保健看護管理実習
本実習は、4年次に開講されている保健看護管理論、保健看護管理演習と一連の実習である。4年次初期に保健看護管理について30時間の講義終了後より、学生の自主的な課題をもとにグループに分かれ、30時間の保健看護演習の中で担当教員とともに実習に向けて実習施設連絡を取りながら実習計画を立て、実習で実践する。実習後に学習活動の結果について評価・考察を行い、学習成果を発表する。発表会には3年次生と実習施設の代表者の出席のもと、意見交換を行っている。
目的
保健看護活動が行われる場における保健看護管理過程に体験的に参加することによって、実際に行われている保健看護管理を学ぶ。これまでの学習過程で学んできた保健看護の管理に関する理論を活用し、問題解決の糸口を見出し、演習と実習を通して管理能力を養う。目標
1) | 保健看護管理に関する問題意識を明確にする。 |
2) | どの場面にも共通する保健看護管理過程について、学んだ理論的な知見を実習体験を通して深める。 |
3) | 実習過程に関連する学習計画を主体的に立案し、実践する。 |
4) | 実習に関連する諸機関の指導者と主体的に関係づくりを行い、社会の一員として責任ある行動をとる。 |
5) | 成果が得られるよう実習し、活動の自己評価を行う。 |
実習
(1)実習期間:4年次の10月第3週または第4週の1週間(2)平成18年度〜20年度実習施設
施設名 | |
---|---|
医大附属病院 | 国保日高総合病院 |
医大紀北分院 | 有田市立病院 |
日本赤十字社和歌山医療センター | 和歌山労災病院 |
和歌山県海南保健所 | 南和歌山医療センター |
和歌山県湯浅保健所 | 白浜はまゆう病院 |
和歌山県御坊保健所 | 訪問看護ステーションなだい |
社会保険健康事業財団 | 和歌山健康センター |
済生会和歌山病院 | 花王株式会社和歌山工場 |
和歌山県こころの医療センター | 西浜中学校・明和中学校 |
概要
学生が主体となり、保健看護管理に関する問題意識(テーマ)をもち、1週間の実習に臨んでいる。施設によりテーマはそれぞれであり、施設側と意見交換をしながら具体的な活動計画を立て、実習に臨んでいる。3年間のテーマは下記のとおりである。平成18年度保健看護管理実習のテーマ
- 職場定着を促す新人教育のあり方
- 働きやすい環境を管理の視点から考える〜教育・職場環境〜
- 看護職が生きがいや活力を持っていきいきと働ける環境づくり
- 精神科に勤務する看護師のメンタルヘルスケアシステムについて
- 患者とケア提供者がともに満足できる施設づくりおける看護管理
- 独立型訪問看護ステーションの運営における基盤づくり 〜サービスの質を高めるための管理者の役割〜
- 地域保健におけるネットワーク管理について 〜形成・発展過程と関係機関の役割から〜
- 産業の場における健康づくり
平成19年度保健看護管理実習のテーマ
- 特定機能病院における看護の質の向上のための看護管理を考える
- 地域における災害対策について
- 災害拠点病院における災害時の看護職の役割
- 災害対策における看護管理 〜災害支援病院として〜
- より良い看護を実現するための管理の基盤
- 患者の療養環境における連携について
- 医療の質向上のためのリスク管理 〜精神科におけるリスクマネジメント〜
- 看護師が働きやすい環境づくりにおける看護管理について 〜人材育成の視点から〜
- 新病院移転に向けた外来看護管理と勤労者予防医療部の動き
- 地域に愛される訪問看護ステーションを目指して
- 精神保健におけるネットワークについて 〜形成・発展過程と関係機関の役割の視点から〜
- 働く人の健康づくり
- 職場における労働者の健康管理のあり方について 〜連携の必要性と保健師の役割〜
- 産業保健現場における労働者の健康管理について
- 思春期の心の健全な育成のための健康管理 〜生徒の可能性を引き伸ばす〜
平成20年度保健看護管理実習のテーマ
- 健康日高21からはじまる地域での健康づくり
- 地域に選ばれる訪問看護ステーションを目指して
- 三管理に支えられている住友金属和歌山製鉄所で働く人々の健康管理
- 企業における労働者の健康づくり 〜産業看護職の役割と3管理〜
- 医療事故防止におけるリスクマネジメントとその新人教育
- 地域の中核病院における在宅支援について
- 新人教育、認定看護師育成に焦点を当てた人材育成について
- 外来の視点から看護師・保健師の役割や連携と看護管理
- 看護の質の向上のために 〜3つの視点から考える〜
- 特定機能病院における災害看護、安全管理、新人教育についての看護管理の視点を養う
- 看護管理におけるそれぞれのレベルと役割
- 新病院に向けての看護管理のあり方
- 看護職者が目標を共有し協働するための看護管理 〜看護職者にとって働きやすい環境とは〜
- 公立病院として地域に果たす役割と精神科特有の看護管理の機能・役割について
- 看護管理の機能、役割について学び、それらを通じて看護管理のあり方を学ぶ
- 観光地における観光医療のあり方
- 実習病院における災害対策について
- 地域連携
- 生徒の管理・安全を管理する養護教諭
今後の課題
4年次後期の実習であり、学生の関心事は幅広く実習施設との事前連絡は、メールを利用して行われており、実習準備は計画に何度も修正を加えながら綿密に立てられている。教員はオブザーバー的役割を担い、学生が主体的に取り組む実習とし施設側にも説明し協力を得ているため、学生の達成感は大きい実習となっている。学生の実習評価は総平均4.2であり、指導者や教員の指導に対する評価点は、平均4.3であった。
実習施設側にも実習終了後に下記の項目を設け意見を聞いている。
(1)実習前の打ち合わせについて
(2)実習学生の人数について
(3)実習中について
(4)来年度に向けて
(5)その他
施設側からは、学生の人数調整の要望が1施設よりあったが、その他は評価の高い内容であった。
発表会は3年次生も参加し、保健看護管理実習について理解を深める機会としている。
今後の課題は、4年次後期の実習が余裕のない学生にとって負担になりすぎないように、自主性が過熱しすぎないように配慮していきたいと考えている。
*学年を超えたつながり
3・4年生合同ワークショップ
4年次は領域別臨地実習を7月に終了し、3年次は9月より領域別実習を開始する。3年次生は
それまでに基礎看護実習・家庭訪問や地域看護実習などを終了しているが、長期間の病院実習が開
始されるにあたりより効率よく実習が開始できるよう9月上旬に4年次生と話し合う機会を設けた。
3年次生の感想をまとめると次のような項目にまとめられた。
・グループ内での協力の必要性
・健康管理・体調管理の必要性
・勉強方法
・具体的な実習内容
・時間のつかい方、睡眠時間のとり方、息抜きの仕方など
・根拠をもって行動すること
・目的をもち積極的に実習を行うことの大切さ