令和3年度入学式 式辞

 本日ここに和歌山県立医科大学に入学される医学部の皆さん、保健看護学部の皆さん、薬学部の皆さん、助産学専攻科、大学院医学専攻科並びに保健看護学専攻科の皆さん、誠におめでとうございます。皆さんを心から歓迎いたします。
 本日、入学式を挙行するにあたり、ご多忙の中、ご来賓として、和歌山県知事 仁坂 吉伸(にさか よしのぶ)様、和歌山県議会議長 岸本 健(きしもと たけし)様、和歌山市副市長 富松 淳(とまつ あつし)様のご臨席を賜りましたこと、心より厚くお礼申し上げます。

 さて、皆さんは、憧れの和歌山医大に見事、合格されました。皆さん一人一人のこれまでのたゆまぬ努力が実り、晴れのこの日を迎えられ、慶びもひとしおだと思います。特に、昨年度は、コロナ禍の中で、不自由な勉学環境の中にあって受験勉強に専心され、見事栄冠を手にされました。この感激を忘れることなく、これからの本学での長い学生生活を有意義に過ごして欲しいと思います。
 皆さんを新入生としてお迎えする和歌山県立医科大学も記念すべき節目の春を迎えております。本学は長く医学部医学科の単科医科大学でしたが、平成16年に2番目の保健看護学部が開校し、そして、本年4月に3番目の学部として薬学部が開校しました。近畿の公立大学では初めての薬学部を擁する大学となり、名実ともに医療系総合大学としてスタートすることとなりました。新入生の皆さんは、これから医療系総合大学としての本学の新たな軌跡を描いていく、トップランナーであります。私たち教職員も皆さんとともに、本学の新たな未来にともにチャレンジしていきたいと思います。

 私は、理事長・学長として、本学の基本的な運営の方針として「地域ととともに世界に羽ばたく大学へ」という方針を掲げています。本学は、和歌山の地にしっかり根を下ろし、医師・薬剤師・看護師等の優秀な医療人を育成し、和歌山の地域医療をしっかり支えると同時に、教育、研究、医療の最先端レベルの知見、情報をこの和歌山から世界に発信するというものです。医学部、保健看護学部、薬学部の3学部を擁する本学は、まさに、この機に大いなる発展を遂げるべく新たなスタートを切りたいと思います。

 さて、記念すべき年度に入学された皆さんに、3つのことをお話ししておきたいと思います。
 一つ目は、自ら主体的に学ぶ態度を育んでいただきたい。「学ぶにあらざれば以て才を広むるなく、志あるにあらざれば以って学を成すなし」(学ぶことで才能は開花する 志がなければ学問は成就しない)という名言があります。大学とは、「学び方を学ぶ」ところであります。いのちを科学する医学医療の学びは、幅広く、深く、きっと皆さんの知的好奇心をくすぐる筈です。その知的好奇心の探求こそが自ら学ぶ意欲へとつながります。教員からの教えだけに依存するのではなく、自ら主体的に学ぶ態度の涵養に努めていただきたい。

 二つ目は、本学学生となった皆さんは、自分は社会的存在になったことに目覚めて欲しいということであります。皆さんは、精励努力され難関の和歌山医大に入学されました。晴れて医学部生、保健看護学部生、薬学部生になられた皆さんは、一大学生にとどまらず、医療の未来の担い手として社会からの大きな期待と責任を負った存在となったということを事実として受け止めていただきたい。このことは、新型コロナウイルス感染症に相対峙する医師、看護師をはじめとする医療職の方々の日々の活躍の姿から皆さんはそれぞれの職種での未来の自分の社会的責務を感じ取ったことと思います。そうした自覚のもとで、優れた医療人を目指して、勉学に主体的に取り組む、本学学生として責任ある行動をする「自立した自己」を確立していって欲しいと思います。

 三つ目は、心豊かな学生生活を送ってください。
 本学の各学部に入学した皆さんは、縁あって同級生となりました、お互いの出会いは、これから皆さんの人生の中で、互いに助け合う盟友となることでしょう。それぞれの個性を互いに認めつつ、お互いに高めあうことで一人一人の学生生活が豊かになるはずです。その結果として、心豊かな医療人としての素地が涵養されることでしょう。
 ただ、今年度も引き続き新型コロナウイルス感染症の感染が収束しない状況が予想される中、勉学環境が十分に整わないことが予想されます。昨年度は、全学の総力を挙げて遠隔講義や実習の環境を整えて参りました。万全ではありませんが、対面講義、実習を最大限行う努力とともに、遠隔講義形式の利点も取り入れながら、充実した教育を実践していきたいと思います。勉学だけではなく、クラブ活動を通して互いを磨きあい、切磋琢磨して友情を育組むことも重要です。今年度は、新型コロナウイルス感染症の動向を注視しながら、可能な限りクラブ活動の再開を果たし、皆さんの期待に応えていきたいと思います。

 最後に、皆さんのこれから始まる本学でのキャンパスライフが、希望に満ちた充実した日々であり、優れた医療人へと成長されることを心より祈念して式辞といたします。

 

令和三年四月六日
和歌山県立医科大学
学長 宮下 和久

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