和歌山県立医科大学脳神経外科教室和歌山県立医科大学脳神経外科教室

診療の特色

機能的脳神経外科

■ けいれん、三叉神経痛に対する治療

 半側顔面けいれん(hemifacial spasm)と三叉神経痛(trigeminal neuralgia)はどちらも神経を血管が圧迫して起こる病気でありこれらの疾患は神経血管症候群(neuro-vascular syndrome)と総称されています。神経血管症候群の根本治療は脳神経を圧迫している血管を神経から剥離する、微小神経血管減荷術(micro-vascular decompression)です。

■ 半側顔面けいれん

 片側の顔面の筋肉がピクピクと痙攣を起こす病気です。多くは中年以降に発症し、まず眼瞼周囲の眼輪筋にけいれんが起こります。徐々に進行し、口周囲の口輪筋にもけいれんが及ぶようになります。このために片方の顔面が常にひきつったようになり、ひどい場合は目を開けられない程のこともあります。緊張したときに起こりやすいので人前に行くのがいやになったり、けいれんが不快でノイローゼになったりする人もいます。診断は容易ですが、一般医では見過ごされる場合もあるので脳外科の専門医を受診して下さい。自然経過や薬物治療で治ることは残念ながらあまり期待できません。根治治療は神経血管減圧術という開頭手術です。手術を希望されない場合や全身麻酔のリスクが高く手術ができない場合はボツリヌス治療があります。

■ 神経血管減圧術

 顔面神経(facial nerve)または三叉神経はともに脳神経といわれ、脳幹から出ています。その近傍にある血管がたまたまそれらの神経に接触し圧迫を加えることが半側顔面痙攣または三叉神経痛の原因です。したがって治療は開頭し、顔面神経または三叉神経を圧迫している血管を神経から引き離して圧迫を解除することです。

■ 三叉神経痛

耐え難いほどの激しい痛みが顔面に起こる病気です。多くは中年以降に発症します。痛みは片側の顔面の頬部に起こることが多いですが、顎、額に起こることもあります。いつも決まった部位に瞬間的に激しい痛みが繰り返し起こります。また、歯茎などの口腔内や顔面のどこか一定の部位に触れると激しい痛みが誘発されます。このような部位を誘発点(trigger point)といい、三叉神経痛の特徴です。歯磨きや洗面、食事や会話といった日常生活動作で痛みが誘発されるので、患者さんはかなりの苦痛です。痛みの性質を問診で聴取すれば診断をつけることができますが、MRIなどで三叉神経を血管が圧迫していることを確認すれば確実です。口腔内や副鼻腔の病気から顔面の痛みが起こることもありますがこの場合の痛みは持続的なので三叉神経痛から除外されます。
治療はテグレトールという抗痙攣薬が有効なのでまず薬物治療を行います。何らかの理由で薬が飲めない場合や薬だけでは不十分な場合に神経血管減圧術が行われます。

 

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