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令和2年度卒業式 式辞

 本日ここに卒業を迎えられる医学部、保健看護学部の卒業生の皆さん、大学院医学研究科および保健看護学研究科の修了生の皆さん、誠におめでとうございます。心よりお祝いを申し上げます。
 また、本日の卒業式を挙行するにあたり、ご来賓として有田幹雄医学部同窓会長、内垣亜希子保健看護学部同窓会長にご臨席を賜り誠に有難うございます。心より御礼を申し上げます。
 皆さんの学生としての最終年度は、新型コロナウイルス感染症拡大のため、学生生活に大きな影響を及ぼしました。遠隔講義、実習の短縮などを余儀なくされました。また、クラブ活動も自粛を余儀なくされ、クラスメート、後輩とのコミュニケーションも充分に取れない一年であったかと思います。大学としてもかつて経験のない状況の中で教育環境の維持に全力を尽くして参りました。本日、卒業式を何とか無事に迎えることができ、安堵しております。この正に国難の中、学生諸君が各自行動自粛をしながら困難な環境の中で勉学に励まれ今日の卒業式を迎えられたことに心よりお祝いを申し上げます。
 さて、卒業される皆さんに餞(はなむけ)として、4つのことを申し上げたいと思います。
 一つは、医学・医療の道は、果てしなく長く、深く、それ故、生涯が学びの道であることです。
卒業式を迎えられた皆さんは、それぞれの学部、課程を修了され、学生生活は本日をもって終了し、明日からは社会人として新たな一歩を歩み始めることになります。それと同時に皆様方は、「医学、医療」のプロとしての長い道程のまさに入口に立ったことになります。すなわち今日の卒業は、一つの節目ではありますが、一つの通過点、プロとしての学びの原点に立ったところといえるでしょう。これからの生涯にわたる学びを通じて、自らが生涯成長し続けることができる職種、そして社会に貢献し続けられる職種であるとの自覚と誇りを持って、前向きな積極的な姿勢で明日からの一歩を進めていただきたい。
 第二に、医療職は社会的な存在、社会的な責務を負っているということです。
このことは、新型コロナウイルス感染症に相対峙する医療職、関係職種の方々の日夜を徹しての活躍の姿から皆さんは多くを感じ取ったことと思います。
 これから、皆さんが社会人として、医療人として活躍される社会は、感染症の流行、風水害の多発や巨大地震が想定される不確実な時代の中で、今以上に大きく変化すると思います。一方で、目前の問題として、団塊の世代といわれる人が後期高齢者となるいわゆる2025年問題に対応するべく地域医療構想の中で病院機能の役割分担の見直しがドラステイックに行われようとしています。一口に言えば、高度急性期、急性期中心医療から回復期、在宅医療への移行が求められています。また、医師の地域偏在や、医師の働き方改革を中心に医療人の働き方に注目が集まっています。今後、デジタル技術の医療への導入が進み、医療の仕組みや医療人の果たす役割もこのような社会の変化の中で大きく変わっていくと思われます。まさに「あなたはこれから求められる医療の中で、どんなお考えで、何をするお医者さんですか、何をする看護師さんですか?」と問われているのです。皆さんが和歌山の医療を、日本の医療を今後どう支えて行くのか、その中で自分はどのような役割を果たしていくのか、まさに、医師をはじめとする医療人の社会性がこれから益々問われてきます。「何のために、誰のために」を考える、考え続ける医療人になってください。
 第三に、地域に在って、世界を目指すということです。 
 私は、本学の運営の基本的なスタンスとして「地域とともに世界に羽ばたく大学」を掲げています。本学は、和歌山という地域にしっかりと根を下ろし、県民医療の充実にまい進する、と同時に、そこで展開される教育、研究、診療は世界に発信できるレベルを目指すという基本的なスタンスです。この4月には、薬学部が開設され文字通り医療系総合大学として新たなスタートを切ります。今、まさに、本学を巣立つみなさんには、広く豊かな「世界的視野」を常に持って、「地域から世界に最新の医療を発信する」という大いなる気持ちをもって、それぞれが置かれた立場で、前進していただきたい。
 第四に、医療の道を究めることは、人としての道を究めるということです。
よく病を診るのではなく、病む人を診ることが大事であると言われます。患者さん目線で、患者さんによく説明し、納得のいく、安全で安心な医療を提供することが大事であります。医療人の求められる力量として、正確な知識と確かな技術を修得し、安全で確実な医療を提供することでありますが、一方で、患者さん一人ひとりを理解し、共感し、支援することができる資質が求められます。
 本学の教育目標に、「高い倫理観と高邁な人間性」を涵養することが謳われておりますが、 職業的に求められる倫理観の涵養に加えて、皆さん一人ひとりの人間性を高めていく努力が必要です。人としての道を究める、このことをどうか心の奥に秘めながら医療人として歩んでいってほしいと思います。

 皆さんは、本学に入学され医学部では6年間、保健看護学部では4年間、級友とともに学生生活を送ってこられました。この間の勉学、クラブ活動等を通じて育まれた友情、人間関係は、非常に大切な宝であり、医学医療に従事する私たちにとっては生涯にわたってかけがえのない存在になります。 これからのみなさんの活躍の場が、研究の場、臨床の場であれ、また、県内、県外であれ、和歌山医大で学んだ同級生、先輩後輩の同窓生が、みなさんの医療人としての成長を支えてくれる、欠かせない存在となります。母校和歌山医大を愛すること。県内はもちろん、県外にでても、和歌山のことを思い愛し続けてほしいと思います。
 若い力で和歌山の医療の発展、和歌山医大の発展、ひいては世界の医療の発展に貢献していただきたいと思います。

 ピンチをチャンスに!このコロナ禍の2021年に卒業した諸君が、それぞれの進路で、さすが2021年卒業生と言われるよう“たくましく”歩んで行っていただきたいと思います。

 これからの皆様の人生が、大いなる夢のもと充実した医療人としての人生を過ごされることを心より祈念申し上げ、式辞といたします。


令和三年三月十七日
和歌山県立医科大学
学長 宮下 和久