ケアマインドについて

緩和医療の分野で実績を積み重ねてきた和歌山県立医科大学

和歌山が生んだ華岡青洲 和歌山県が生んだ医聖  華岡青洲
和歌山県が生んだ医聖 
華岡青洲
和歌山県が輩出した医聖・華岡青洲は、200年前に朝鮮朝顔を主成分とする麻酔薬をつくり、世界初の全身麻酔による乳がん摘出手術に成功した。「麻酔」という概念すらなかった時代に、外科的治療と手術に伴う痛みを管理し、治療(キュア)とケアを同時に行ったのである。その先進的で全人的医療を志す医療文化は、和歌山県立医科大学の教育理念として今日まで受け継がれており、朝鮮朝顔は本学の学章のモチーフにもなっている。

ケアマインドをもった医療人の育成

医療は"治療(Cure)"と"ケア(Care)"から成り立っている。しかし、今までの日本の医療は「治療」することに価値があり、医学教育も治療中心で、ケアに対する取り組みが少なかったのが現状である。
和歌山県立医科大学は、医学の知識や技術の習得に加え、医師としての人間的涵養を図り、「ケアマインド」を併せもった医療人を育成することに力を入れてきた。ケアマインドを重視した教育では単に患者さんの心を教えるのではなく、体験し考えさせる工夫をしている。

緩和ケア病棟実習
患者さんの心の問題を理解するには、患者さんから学ぶことが最も有効であるという観点から、1999年に国公立大学としては初めて緩和ケア病棟を設置し、学生実習を行っている。学生や研修医が患者さんと直接に会話するなかから、患者さんの身体的、精神的、社会的およびスピリチュアルな疼痛を理解する、

http://www.wakayama-med.ac.jp/med/GPigaku/clinical/index/index.html

医療問題ロールプレイ
現代の医療あるいは医療体制の問題点を自ら探り、「医療のあるべき姿」をえがき、発表する。テーマ、シナリオ作成、監督、演劇、音響、照明、ポスター制作など、すべてが学生による手作りで行われる。毎年、5年生が臨床実習の始まる前の段階で取り組んでいる。シナリオ作成にあたって医療関係者に相談しない、発表まで教員が関与しないことで、学生自身が自らのケアマインドを培うことによって、よき医療人となる動機付けと疑似体験が得られる。

http://www.wakayama-med.ac.jp/med/GPigaku/role-playing/index/index.html

地域医療マインド教育
高度先端医療から在宅医療までのさまざまな医療を学生に体験させ、考察させて、地域医療の再生をめざす。老人福祉施設・保育所・障害者施設・地域病院での実習を1年生から6年生まで連続的カリキュラムとして構築している。

http://www.wakayama-med.ac.jp/gakuseiGP/index.html

観光医学講座
観光医学講座を全国に先駆けて設立、健康と観光を統合したヘルス・ツーリズムを実行している。糖尿病・パーキンソン病・乳がんなどの患者さんのツアーに学生が随行し、24時間の介助体験のなかで患者さんの生活や心に触れる。

http://www.wakayama-med.ac.jp/sankangaku/center_01_02.html

国公立大学で初めて緩和ケア病棟を創設

日本では、1981年に初めて聖隷三方原病院、つづいて淀川キリスト教病院に緩和ケア病棟がつくられた。これらはキリスト教をベースにした病棟であり、国公立大学の付属病院ではスピリチュアルなケアが難しいという面があった。和歌山県立医科大学では「ケアマインド教育」を進めるなかで、1999年に国公立大学の付属病院としては初めて緩和ケア病棟を創設した。5年次から6年次にかけての学生実習では全員が緩和ケア病棟での臨床実習を実施しており、緩和ケア実習を終えた学生の多くは、患者さんから学び、感じ取るこることができたという感想を提出している。

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