できる協調性
    (3)研究を立案し実行できるリサーチマインド
    以上3点を有するような優れた医療人を育てていきたいと考えております。


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