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2008年12月12日

終末期医療のあり方を考える −意識調査から浮かび上がる問題点−

終末期医療のあり方については、厚生労働省が昭和62年以降概ね5年おきに検討会を開催し、その都度報告書をとりまとめている。第2回(平成5年)からは意識調査を実施し、その時々の調査結果や日本人の死生観、倫理観等を踏まえて検討を重ねてきた。
今回平成20年3月に実施された意識調査の結果が10月27日に「終末期医療のあり方に関する懇談会」の初会合で資料として配布された。
医療従事者に対する調査の結果の一部を紹介する。
平成10年、平成15年の意識調査の結果との対比のもとに検討すべき点が浮かび上がってきた。
厚生労働省の終末期医療に関する調査等検討会資料詳細はこちら>>
がん疼痛治療法とその説明
問1

「WHO方式癌疼痛治療法」について、医師・看護職員において『内容をよく知っている』と答えた割合は増えたものの、『あることを知っている』『内容をある程度知っている』を含めて『知っている』と答えた総数の割合は減少している。介護施設職員については平成15年との比較に限定されるが、やはり『知っている』と答えた割合が減少している。

問

モルヒネの有効性と副作用について患者にわかりやすく具体的に説明することができる医師や看護職員の割合も減少しており、介護施設職員の68%が説明できない状況にある。ただし、この結果については、調査の対象となった緩和ケア病棟に勤務する看護職員の数が、平成10年の調査に比べて5分の1程度になっていることに留意する必要がある。

平成10年と20年を比較しても、意識の変化が少ないという結果が出たこと、これも気になる点である。5年経過時、10年経過時と意識変化に大きな差がないということは広く周知していく方策を検討する必要がある。

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終末期医療体制の充実

問

適切な終末期医療の普及のために今後充実していくべき点として、医師、看護職員、介護施設職員は、共通して、「在宅終末期医療が行える体制づくり」、「患者・入所者、家族への相談体制の充実」、「終末期医療従事者数の確保」、「緩和ケア病棟の設置と拡充」、「医療従事者や、介護施設職員に対する、教育、研修の充実」を挙げている。

特に「終末期医療従事者数の確保」、「医療従事者や、介護施設職員に対する、教育、研修の充実」を挙げる割合は医師・看護職員・介護施設職員ともに増加しており、終末期医療従事者数の確保の必要性が明らかとなった。

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