学長挨拶

本日はご多忙の中、和歌山県立医科大学教育GP採択記念フォーラムにご参加いただきまして、心から感謝申し上げます。また平素から皆様方には本学教育の振興にご理解ご協力を賜り、この場を借りて厚くお礼申し上げます。

さて、和歌山県は世界で初めて全身麻酔による乳がん摘出手術に成功いたしました医聖、華岡青洲先生を輩出した地であり、華岡先生は外科的治療と手術に伴う痛みの管理、すなわち、医療の真髄とも言えるキュアとケアを世界で初めて同時に実践された医聖であります。本学はこの華岡先生の精神に学び、医療技術は言うまでもなく、包括的全人的医療人の育成を目的として昭和20年、和歌山県医学専門学校として地域医療の中核的役割を果たすべく誕生し、以来、県民の皆様方に信頼され、愛される大学の創造に取り組んで参りました。 本学の教育目標は、医師、看護師、および保健師という専門職としての高度な医学、保健看護学の技術と知識を習得させるばかりではなく、医療人としての人間性の寛容を図ることを重視しております。そして、人間性を尊重し、全人的理解と信頼関係を築く優れたコミュニケーション能力を育成し、キュアとケアを備えた人間性豊かな医療人を育成することにあります。

こうした中、本年4月1日から本学が公立大学法人として新たなスタートを切り、より民間的な手法をとり入れた、機動性のある大学運営に取り組んでおります。また、本学では法人化を契機として個性輝く魅力溢れる大学の創造に向け、幾多のプロジェクトを展開しているところであります。その一例としましては、4月に教育についての一貫した研究、開発、実践が可能となるように教育開発研究センターを設置し、本学の教育活動の円滑な推進とさらなる改善を図っております。 また、7月には産官学連携推進本部を設立し、県民の皆様の健康増進、地域産業振興など医学保健看護学における社会貢献への一層の寄与を目的として、健康増進癒しの科学センターと先進医療開発センターを設置いたしました。この健康増進癒しの科学センターにおいては、世界初の観光医学講座を開講し、人類の健康文化に貢献できる医学、医療の創造に取り組んでいるところであります。このように、今後もさらに地域に密着した、開かれた大学として地域の医学医療の中心的役割を担っていく所存であります。また、このような時期に、文部科学省の平成18年度大学教育改革支援プログラムにおきまして、医学部の取り組みが特色ある大学教育支援プログラムに、そして、保健看護学部の取り組みが現代的教育ニーズにおける支援プログラムにおいて、両学部とも高い評価を頂まして採択されましたことは本学の教職員、学生ともに大きな喜びとするところであります。 本日、ご出席いただきましたご来賓、県内の高等学校等教育関係者の皆様、そして学生実習にご協力いただいております関係各位、そして、県民の皆様方には本学の取り組みと活動にご理解いただき、今後ともより一層のご指導とご支援をいただきますことをお願いいたしまして、ご挨拶と代えさせていただきます。

平成18年10月31日


公立大学法人 和歌山県立医科大学 学長 南 條 輝志男