
参考図書
痛くないお産 麻酔分娩がよ〜くわかる本 周産期専門の麻酔科医に聞く
奥富俊之(著)、島田信宏 メディカ出版
やさしい言葉で分かりやすく書かれており、タイトル通り硬膜外無痛分娩のことがよ〜く分かります。
一般妊婦さん向けですが、医療関係者にも一読してもらいたいです。単行本。
幸せな出産のために 無痛分娩のさまざまな方法
ウィリアム・ケイマン(著)、キャスリン・J・アレクサンダー(著)、
飯田武志(監修)、角倉弘行(監修)、中西真雄美(翻訳)
ランダムハウス講談社
アメリカ産科麻酔科医が書いた一般妊婦さん向けガイドです。硬膜外無痛分娩に限らず、他のあらゆる分娩方法についても書かれています。残念ながら、
現在の日本ではこの本のようにはいきませんが、日本とのギャップを知るだけで新鮮です。
硬膜外無痛分娩-安全に行うために 改訂2版
照井克生(著)、川添太郎(著)、木下勝之(著) 南山堂
医療者向け教科書。安全に無痛分娩を行うためのエッセンスが随所に書かれています。
麻酔科医に限らず、助産師にとっても必読の一冊です。
引用文献
- 天野完、他:無痛分娩 ―最近の世界の動向―、 分娩と麻酔76: 29-34, 1996
北米、ヨーロッパ、アジア、オセアニアのいずれの地域でも90%以上の施設で
無痛分娩は行われ、そのうち最も一般的な方法は硬膜外無痛分娩でした。
- Eltzschig HK、他:Regional Anesthesia and Analgesia for Labor and Delivery. New Engl J Med 348: 319-332, 2003
米国の無痛分娩の最新情報のまとめです。年間分娩の60%(240万例)で無痛分娩が行なわれるとしています。帝王切開率が20%近くはありますので、全分娩の80%弱で麻酔を利用した分娩がおこなわれている計算になります。
- 林玲子、他:0.1% ropivacaine+fentanyl 2μg/mlによる硬膜外無痛分娩、第50回日本麻酔科学会大会、横浜、2003
国立成育医療センターにおいて硬膜外無痛分娩を行った72名のアンケート結果です。無痛分娩により痛みは開始前の約二割に減少、満足度は10点満点で平均9.1点でした。
- Jouppila P、他:Lumbar epidural analgesia to improve intervillous blood flow during labor in severe preeclampsia. Obstet Gynecol 1982; 59: 158
重症妊娠中毒症で硬膜外無痛分娩を用いると、ストレスの程度をあらわす血液中のカテコラミンのレベルを下げ、胎盤の循環も良くなり、母親や胎児に良い影響を与えます。
- 田中基:ハイリスク分娩における無痛分娩、ペリネイタルケア2002; 21: 842-5
ハイリスク分娩における無痛分娩の解説。麻酔科医の周産期管理への参加は、母児の全身管理や緊急帝王切開への迅速な対応に有用で、安全性を高めます。
- Sharma SK、他:A randomized trial of epidural analgesia versus intravenous meperidine analgesia during labor in nulliparous women. Anesthesiology 2002, 96: 546-51
硬膜外無痛分娩と麻薬静注鎮痛(一般的に行われる鎮痛法)の比較対照研究。硬膜外無痛分娩を行っても帝王切開になる割合は増えないことが確認されました。
- Wong CA、他:The risk of cesarean delivery with neuraxial analgesia given early versus late in labor. N Engl J Med 2005; 352: 655-65
子宮口が4cmまでの早い時期に無痛分娩を開始した場合でも、それ以降に開始した産婦に比べ、帝王切開率などに影響はありませんでした。
- Carp H、他:Ultrasound examination of the stomach contents of parturients. Anesth. Analg 1992; 74:683-7
自然分娩中の産婦の胃内容物を超音波法により検査したところ、分娩中は胃腸の動きは低下し、分娩開始24時間後にも胃内に固形物が残っていました。
- Hollmen AI他:Effect of extradural analgesia using bupivacaine and 2-chloroprocaine on intervillous blood flow during normal labour. Br J Anaesth 1982; 54: 837-42
正常分娩の場合でも、硬膜外鎮痛は絨毛間血流を増加させることから、母児双方にとって有利であることが示されました。
- Leighton B他:The effects of epidural analgesia on labor, maternal, and neonatal outcomes: A systematic review. Am J Obstet Gynecol 2002; 186: S69-77
硬膜外鎮痛分娩が分娩所要時間に与える影響の研究。分娩第一期は影響を受けませんが、分娩第二期は平均で15分間延長。しかし母親、出生児には影響はないとされました。
- The American Collage of Obstetricians and Gynecologists Committee on Obstetrics: Maternal and Fetal Medicine. Obstetric Forceps. ACOG Committee Opinion No.71, 1989
米国産婦人科学会による分娩第二期が遷延(正常より長い)の定義。硬膜外無痛分娩では初産婦3時間以上、経産婦2時間以上と定義されています。
- Hansen SL 他:Active pushing versus passive fetal descent in the second stage of labor: A randomized controlled trial. Obstet Gynecol 2002; 99: 29-34
硬膜外無痛分娩で子宮口全開大後すぐ努責した場合と2時間後に努責した場合の比較。すぐに努責させない場合、分娩第二期は延長したものの、努責した時間は短くてすみ、母児に悪影響はありませんでした。
- 奥富俊之:無痛分娩に対する妊婦の意識、ペインクリニック 2002; 23: 154-9
日本に住む20-39歳の一般女性1,062名に対するアンケート調査。約六割の女性が無痛分娩に関心があると答え、同様の他のアンケートでも約六割の女性が今後無痛分娩は普及するであろうと答えました。
- American Society of Anesthesiologist, American Collage of Obstetricians and Gynecologists: Pain relief during labor, Park Ridge, IL, 1992
米国麻酔科学会と米国産科婦人科学会の共同声明。妊産婦が分娩時に痛みが緩和される処置(すなわち無痛分娩)を要求することは当然の権利であるとしました。
- 田中基、他:硬膜外無痛分娩導入の試み、臨床麻酔2000; 24: 1001-4
麻酔科医による硬膜外鎮痛は安全で産婦の満足度が高いことが示されました。小規模の施設では、麻酔科医が緊急の依頼に対応できない、手術室業務に支障が出るといった問題点が示されました。
- 黒須不二男、他:わが国における無痛分娩の現状、分娩と麻酔1995; 75: 6-14
わが国で無痛分娩を実施している施設の81.0%では産科医のみが麻酔を施行していました。専従の麻酔科医が施行している施設はわずか5.7%に過ぎず、麻酔科医の関与不足が明らかにされました。
連絡先
和歌山県立医科大学 麻酔科
(代表者:中畑克俊 Email nakahata@wakayama-med.ac.jp )
【住所】640-0012 和歌山市紀三井寺811-1
【電話】073-447-2300 (病院代表)
【電話】073-441-0611 (麻酔科直通)
【FAX】073-448-1032 (麻酔科)
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