和歌山県立医科大学 血液内科

入局案内

−血液内科の魅力−

血液内科のホームページにようこそ.若い皆さんに血液内科の魅力を伝え,志のある血液内科医を育てることは大学病院の血液内科を標榜する私たちの最も重要な使命です.入局案内を書くにあたり,血液内科の魅力を考えてみました.特に三つの魅力を紹介したいと思います.

1,研究と臨床の垣根が低い.

臨床の知見が新しい研究の土台となり研究の成果が臨床に還元されることは,臨床医学の発展に不可欠です.血液内科の大きな魅力の一つは研究と臨床の垣根が低いことでしょう.例えば同種造血幹細胞移植において,移植された他人の免疫担当細胞は宿主組織を攻撃する「移植片宿主病(Graft Versus Host Disease: GVHD)」といったマイナスの側面を引き起こしますが,一方で,腫瘍細胞の制御に関わっている「移植片腫瘍効果(Graft Versus Leukemia/Lymphoma:GVL効果)」といったプラスの側面に関与していることが判明しました.この臨床的知見はGVHDを少なくしGVL効果を最大限に引き出すためにはどうすべきか,という研究分野の土台となっています.一方,腫瘍細胞発生を分子レベルで解明する研究は,腫瘍細胞を特異的に傷害する分子標的治療の開発へとつながっています.実際に,基礎的な研究によってもたらされ革新的な治療戦略が多くの患者さんに福音を与えているのです.このほかにも,血液疾患を扱う臨床研究者たちは,「幹細胞の同定と維持」「再生医療」「がん細胞発生・拡大の機構」「自己・非自己を認識する免疫機構」「血栓形成の機構と制御」といった種々の医学分野に共通する根本的な問題に新しい知見を与え続けています.私たちの教室は,「がん細胞の免疫監視機構からのエスケープ現象」,「染色体転座点の解析によるがん細胞の発生機構」,「安全な造血幹細胞移植の開発」を研究のメインテーマとしています.中熊教授の部屋の扉には「書かれている医学は過去の医学であり,目の前の患者さんに明日の医学がある」「流行を追うな,流行を作れ」という言葉が掲げられています.このような教授の指導のもと,いずれの研究テーマにおいても患者さんを丹念に診療し記載することを研究の出発点とし,小さくてもピリッとする研究を展開しています.血液内科は患者さんを丹念に診て,研究志向を持ったみなさんが大活躍できるフィールドです.

TOPに戻る

2,全身(心身両面)に目配り・気配りのきく医者になれる.

一部の造血器疾患(特に急性白血病)は急激に容態が悪化し,メディカルエマージェンシーの一つです.全身をくまなく流れる血液の障害は全身の症状を起こします.抗がん剤,免疫抑制剤による治療は各種臓器にダメージを与え,多種の臓器障害の原因となります.ですから,血液疾患の患者さんを診療することは全身を注意深く観察する訓練になります.また,抗がん剤や抗生剤の使用法に習熟することができるようになります.一方,造血器腫瘍の患者さん達は,突然の病魔を告げられそのまま長期の入院になることもしばしばです.入院後に始まる抗がん剤治療・抗生剤治療・大量輸血といった集学的治療や無菌室での束縛された生活・繰り返す長い入院治療といった生活上のストレスは患者さんやその家族に精神的なダメージをもたらします.患者さんに長く付き合うことで,その気持ちをくみとることの大切さを学ぶことができます.このような幾多の身体的問題・精神的問題を乗り越え退院を迎えたあかつきに,患者さんと喜びを分かち合えることは医師として大きな達成感を味わえるでしょう.一方で,病状の進行によって亡くなる患者さんもいらっしゃいます.その時点での医療の限界を判断し命の尊厳を保つ医療はどのようなものか,ガンの終末期医療はどうあるべきか,といった事柄を考えるきっかけになるでしょう.血液内科は,患者さんの全体を心身両面からサポートしたいと考えるみなさんを待っているのです.

TOPに戻る

3,チーム医療を学べる.

同種造血幹細胞移植は,患者さんにとっても医療者にとっても負担の大きい治療です.満足のいく同種造血幹細胞移植を行うには,医師(他科を含めて)・看護師・薬剤師・輸血担当検査技師・理学療法士・臨床心理士・病院事務といった各職種の皆が連携して協力することが重要です.当科では同種造血幹細胞移植を予定している患者さんについて,定期的に多職種間でのカンファレンスをおこなっています.このカンファレンスで,他人の意見を聞く姿勢や,自分の意見を他人にうまく伝える技術を学ぶことができます.今後も医療が高度に専門化・複雑化していく中で,他職種からなるチームの士気を高め,うまくまとめていく力はどのような診療科でも必要です.血液内科で働くことによって「チーム医療」の重要性を実感することができます.



血液内科に少しでも興味のある方,どうぞお気軽に私までご連絡下さい. 和歌山は自然が豊かな上に,海の幸・山の幸がたくさんあってよいところです.我々とともに和歌山の血液疾患診療を発展させ,日本全国や世界に情報を発信していきましょう.

TOPに戻る

連絡先

〒641-8509

和歌山市紀三井寺811番地1

和歌山県立医科大学 血液内科

医局長 西川彰則

TEL: 073-441-0665 FAX: 073-441-0653

E-mail: ketunai@wakayama-med.ac.jp

TOPに戻る