●有能なる青年科学者を最大限に進歩発展するように指導すること。
●研究の自由はもっとも尊重されなければらならない。しかしその自由の代償としてそれに対する責任はすべて自分が取らなくてはならない。これが自由の原則である。
●研究室では相互の和、チームワークがもっとも大切であるし、また絶対必要な場合が多い。一切のエゴは許されない。
●研究人生で最も大切な年齢は26〜34才まで。この期間にノーベル賞を目標とした猛烈な研究をやって人生生き甲斐のある青春を送って欲しい。人生自分が選んだ道にすべてをかけて純粋に打ち込むことが出来るとは、これ程幸福なことはないであろう。
●研究室で最も大切なことは、どんな簡単なことでも実際にやってみて、いかに自分は不器用であるか何事も実際にやってみると非常に難しいものであるということを思い知ることである。そして何よりも先ず卓越した技術を身につけるべく努力すべきである。
●自己の研究成果は他人によって認められるものであって、自分自らで認めるものではない。自分自身は、得たデータを正直に示すだけでよい。しかし他人というものは悪口こそ云えなかなか認めようとはしないものである。それを認めさせようというのであるから、そこにプロの厳しさがある。
●その顕微鏡写真は一枚一枚真心をこめてとること。これまでの研究の苦労の最終の総まとめがその写真であるし、また最高の写真を撮るためにはそこに到るすべてのテクニックが最高でなければならない。
●濱島研究室で研究を共にしてきた者は、必ず世界の檜舞台で大活躍しなければならない。
●大学院、助手は一年間に2つ以上の英文の原著論文を教授の許に提出しなければならない。発表者は直接研究に携わった者のみにして、たとえ教授であってもその研究を直接に行っていない場合にはその名前を列記することは許されない。
論文を書かない者は研究者としての義務を怠ったものとして破門されるであろう。
論文一つ書けない者は以後の一切の発言が認められなくなるだろう。
●研究室での生活は、どんな些細なことでも綿密にかつマメにノートすることである。
●いかなる場合でも遅刻を許さない。
●すでに他で公表されたものと同じ研究は一切してはならない。他人のやったことは絶対に真似するな。
●研究室貴族を追放する。研究室貴族とは他人の洗った硝子器具を平気で使い、使いっ放しにして洗いもせず跡始末も出来ず、また自分の部屋の清掃すら出来ない先天的不能者を研究室貴族という。お互い共同使用の礼儀を心得、助け合いかつ他人のために尽くすことにつねに心懸けること。
●格調高い人間となれ。人の悪口を絶対云うな。うそをつくな。細かいことにとらわれるな。常に世界の科学者たる自覚をもて。
●労力を惜しむことなくマメに立ち働こう。何事も積極的に行動することが望まれる。
●判らないことは遠慮なくどんどん聞くこと。聞けば誰でも親切に教えて呉れるものである。
●自然科学の研究でもっとも大切なことはどんな些細な現象でも「何故こうなったのか」という疑問を驚きの心で見出すことであり、また見出すべく努力することが必要である。
●諸君が毎日帰る時に、病理玄関を出た際、西側の医化学の教室*を見よ!!彼らはものすごいファイトで研究しているぞ。諸君の帰る時、まだ蛍光灯の輝いているのを見るだろう。彼らに負けるな!!
* 第一講座 早石 修教授
http://www.brh.co.jp/s_library/j_site/scientistweb/no28/
* 第二講座 沼 正作教授
http://mail.mfour.med.kyoto-u.ac.jp/~htsukita/new-pub/Numa%20jidai.html