学生体験実習2007 レポート

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学生体験実習 地域福祉関係施設学生実習2007 レポート

地域福祉関係施設実習を終えた学生の声(1)

今回の施設実習で、僕が学ばなければならないと感じていたことがあった。それは、地域の老人ホームがどのように機能しているか、そこで働く人々がどのような仕事をしているか、といった老人ホームの実情を知ることはもちろんであるが、何よりも、年配の方とどうコミュニケーションをとるかということであった。年代の違いが影響しているのか、僕は年配の方とコミュニケーションをどのようにとっていいのかわからない、と実感していた。事前に行っていただいた講習会でも質問させていただいたことであるが、僕は自分の祖父と話すときも、うまく話題を探し出せず、どう会話をしたらよいのか、わからなかった。そのときに答えていただいたのには、「とにかくまず、手を握ってあげればいい。」ということであった。実際、施設という現場に行ってみると、いかに自分が会話をうまくできないか、ということをすぐに実感した。やはり、会話が続かず、沈黙が続くことが多かったように思う。そこで、講習会で答えていただいたように、手を握ってあげると、施設の方が、そう答えてくださった意味がすぐにわかった。手を握って会話をするだけで、年配の方の、初対面の僕に対する近づきがたいような感じ、そして同じように僕自身も、初対面の相手に作っていた緊張の壁のようなものが、一気に和らいだように感じた。中には、手を握るだけで、笑顔を作ってくださる方もおり、それだけで、気持ちが伝わったようにさえ感じた。コミュニケーションは、なにも会話だけをうまくこなすことではなかった、ということをそのときに痛感した。考えてみれば当たり前のことであるが、うまく話題を探し出すことが最重要なのではなく、会話をするときの姿勢、目線の位地や送り方など、そういった態度もコミュニケーションには大切だということを実感した。そう思って見てみると、施設で働いている方はみな、目線や姿勢などに、いつも気を配りながら(施設の方は無意識にしていることかもしれませんが)、 会話をしていることにも気づいた。その当たり前のことを、自分がしっかり理解できていなかったということを実感することができたことが、今回の実習でもっとも意味のあることだった。
医師とは、年配の方々と接する機会も多く、医学的な技術、知識で病気を治療することだけでなく、まず患者の方とコミュニケーションをとることを必然的に要求される職業である。 今回の実習で感じたことを活かし、人間としての温かさを持ち、相手と同じ目線でコミュニケーションをとれるような人間になろうと、施設実習を通して決心した。

地域福祉関係施設実習を終えた学生の声(2)

数日ではありますが、認知症の方の隣に座って、ひたすら話を聞いたりして、じっくりつきあうことで見えてくることもあります。私も自分なりに付き合い方を模索していました。話はほとんどされませんが、私の髪の毛に触れて綺麗だと喜ぶ女性がいらっしゃったので、髪に触れやすいように机に伏せたりしていました。そうすると、疲れているのかと心配されて、頭をなでてもらった時に、ある種の衝撃をうけました。この方は認知症が進むまでは孫がいたりする普通のおばあちゃんと呼ばれる立場にいたのでしょう。それを突然思い出されたかのようでした。また、ちゃんと家まで帰れるのかといった心配をされたりした時も同様でした。他人への気遣いは人間らしさの根源だとおもいます。それを目の前にはっきりと示されたのが印象的だったのです。認知症の方は自分の主張や願望、希望、わがままをおっしゃる事が多いという印象を持っていましたし、それまでは自分の事を言うのに必死だった方が、突然他人の事を意識された瞬間に、私は人間性の最後の輝きを見た気が致しました。


そして、人間はこうやって老いて死んでいくのだということを強烈に意識しました。話していた90くらいの女性が「20歳だから、私たち、年が同じくらいですね。」といわれた時に、ああこの方は、この人生の終末に、人生の中で一番輝かしい一瞬を思い出されているのかも知れないと思いました。何かはうまくいえませんが、綺麗だなと思いました。高齢になられると、子供に戻られる方が多いです。人間は一番幸せな状態に戻って、そして死んでいくのかも知れません。

103歳のおじいさんに肩を揉んでもらったりして、ご老人の方々に生きていく元気をもらった気がしました。人間はどれだけ老いても、人間そのものでした。

地域福祉関係施設実習を終えた学生の声(3)

職員の方がお仕事なさっている姿勢に、非常に刺激を受けた。今回の実習では、高齢者介護は力仕事だというのが第一印象だった。入居者さんをベッドに運んだり、入浴介助のときは入居者さんを抱えなければならない。女性の職員さんが二人がかりで運んでおられたところを見学させて頂いたが、大人一人抱えるのは相当な重労働だと感じた。しかし、そんな大変なお仕事であるにも関わらず、職員の方はいつも笑顔で仕事をなさっていた。特に入居者さんに接するときは、愛想笑いではなく、ほんとうに自分の親類に接しているかのように親切で丁寧な応対だった。仕事だというだけで、あれほどにこやかにはいられないと思う。入居者さんたちも、職員さんと楽しそうに話しておられた。他に印象に残ったのは、職員さんたちがほんとうに入居者さん一人一人に対して、親身に接しておられることだった。


入居者さん一人一人の介護の仕方は異なる。それをこなしながら、常に「どうすれば入居者さんが安心して、快適に過ごせるか」ということを考えていらっしゃった。相手のことを常に思いやって、想像力を働かせるというのは、難しいことだと思う。このような姿勢は、簡単に身に付くものではないと思えたので、今のうちから養っていけるよう、日々考えて過そうと考えるようになった。