地域と連携した健康づくりカリキュラム

「現代GP〜卒業後どのように活かされてきたか〜」

平成19年度卒業生

私たちは学生時代、現代GPの活動に参加し、様々な地域に行き、多くの住民と出会いました。現在は和歌山県立医科大学附属病院で1年目の看護師として働いています。看護師として働く中で、現代GPでの経験がどのように活かされてきたかについて述べたいと思います。
 私たちはこの1年間で病棟の特殊性を知り、必要とされる看護を導き出す第一歩を歩み出したところです。しかしどの病棟にいる患者も共通して抱く感情は病気が治ることへの期待感はもちろん、不安や恐怖感、寂しさなども抱いています。
 そこで、私たちが看護師として必要だと考える要素として「知識・技術」「コミュニケーション」「広い視野と追及心」があると考えました。
 まず「知識・技術」は患者の状態を理解する1つの手段であり、安全・安楽な看護を行うためには不可欠なものです。教科書の中では理解しづらかった病気や治療でも、看護師として働きはじめ、実際に患者を通して経験することでさらに知識を深めているところです。
次に「コミュニケーション」では患者や家族への安心感を与える声かけや対応が必要となります。またスタッフ間においてもコミュニケーションは非常に重要なものになっています。医療はチームで成り立つものであり、たとえ1年目の看護師であってもチームの一員です。そのことを忘れず自分の意見をしっかり伝え、討論することのできるコミュニケーション能力も必要となります。
 そして、様々な思いや疾患を抱えた患者や家族が求める看護は無限大にあります。またそれに応える看護ももちろん無限大になります。患者や家族の些細な反応でもいろんな視点から考えることが必要となります。そこから得た情報と患者にとって何が1番大切かを考え、よりよい看護をどこまでも追求する姿勢が求められています。このように「広い視野」を持ち、そこから考えていく「追求心」が必要となります。
 これらの要素は机上での学習から現場での学習へと積み重ねが必要であり、現代GPに参加することでより豊かなものになったと実感しています。
 また、これらの要素を深め、豊かにすることに繋がった現代GPの活動からさらに得たことについて「出会い」「発見」「行動力」というテーマに分けて述べていきます。
 まずは「出会い」。現代GPではあらゆる地域に行き、このような活動がなければ関わる機会がなかった多くの住民の方々に出会いました。見知らぬ学生に対し、親身になって話しをしてくださり、色んな生き方、考え、生活を知ることができました。同じ地域に住みながらも私たちにとっては新鮮な出会いばかりであり、様々な価値観を学ぶことができたと思います。気さくにいろんな話をしてくれる住民との出会いにより、実習で苦手意識の残っていたコミュニケーションがより楽しいと思えるようになりました。人間が人間を理解するということは大変難しいことですが、コミュニケーション無くして理解できないことを改めて学びました。
 次に「発見」。同じ和歌山県民であるという共通点を持ちながらも知らないことがたくさんありました。授業では学ぶことができない多くのことに気付き、看護という枠にとらわれず、様々な分野での学習を通し教養を身につけることができたと思います。
 そして「行動力」。現代GPでは自主的な行動が求められました。新たな出会い・発見から知りたいという気持ちが膨らみ、自ら探究する姿勢を養うことができたように思います。私たちは学生時代の恩師に幾度となく言われた言葉があります。それは「医者の言うことだけ聞く看護師にはなるな」ということでした。今でもその言葉を胸に、看護師という専門職として、自ら課題を見つけ学習し、考え、そして行動や発言に移していくことの重要性を改めて実感しています。そしてもう一つ現代GPに参加し感じたことは、私たち学生の自主性を重んじる先生方の存在でした。のびのびと学習することを許し、躓いた時にはそっと手を差し伸べてくれる先生方のもとで学習させてもらいました。この学習体制が現在の自分の自信へと繋がっているひとつの要素であると感じています。
 最後に、看護師という仕事は医師の介助や清潔ケアだけでなく、患者の1番身近な存在であり、患者の心に寄り添えることが何より求められていると思います。現代GPで出会った地域の人々のように、患者も退院後は地域に戻るという視点を忘れず、退院後の生活を見据えた看護も必要となってきます。常に患者の声に耳を傾け、思いに気付き、またその思いを引き出せるコミュニケーション能力が必要となります。そしてそこから新たな看護を見出せる行動力と追及心を持つことが重要です。私たちは現代GPを通して、看護師として必要とされるこのような基本的姿勢を学ぶことができました。
 今はまだまだ未熟ですが、現代GPで学んだことが自信に繋がり、患者、家族と真摯に向き合う姿勢に繋がっているように思います。また自分の意見をはっきりと述べ、チームの一員としての役割を果たせるように努力するという姿勢にも繋がっていると思います。このように現代GPで多くの方々から学ばせていただいたことを、今度は実践の場で患者やその家族にお返ししていけるようにしたいと思っています。

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