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腎炎・ネフローゼ症候群

腎炎は、腎臓の細胞や構造に炎症(火事のようなもの)が起き、それにより腎臓がダメージを受け、徐々に、あるいは急激に腎機能が失われていく疾患です。悪くなる早さによって急性、急速進行性、慢性と分けたり、炎症の起きる部位によって糸球体腎炎、尿細管間質性腎炎、血管炎と分けたりします。

また、腎炎の原因も腎臓そのものに起こる場合(一次性)と、他の病気に伴って起こる場合(二次性)があります。どのタイプの腎炎でも、何らかの尿検査異常(特に尿潜血、尿蛋白)が出てくることがほとんどで、腎生検を行い腎臓の組織を評価し、診断をつけて治療を行います。

腎炎の経過は疾患によって大きく違い、20~30年かけて悪くなるものもあれば、1ヶ月程度で急速に悪くなるものもあります。大切なのは、尿検査異常を認めたら放置せず、必要があれば腎生検を行い、早期診断、早期治療を行うことです。治療により炎症を抑えることで、腎臓の寿命(透析に至るまでの期間)を延ばすことができます。

腎生検は、腎臓を針で刺して組織を採取し、光学顕微鏡、蛍光免疫染色、電子顕微鏡を用いて観察し、腎臓の状況を評価して診断をつける検査です。合併症として出血があるため、入院して行い、検査後は安静を保つ必要があります。通常は腎生検の結果を見て治療法を検討しますが、治療には副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬などを長期間使用することが多く、腎組織像以外に腎機能、尿所見、年齢、合併症の状況なども含めて総合的に判断して治療法を決めていきます。

病理図1 腎炎・ネフローゼ症候群
病理図2 腎炎・ネフローゼ症候群

ネフローゼ症候群は、腎臓の濾過機能を担う部分に異常が生じ、蛋白質が尿に大量に漏れる疾患です。そのため血中の蛋白質濃度が低下し、むくみや胸水、腹水など、体に水が貯まりやすい状態になります。ひどくなると呼吸困難を生じ、透析が必要になることもあります。腎炎同様、原因によって一次性、二次性に分けられ、腎生検によって診断をつけ、治療を行います。発症から年単位で徐々に悪くなるものもあれば、1週間程度で急激に悪くなるものもあります。

治療には副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬などの他、尿蛋白を減らす効果があるとされる薬剤を使用していきます。ネフローゼ症候群も、治療を行い尿蛋白の漏れを抑えることで腎機能の悪化を防ぐことができるため、早期診断、早期治療が重要です。

腎炎、ネフローゼ症候群とも指定難病になっている疾患があります(IgA腎症、急速進行性糸球体腎炎、抗糸球体基底膜腎炎、一次性ネフローゼ症候群、一次性膜性増殖性糸球体腎炎、紫斑病性腎炎など。 詳細は難病情報センターへ)。申請の際は主治医にご確認ください。