保健看護研究U
目的

3年間の概要
地域の人々や、本学の学生、学校、病院、医療機関など様々な人々の協力を得て行われた。調査研究、介入研究から実験研究に至るまで色々な研究方法に実際に取り組み、質の高い研究とすることができた。また副次的に協力いただいた機関や人々との関係が深まり、今後の医療への従事に活かせるもとになった。また地域の活性化に役立ったと考えられる面もあった。結果的に研究を遂行することで多くのことを得る事ができた。以下に3年間の各取組の課題をあげる。平成18年度保健看護研究U課題一覧
表題 | 学生 | 担当教員 | |
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1 | 高血圧患者における血圧測定と血圧変動の関連性についての検討 | 河村真生 玉井宏美 | 有田幹雄 |
2 | 症状発生部位から遠隔にあるツボの刺激が及ぼす効果の検討 | 村田幸 丸谷 康 | 辻 幸代 中納美智保 |
3 | 看護学生の子どもの人権に関する認識について | 塚尾歌奈子 柳 麻也 | 内海みよ子 |
4 | 糖尿病患者の自己効力を高める援助に関する看護師の認識について | 谷川美香 平井沙知 | 上田稚代子 |
5 | 効果的な喫煙防止教育についての検討〜大学生の喫煙状況から〜 | 小内彩子 柳谷菜穂子 | 水田真由美 |
6 | 飲食店とカラオケ店における受動喫煙の実態と防止支援 | 奥野弘子 友安えりか | 森岡郁晴 |
7 | 事象関連電位と日内変動、人のタイプ分け、およびコーヒー摂取との関連について | 高瀬菜実子 西山由花 | 志波充 |
8 | 小学生におけるテレビゲームの現状 | 泉有起 梅原真由子 | 上松右ニ |
平成19年度保健看護研究U課題一覧
表題 | 学生 | 担当教員 | |
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1 | 若年スポーツ選手における競技種目別生活習慣病危険因子の検討 | 淡路水須 高橋直子 岩田麻衣子 古家彩美 |
有田幹雄 |
2 | 看護3職種における職業性ストレス及び性格傾向に関する研究 | 金児彩奈 岩本友香 末廣ひとみ 寺澤雅美 |
山本明弘 |
3 | 男女別にみた地域住民のこころの健康に関する意識調査 | 田淵由季乃 向井香那恵 大西敦子 島垣友絵 森下真由子 |
山田和子 土橋まどか |
4 | 現代におけるダイエットの意識について | 内田美和 小山尚子 澤口絵美 福井麻奈美 福谷麻李 |
西村賀子 |
5 | 看護大学生の社会的スキルと属性、他者意識、自己受容の関連 | 山地阿佐美 中原恵美 宮本優 村上 綾 |
上田稚代子 |
6 | 親性獲得にむけて(第1報)〜大学生の育児意識〜 | 折橋隆三 佐野聡美 宮崎知夏 宮本杏奈 |
池内佳子 |
7 | 親性獲得にむけて(第2報)〜大学生の対児感情〜 | 折橋隆三 佐野聡美 宮崎知夏 宮本杏奈 |
|
8 | 高校生の親性準備性に対して自分の親が与える影響因子 | 坂元那緒子 町英里子 宮上聡美 宮崎順誉 |
辻久美子 |
9 | アルコールゲル擦式手指消毒の手技による手指消毒教育の効果と持続性の検討 | 田村友耶 | 水田真由美 |
10 | 安静との比較による洗髪のリラクセーション効果の検討 | 町田綾子 村上雅恵 米田裕香 |
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11 | 温湯と食塩湯を用いた手浴の効果 | 白川恭子 杉本有希 | 福田春枝 松下直子 |
12 | 柿酢と温湯の清拭による皮膚表面への影響 −水分量、油分量、pH値、清浄度(ATP値)より− |
石原香菜 泉沙希 | |
13 | ハーフビネガーとオリーブオイルの併用による皮膚保湿効果の検討 | 柳川幸 | |
14 | 看護学生が持つ「高齢者イメージ」と高齢者との比較 | 野瀬あゆみ 石谷朋子 上地麻伊 西出佳世 西野祐子 |
服部園美 |
15 | 学生の退院指導実施後の達成感に影響する要因とよい退院指導の検討 | 田中寛子 永井求実 山中千尋 吉本有里 |
辻あさみ |
16 | 看護学生のユーモア態度・意識に関する調査 | 内村達也 小林玲子 坂井亜侑美 松山明子 |
鈴木幸子 |
17 | 看護学生が患者から受ける行為に関する実態調査 | 阪口実香 鳴神実幸 松本麻里 山門久美 |
庄司禎夫 |
18 | 入院児の同胞に関する看護師のアプローチ | 合原捺美 東方文香 引地智子 藪本知里 |
柳川敏彦 |
19 | 長期入院児に付き添う親の医療に対するニーズ 〜フォーカス・グループ・インタビュー法を用いて〜 |
西垣美穂 那須康弘 | 内海みよ子 北野景子 |
20 | 小学校における食育の現状と課題について | 小原千穂 小阪真由子 | |
21 | タイ王国と日本の看護学生の医療・家族介護に関する知識・意識 | 池永梨沙 池野綾子 長束修佑 三輪恵梨子 |
森岡郁晴 |
22 | スムーズに病院から在宅へ移行するための看護介入のあり方 | 高橋由美子 中松幹子 西川真紀 抜井直子 廣原佳代 |
前馬理恵 岡本光代 |
23 | 視覚・嗅覚が食事に及ぼす影響について | 石坪直子 片畑由佳理 久保珠美 中村 梓 |
志波充 |
24 | 夢を見る状況について | 恵木仁美 大池奈津美 申沙羅 遠見智江 |
上松右二 |
26 | 高齢看護職者の『人生史』の聴き取り体験から学んだこと | 久城朋美 小出来明子 新谷有加 田代綾 中村麻美 |
水主千鶴子 |
平成20年度保健看護研究U課題一覧
表題 | 学生氏名 | 担当教員 | |
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1 | 洗顔による角層水分量の変化と保湿液の効果の検証 | 井森梨奈 高島未央 西岡真央 旗島麻理子 |
石澤美保子 |
2 | 顔への温罨法の効果の検討 | 池田愛 宇田賢史 柿山朝野 北野里奈 西村彩香 |
中納美智保 |
3 | リラクセーションが大学生のワーキングメモリーに与える影響について | 赤坂佳奈 海部奈文美 冨永希 樋口巧 |
武用百子 |
4 | I型糖尿病の子どもたちへの理解を促すための検討-人形劇を用いた健康教育の試み | 川島志保 杉野優理 鳥居知永 西尾恵 |
前馬理恵 |
5 | 新卒看護師が望むプリセプターからの支援に関する研究 | 坂井真里奈 田中真央 椿優菜 森川絵里 |
上田稚代子 |
6 | 保健看護学部学生におけるストレス評価 | 赤木藍 中村彩 山ア陽子 脇坂亜侑美 |
志波充 |
7 | 臨床実習中の看護学生のストレス認知と実習に対する要望について | 赤松佐恵 岩田恵子 佐々木晴菜 杉本育 山口麻李 |
西村賀子 |
8 | 看護学生の排便習慣に与える要因 −実習がない時と実習中との比較− |
桂実希 瀬戸友美 藤井清子 森木麻衣 |
辻あさみ |
9 | A大学看護系大学生の職業コミットメント、自己効力感及び抑うつ傾向の関連 | 池田千明 子安君枝 更家慧 松田知恵 |
鈴木幸子 |
10 | 月経イメージの形成に影響する要因に関する研究 | 岡本絵莉 川端亜弥 小島由理 田代裕子 中野真弥 |
辻久美子 |
11 | 塗り絵によるリラクセーション効果の検討 | 加藤範子 杉尾佑夏 藤田まなみ 宮口結理 |
水田真由美 |
12 | 若年者スポーツ選手(国体出場)における高血圧及び心血管病危険因子の検討 | 一田綾 大谷里奈 前田美季 湯原弘喜 |
有田幹雄 |
13 | 日本人渡航者における黄熱予防対策の状況 | 久保瑠華 小池絵梨香 西川幸位 福岡賢治 |
森岡郁晴 |
14 | 顔と名前の記憶 | 田代美穂 豊川美貴 中淑子 中井亜弥 中尾文郁 |
庄司禎夫 |
15 | 高齢者虐待に関する認識の違い −介護経験別と高齢者と専門職との比較− |
青山晃士 植田笑子 金子千啓 後藤由佳 |
山田和子 |
16 | 地域における筋力向上トレーニング事業が高齢者に与える効果 | 芝崎典子 | 山田和子 |
17 | 認知症のスクリーニング−早期発見に向けて− | 小西秀輝 立山智尋 松田圭以 山田実穂子 |
上松右二 |
18 | あんしんメイト体験から学んだ認知症高齢者の看護 | 坂本祐美 | 水主千鶴子 |
19 | 限界集落におけるTターン者の主観的健康 | 大島香織 佐藤誠治 高倉久美恵 山口あずみ |
服部園美 |
20 | 中学生の死生観の変化の考察−いのちの授業を実施して− | 木下尚美 武田幸子 竹本有杏 本庄郁子 |
水主千鶴子 |
21 | 中学生の社会的スキルの現状−生活行動が及ぼす影響− | 川口佳誉 吉田亜希子 | 柳川敏彦 |
22 | 児童養護施設に入所する子どもの自尊心の分析と適切な関わりの検討−看護学生として出来ること− | 梅本恵梨香 佐々木美奈 田井洋子 |
柳川敏彦 |
23 | 集団に溶け込みにくい子どもの自主性、対人関係等に変化をもたらす要因について | 井坂和未 稲田あずさ 上野山知沙 上條友愛 |
内海みよ子 北野景子 |
24 | 保健室登校をしてくる子ども達に対する養護教諭の役割−和歌山県における保健室登校の実態及び校内支援体制について− | 前内美保 | 内海みよ子 北野景子 |
学生の感想 〜保健看護研究Uを終えて〜
[A]
1年間という長い時間を費やした研究を振り返って、苦労したと思うことがいくつか思い浮かびます。テーマを決めること、調査の協力を得ること、そして論文としてまとめることなど、メンバーや担当の先生と一緒に考え、悩みながら取り組んできたことばかりです。研究がうまく進まないとき、例えば私達の場合アンケートの協力を得ることが難しかったときは、「最後まできちんとできるのかなあ」と不安が大きく、研究が嫌になったときも正直ありました。しかしそのような経験があったからこそ、自分達の研究テーマや内容を見つめ直すよい機会となり、また調査対象であった中学校という教育現場の現状を知る機会にもなったと思っています。最後に10枚の論文として形になったものを見て、やり遂げたという達成感をメンバーで分かち合うことができたのも、この1年間様々な苦労があったからだと思います。この研究Uで学んだことを今後に生かし、頑張っていきたいと思います。
[B]
1年間かけて、研究テーマの決定、計画立案、実施やまとめ・評価まで多くの人から助言を頂きつつ、また、その都度修正を加えながらも自分達で一生懸命に考え、ひとつの研究をやり遂げました。
研究を進めるにあたり、自分達の想いをなかなか協力者に伝えきることができず、困難だと感じることも多くありました。しかし、自分達が相手の考えを尊重し寄り添いながら、誠意をもった関わりを継続していくことでこちらの想いは伝わり、とてもよい関係を築くことが出来るのだとわかりました。研究実施者として何か結果をだすことは大切ですが、それ以上に、今回の研究では人との関わりの中で学んだことがとても多く、貴重な体験ができたことに嬉しさを感じます。また、このような体験を共に乗り越え、様々な感情を共有してきた研究メンバーともよい友人関係を築くことが出来ました。この多くの経験やそこで感じたことは忘れず、今後の自分の人生に生かしていきたいと思います。
[C]
研究をするにあたって、文献検索や計画書作成等、様々な活動をしてきた。まず必要となることは、日頃疑問に思っていること、明らかにしたいと思っていること等、自分の問題意識を明確化することである。ただ関心があるだけではなく、何を根拠にした考えなのか、過去にどういった研究が行われているのか、文献検索を元に研究計画書の作成をはじめた。この作業が、後に研究をすすめるにあたり一番重要であり、最も時間がかかった部分であったと思う。研究の道筋を明確にしていないと、スムーズに研究を進めることができない。また、他者にわかりやすく伝えることができるような、考察での表現の仕方も勉強になった。これらの活動は、仕事をするにあたり非常に役立っている。仕事で会議を開く際にも、根拠や目的が必要となる。後に報告として他者にわかりやすくまとめるという作業も必要となる。研究を通して、根拠や目的を明確化すること、他者にわかりやすく伝えることの重要性が理解できた。これからも今後の保健活動に更に活かしていきたいと思う。
[D]
研究を始めるにあたり、多くの学生はグループで研究に取り組んでいるが、私は悩んだ末、個人で取り組むことに決めた。個人で取り組むと決めたものの、文章を書くことが苦手な私は、本当にやり遂げることができるのかと不安で一杯であった。しかし、研究が終わってみると、一人で行うことは大変であったが、それだけ学びが大きかった。
研究では、まず、文献検索を行い、研究テーマを決め、研究計画の立案へと進んでいった。研究においては、計画をしっかり立てる必要があることを授業で学んだが、研究を終えた今、その重要性を実感した。研究計画を立てる段階で、先行研究を参考して自分が疑問に思ったことや明らかにしたいことを明確にし、さらに研究の目的をしっかり持つことが重要であると学んだ。また、研究を進めるにあたっては、「保健看護研究T」「保健情報科学」の授業を生かすことができ、「なるほど、こういうことだったのか」と授業と研究が結びつき、より理解が深まった。
研究全体を振り返ると、文献検索に費やした時間が多く、時間を忘れて、図書館で文献検索をしていることもあった。研究テーマを決める前は、ただなんとなく文献検索を行っていたが、研究が進むにつれ、文献検索を行えば行うほど、他にはどのような研究があるのだろうかと興味が深まり、文献検索を行うことが楽しくなっていった。文献を検索することにより、次々と新たな発見があり、論文の考察の内容がより深まった。
この1年間を振り返り、不安や大変なこともあったが、楽しみながら研究を行うことができ、机上で学ぶだけでなく、実際に研究を行うことにより、研究の過程や研究の手法、論文作成など学びが深まった。
研究に取りかかる前は、研究というとなんだかとても難しいもののように感じていたが、実際、研究を行ってみると、とても身近なものになった気がする。自分が疑問に思うことや関心を持つことが研究のスタートであり、それをそのままにするのではなく、自分で明らかにすることが研究と思う。1年前は、最初で最後の研究だと思っていたが、これからも研究を続けていきたいと思うようになった。そして、これからも研究とともに文献に親しんでいきたいと思う。