全身を診れる医者になりたい、急性疾患に対応出来る力をつけたいと思い救急に入局し、はや10年が経ちました。現在、集中治療、内科救急を中心に診療にあたっています。幸いこれまでいろんな経験をさせていただき、迷いながらも自分で選択しながら目標を持ってやってこれていると思っています。
私は、救急、集中治療を離れ、内科、消化器内視鏡の勉強を公立那賀病院で2年程度行いましたが、その内容を紹介させていただきます。
救急診療では目まぐるしく患者の状態が変化していきます。私自身、救命のために全力を尽くすことの楽しさ、やりがいを感じていました。しかし、必ずしもいいことばかりではなく、重症疾患に対する治療後には様々な問題が起き、患者、家族の思いは様々で、一番患者にとっていい治療ができているのか、悩むことが多くなってきました。時には、どこかで迎えるであろう最期の時間をどのように作っていくのか、本人はどのように最期を迎えることを望んでいたのか、命を救うことだけが救急としての仕事ではないと強く感じるようになりました。
自分にスキルが足りないことは当然ですが、急性期を全力で治療した患者がその後どうなっていくのか、また近年併存疾患を多数もっている患者さんが増えていますが、そう言った方々の人生においてどう付き合っていくのか、勉強したくなりました。
そこで、自分が課題としてあげたのは、患者を最後までみること、内視鏡というスキルを身につけることでした。
研修先は消化器内科を中心とした、その地域の中核病院の一般内科でした。内視鏡を勉強する傍ら、内科医として自分が目標にする先生のもとで、これまで学べなかったことをたくさん学ぶことができました。糖尿病や高血圧をはじめとした慢性疾患の管理、癌診療、血液疾患、さらに患者とその家族と今後の選択をしていく過程、終末期医療など、これまで救急じゃないからと言い訳をしてみてこなかった疾患をじっくり診ることができました。救急医としてのスキルを磨く、ということも大事だと思いますが、地域に根付いた、全人的な診療を経験でき、大変有意義な時間を過ごせました。
自分の理想は以前から変わりません。救命のために全力で正しい治療ができる、しかし患者とその家族と一緒に、今後のことや急な決断に寄り添うことができる、そんな全身を診れる医師になることです。まだまだ未熟ですが、日々精進していきたいと思っています。
当科で行うサブスペシャリティ研修では、自分で目標を決め、研修先を決めることができます。私のように、スキルだけではなく医師としての裾野を広げる研修も自分で考えて決めていくことができます。自分が思い描く医師像に近づくために納得のいく研修ができると思います。一緒に救急で頑張りませんか?
〈救急内科スタッフ:2022年4月現在〉田村志宣、宮本恭兵、中島 強、小川敦裕(橋本市民病院救急科)、稲田由佳梨