柿酢健診
目的

3年間の概要
時 期 | 平成18年11月25日〜11月26日 平成19年2月3日〜2月4日 平成19年5月19日〜5月20日 |
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学 生 | 4年次生 8名 3年次生 8名 |
(1) | 新果汁飲料(柿酢)摂取モニターの健康診断への参加 和歌山県の農業生産額に占める果樹の割合は57.5%(2003年)と高く、県の名産として柿や桃などがある。しかし、最近では果実消費量が年々減少していることや、農家の高齢化、後継者不足も深刻で栽培面積が減少しているのが現状である。そこで、新たな果実加工品開発による果実の需給拡大を図り、安定した果樹生産を推進することを目的に、(社)農産物加工研究所により高機能性食品の新果汁飲料(柿酢)が開発された。さらに、同所と和歌山県および和歌山県立医科大学が、この新果汁飲料(柿酢)の健康に及ぼす影響を医学的見地から調査し、その機能性を確かなものにすることを目的に共同研究を行っている。 *柿酢…柿酢とは、柿を酢に漬け込んだりせず、そのまま発行させてつくった酢である。この商品のもとになる柿果皮には、カロテン、ゼアキサンチン、ビタミンEやカリウムなどが豊富に含まれ、抗酸化機能があり、血圧降下作用も期待されている。
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(2) | 農家の講話・畑見学・家庭訪問
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(3) | 看護職のOBからの講話・懇談会 看護職のOB3名と学生で数人ずつのグループに分かれ自由に語り合った。話の内容は、看護職OBからは、これまでの就業生活を振り返って、看護職についた理由や看護の仕事の面白さ、すばらしさ、仕事を継続するために努力したことや工夫などを学生に語った。学生は、看護を学ぶ上で、困っていること、悩んでいること、将来の不安などを語った。さらに、お互いに看護について、人生について語り合い、交流を深めた。 |
学生の感想
- <参加した学生の声@>
柿農家の方が講話の最後に「生活をするためだけに仕事をし、与えられた事だけをこなすのではなく、相手(柿なら柿、人なら人)と接することが大切である。自分の仕事に燃えていると自然と笑顔が生き生きする。恋すると綺麗になる女の人と同じように、いい恋やいい仕事は人を美しくする。」と言っていた言葉が、すごく私の中に響いて、私も社会に出て働くようになった時、生き生きとした笑顔が自然と出来るように、自分の仕事に誇りを持とう、燃えるような仕事がしたいと思った。仕事のジャンルは違ったとしても、仕事に対する心構えはどんな職業であっても同じなんだなということが分かり、いつまでも身体と心が元気で活動していけるような人生を送りたいと思った。 - <参加した学生の声A>
農家の方との交流を通して、農家の方は、身体的には大変な仕事をされているが健康意識は高く。また「夢」と「誇り」を大きく抱いて、熱い信念と温かい心で農業に携わっていることが分かった。また、夜のフリートーキングでは、現在の世の中は、看護師に対して「ミニドクター」を求めている部分も多く、看護の専門性はとても大切であるが、それを発揮しにくい医療となりつつあるという現実も感じられた。しかし、生活と健康をつなぎあわせられるのは、看護職の専門性であり、一人ひとりの生活や健康レベルに応じた関わりをして、一人ひとりがより健康に生活や人生を送れるように支援していくことを、私は譲ってはいけないと考える。今回、農家の方との交流を通して、「みんなと同じ、みんなと同じ」作業をするばかりではなく、自分の仕事に信念を持ち、自らの体を動かして多くの方の生活の仕方や思いに触れるとともに、“世の中にはいろんな人がいて、互いを認め、尊重し合える姿勢や感性を常に持ち続けること”の大切さを感じることができた。私が近い将来、社会で働きだした時にでも、今回のGPで出会った方々から学ばせていただいたこと、感じさせていただいたことを心に留めて、多くの方と関わっていきたいと思う。 - <参加した看護職OBの声>
私にとって、和歌山県立医科大学保健看護学部の学生たちと大学以外の場で交流を図る機会をもてたことは貴重な体験でした。
私たちは地域の一員として看護学生にそれぞれの体験を話し、看護について共に考える機会をと参加しました。学生たちは大学の教員や実習先で出会ったことのない看護の先輩ということで興味があったことと思います。学生たちは私達の若いときの看護やこれまで続けてきた職業生活について感心をもった様子でした。
現在の看護に関する話題から、学生たちが今不安に思っていることに話題が進み、実習の話で盛り上がりました。学生たちには、看護への強い思いと目指す看護者像をもって実習に臨んでいる姿がみられました。しかし、特に臨床の場では時として意欲をなくしてしまうことがあることや、素晴らしい看護師との出会いから「頑張ろうと思った」など具体的な場面を挙げて話されていましたが、学生にとってはつらい体験の方が多いようでした。
看護教育の成果に実習が大きく影響し、学習目的を達成できるためには成功体験をするように配慮した指導が求められます。学生たちの体験を聞くとそうではなさそうで胸が痛みました。このことによって、学生の進路にも大きな影響があることを再認識した次第です。学生なりに頑張っても看護計画を発表すると「それだけですか」と言われた悔しさを話す学生たちをいとおしくさえ思え、学生と共に涙する場面もありました。
看護に夢と希望を抱いて励んでいる学生をつぶしてはならないと強く思いました。
臨床の場で働く自信がないという学生も多く、これは学生のもつ問題ではなく、魅力ある看護場面を見せてはいない現場に問題があるのではないかと痛感しました。
学生が私たちと出会って良かったと言ってくれましたが、私にとっても良い出会いの機会を与えて頂いたと感謝している次第です。この学生たちが今後も看護に夢を持ち続け、心豊かで感動の多い職業生活を続けられることを切に願っております。
今後の課題
今回のカリキュラムでは、学生は農家の人々との交流を通して、農家の人々の実際の生活状況を理解した上で、農家の人々が抱える健康上の問題を考えながら、健康教育を実施することができた。さらに、和歌山県の農業が抱える問題や農家の人々の苦労など、地域が抱える問題やニーズを、体験を通して学ぶことができていた。しかし、体験できた学生は一部の学生に限られており、学びの共有をする場を設ける必要がある。また、地域の特性を理解し、積極的に住民と関わる良い機会となり健康教育を実施することができたが、この健康教育がどのように地域住民にとって活用できたのか評価する必要がある。さらには、地域住民には今回わかった健康問題以外にも、潜在化している健康問題があることが明らかとなったため、住民に対し継続して健康教育を実施する必要がある。そのため、学生が住民と交流できる場を設定し、継続して住民と関わり健康教育を行うことは、学生にとっては地域住民に対する理解が深まり、地域住民においては健康への意識向上に繋がると考える。