神経精神医学講座
教室概要
神経精神医学教室の淵源は昭和20年に創設され、23年学制改革により廃止された和歌山県立医学専門学校にある。医科大学への昇格に伴い、初代 木村潔より数えて、鵜飼聡は第六代目になり、前任の篠崎和弘の跡を受けて平成29年5月より教室を主宰している。現在の教室構成員は教授の他、准教授、講師、助教、学内助教、大学院生等により成り、診療・研究・教育活動に従事している。
精神科のプライマリーケアから高度の専門的医療サービスの提供まで、日本精神神経学会精神科専門医制度研修施設として広範囲な領域を担当しているが、和歌山市とその周辺において精神科診療所が増加したこと、附属病院は特定機能病院であることなどから、かかりつけ医との病状に応じた役割の分担・連携を進め、医大でなければできない専門性の高い医療の提供に重点を置きつつある。現在、てんかん外来、認知症疾患医療センター、うつ病の復職支援プログラム、緩和ケア医療チームへの参加、他科との密接な連携(コンサルテーション・リエゾン)、電気けいれん療法、クロザリル療法(難治性統合失調症を対象)、反復経頭蓋磁気刺激治療(現在休止中、再開予定)などの専門的な診療を実践している。
同門会(清新会)会員は約100名で、大阪府下の一部を含む、和歌山県全域の地域精神科医療の役割を担っている。
教育概要
医学生、大学院生(修士課程・博士課程)、前期研修、後期研修に対する教育活動を行っている。
医学生に対する一般学習目標
生物・心理社会・倫理的医療モデルとして全人的医療を実践している精神医学のあり方を学習し、精神と行動の障害に関する病態生理、診断治療を理解し、良好な患者と医師の信頼関係をもとに医師が患者の問題解決と援助できることは何かを学ぶ。
修士課程に対する教育概要
精神医学は脳とこころと行動の科学として、高次認知機能障害、精神疾患、さらには行動の障害にまで研究と治療の対象を広げ、生物・心理・社会モデルとして包括的な治療法を開発しつつある。
講義では診断体系、治療論(心理療法、薬物療法、身体療法、リハビリテーション)をエビデンスに触れながら理解を深める。とくに気分障害ついては、うつ病の復職支援プログラムのエビデンス、経頭蓋磁気刺激療法・電気けいれん療法の抗うつ効果の臨床研究について重点的に講義をおこない、研究課題とする。
大学院博士課程の研究内容
- 脳構造画像を用いた気分障害の病態研究
- 認知行動療法によるうつ病の復職支援プログラムの有効性の検討
- 統合失調症における認知機能障害とω-3脂肪酸の関連の脳構造画像を用いた研究
- 脳構造画像を用いたてんかん精神病の発病メカニズムの研究
前期臨床研修での目標
卒前実習で修得した基本となる臨床医学的実践に加え、精神と行動の障害に対し、さらに臨床に即した精神疾患の病態生理、診断、治療を、生物・心理・社会・倫理的な立場から有機的に理解し、良好な患者と医師の信頼関係に基づいたより高度な全人的医療の実践を学ぶ。
具体的には、主要な精神疾患・精神状態像、特に研修医が将来、各科の日常診療で遭遇する機会の多いものの診療を、指導医とともに経験し理解する。また必要な場合には、適時精神科への診察依頼の判断が行えるようになる。
後期臨床研修での目標
- 臨床能力を取得
- 一般臨床医を踏まえた精神科専門医を目指す
- 精神保健指定医、日本精神神経学会専門医の取得
- 個別に対応したカリキュラム
- 各自の目標に合わせた研修
- 先端の研究に参画
- 研究活動に参加
- 大学院進学、学位取得、国内外の留学
スタッフ紹介(2021年4月現在)
教授 | |
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准教授 | 辻 富基美 |
講師 | 高橋 隼 |
助教 | 山本眞弘、山田信一、奥平和也、上西優介、喜多 彬 |
学内助教 | 小川伊勢、田畑倫代、奥平この実、 石山雄大、福島嵩士、持田沙織 |
臨床教授 | |
臨床准教授 | 糸川秀彰、森田佳寛、小瀬朝海 |
非常勤講師 | 篠崎和弘、宮西照夫、志波 充、郭 哲次、森田佳寛、小瀬朝海 |
博士研究員 | 東 芳史、北内信太郎、上山栄子、正山 勝、山本 朗、岩谷 潤、 坂本友香、石田卓也、里神和美、大星裕司、津田久美、武用桃子 |
大学院生 | 上西真也、玉置敦之、安田香澄、田畑倫代、池田奈津子、田崎史江 |
大学院研究生 | 橋本忠浩、松岡 円、坂本裕司、篠田 晋、山野井亮太、小池なお美、 寺田 翔、北畑雄大、舩井翔平、平田真之将、東 隼也、木下恵利加、 藤林 舞、下間裕介、魚谷和史 |
研究活動・業績
研究概要
主要な研究内容は以下のとおりである。気分障害については、ヒトの脳で神経伝導速度を調整する役割を担うミエリンの性状を評価できるMRIの解析法を用いて、灰白質・白質領域の変化と認知機能障害の関連を検討している。統合失調症については、ω-3脂肪酸と認知機能、社会機能との関連を脳構造画像の変化を含めて検討している。また、認知行動療法によるうつ病の復職プログラムの再発予防効果の科学的エビデンスの研究、うつ病に対する反復経頭蓋磁気刺激治療の有効性と作用機作の研究、てんかん精神病の病態研究などを行っている。
関連リンク
- 和歌山県立医科大学附属病院 神経精神科のページはこちら
- 神経精神医学講座のホームページはこちら
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