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認知症疾患医療センター長挨拶

廣西昌也(紀北分院内科 教授)

 認知症疾患医療センター長を拝命いたしました廣西昌也です。どうぞ宜しくお願いいたします。

 認知症疾患医療センターは認知症に関する専門的な診断や症状への対応、専門医療相談などを行う医療機関です。かかりつけ医、介護・福祉施設などと連携し、地域の中で認知症の方やその家族に、適切な専門医療を提供することになっており、一定の要件を満たした医療機関が「認知症疾患医療センター」として認定されます。紀北分院では2019年4月から認知症疾患医療センターを立ち上げることになりました。

 日本社会は高齢化がすすみ、老化に関連した疾患が急増しています。昔は長命の方は少なく、認知症の患者さんも少なかったのですが、現在日本の高齢化率(65歳以上の方の割合)は3割に近づいてきております。伊都郡の高齢化率は4割程度にも達している状況です。
昔は認知症(かつては痴呆と呼んでいました)の方はむしろめずらしく、時には奇異な目で見られていたこともあったかもしれません。しかし高齢化社会のなかで認知機能の低下した方が増え、自分や家族、あるいは地域の方々にとっても決して他人事ではなく、みんなで認知症に対処してしかないといけない時代になったと言えます。

 物忘れが気になって、「もしかしたら認知症かも?」と心配していても、「認知症と言われたらどうしよう」とか、「認知症と診断されるのは恥ずかしい」と考える方もおられるかもしれません。しかし、認知機能の低下があったとしても、短期間で何もかもわからなくなるのではありませんし、多くの方はしばらくはそのままの生活を続けることができます。
大切なのは状況を的確に把握して、その方に必要なサポートを明らかにすることです。できないことはご家族や介護職の方にまかせ、できることは頑張ってやる。またご家族にも認知機能が低下した方への配慮をしていただく。それだけで「認知症かも?」と一人で悩んでいるよりもずっとストレスの少ない生活が可能になります。

 認知症疾患医療センターでは、各種の認知機能検査を行うほか、生活状況の把握、CTやMRIなどの画像診断、「なおる認知症」の鑑別、介護保険サービスの申請や近隣の医療機関との連携などを行わせていただき、認知機能の低下があってもその人らしく暮らしていくための支援、生活力を保つための工夫を検討させていただきます。

 紀北分院の認知症疾患医療センターでは、高齢化する地域でのフレイル(弱り)対策として、認知症評価だけでなく視力や聴力などの感覚器能力や、骨や関節などの移動能力を総合的に評価し、高齢者の弱り対策を行って参ります。当院では整形外科や眼科スタッフとともに老年期の弱りへの対策を行っておりますが、物忘れの進行予防には視力や聴力、あるいは移動能力(腰痛や関節疾患、骨粗鬆症対策)の確保が不可欠であり、認知症疾患医療センターへの受診の際には認知機能だけでなく視力や聴力、骨粗鬆症などの検査も含めた総合的な評価も望ましいと考えています。

 認知症は早めに総合的な介入を行うことで、その後の暮らしにも良い影響があると考えられます。認知機能の低下、物忘れが心配になれば、是非早めに受診していただければと思います。

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