診療の特色

機能的脳神経外科

■ パーキンソン病、本態性振戦に対する治療

 パーキンソン病や本態性振戦といった病気はまず薬で治療を行いますが、薬物治療が長期間になると効果が減少したり副作用がでたりします。そういう場合は外科治療が適応になります。

和歌山医大脳神経外科では患者さんの症状に応じて以下の治療を行っています。

1)視床破壊術
 原因疾患がパーキンソン病、本態性振戦にかかわらず、手足のふるえが強く、日常生活が不自由になる場合、ふるえを止めることを目的に行われる手術です。
ふるえている手足と反対側の脳の視床という部位に電極を入れ、電極の先端に高周波電流を流して視床の一部を熱で破壊します。
これにより90%以上の患者さんでふるえは消失し、効果は長期間持続します。
視床破壊術
2)脳深部電気刺激術(DBS)
 脳深部刺激術(deep brain stimulation: DBS)とは脳の深部にある大脳基底核の一部である視床下核(STN)や淡蒼球内節(GPi)、あるいは視床といった部位に埋め込み式の刺激電極を留置し、前胸部皮下に埋め込まれた電池内臓型の電流発生装置から電極先端にパルス電流を流して淡蒼球や視床下核を電気で刺激する治療です。(図)
脳深部電気刺激術
通常パーキンソン病の治療は薬の治療が中心であり、これにて症状はある程度抑えられます。しかし長期間薬を服用していると効果が不十分になり、薬の効果に日内変動がでてきます。このような場合にDBS手術をすると症状が緩和できます。(図)
DBSイメージ図

DBSはパーキンソン病の症状全てに改善効果が期待できますが、振戦やジスキネジア(パーキンソン病薬の副作用で生じる不随意運動)、筋固縮などに特に有効性です。
したがってDBSの適応となるのは以下のような場合です。
パーキンソン病と診断され、病気の初期には薬が有効であったが、徐々に薬が効かなくなった患者さんで、
1、 ジスキネジア(異常運動)のために日常生活に支障をきたす
2、 薬が効いたり効かなかったりする
3、 薬での治療に満足できない
4、 認知症、精神症状などがなく全身状態も安定している

PAGE TOP