診療内容

現在表示しているページ
ホーム > 診療内容 > 慢性腎臓病
ここから本文です

慢性腎臓病

慢性腎臓病とは、慢性=数ヶ月から数十年の長い年月をかけてゆっくりと、腎臓が悪くなっていく病気です。腎臓は尿を作る臓器ですが、一言で「尿を作る」と言っても、余分な水分の除去、毒素の排泄、電解質(ナトリウムやカリウムなど)の体内バランスの調整、血中pHの維持など、多くの役割が含まれています。また、ビタミンDの活性化(骨の代謝に関与)、エリスロポエチン(造血ホルモン)の産生なども行っていますが、慢性腎臓病ではそれらの機能が徐々に失われてしまい、最終的には自分の体の環境を保てなくなって、尿毒症の状態に陥ります。尿毒症は、吐き気、食欲低下、下痢、頭痛、むくみ、息切れなど多彩な症状を引き起こし、自分の腎臓の働きだけでは改善しません。そのため、生きていくには腎代替療法と呼ばれる、透析療法(血液透析や腹膜透析)、腎移植(献腎移植や生体腎移植)といった治療が必要になります。

では慢性腎臓病になると必ず腎代替療法を行うのかというと、そうではありません。腎臓を悪くしている原因を取り除く、あるいは治療することで、進行を遅らせることができます。例えば、透析に至る原因の1位は糖尿病、2位が高血圧、3位が慢性腎炎ですが、これらの病気をしっかり治療することや、肥満、喫煙、多量飲酒、運動不足といった生活習慣を改善すること、薬剤が腎臓病悪化の原因であればそれを使わないようにすること、といった対策を行います。ここで大事なことは、腎臓の機能は一度失われると回復しない場合が多い、ということです。回復しない、となると、同じ治療をして同じように進行を遅らせる効果が得られても、治療を始める時期によって、透析に至るまでの期間が大きく変わります(下図)。そのため、慢性腎臓病は、早期発見、早期治療が重要です(急性腎障害の場合は治療により大幅に回復する可能性があります)。

慢性腎臓病図

では早期発見、早期治療のために何をすればいいかというと、体調の変化に気をつけているだけでは不十分です。慢性腎臓病の初期は自覚症状がなく、進行すれば貧血、むくみ、息切れなどの症状が現れますが、その時点で既に腎臓の機能がかなり失われている場合が多い、というのが特徴です。「今は何も症状がない」「今は元気」というだけでは、腎臓に問題がないとは言えません。腎臓の機能の評価には、尿検査(尿蛋白、尿潜血)、血液検査(クレアチニン、eGFR)が必要になります。健診などで定期的にこれらの項目をチェックし、もし異常があった場合、必ずかかりつけ医やお近くの内科を受診してください。繰り返しますが、症状がなければ大丈夫、ではありません。異常をそのままにせず医療機関を受診し、そこで腎臓の専門医の受診を勧められたら、是非当科を受診してください。