先進医療開発センター
センター長挨拶
県民・国民のみなさま方の健康増進のため、日進月歩しつづける医療技術の開発・普及等を行うため、以下のような研究部門を設置いたします。
- 先端医療開発普及講座
- 循環器画像動態診断学講座
- 運動機能障害総合研究開発講座
- 光学的美容皮膚科講座
- 腫瘍制御・薬物治療学講座
今後、みなさま方のご期待に添える研究成果の結果を生むことにより、地域貢献等に役立てて行きたいと考えております。
活動内容
- 先端医療の開発および普及
- 循環器画像動態の診断に関すること
- 運動機能障害の研究に関すること
- 美容皮膚レーザー治療の研究と探索に関すること
- 抗悪性腫瘍剤の至適投与法の開発に関すること
研究部門
- 先端医療開発普及講座
- 循環器画像動態診断学講座
- 運動機能障害総合研究開発講座
- 光学的美容皮膚科講座
- 腫瘍制御・薬物治療学講座
先端医療開発普及講座
近年、整形外科領域において最小侵襲手術は急速に普及しており、これに伴い手術器械、手術支援システムも発展しています。
当科では、1998年から全国に先駆けて脊椎後方進入内視鏡手術を行ってきました。これはわずか16mmの皮膚切開で腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などの疾患を治療することができる画期的な方法で、軟部組織を損傷せずに処置ができるため、患者の苦痛が少なく、術後数時間後には歩行ができるほどで入院も数日間ですみます。そればかりではなく、内視鏡の視野は非常に明るく明瞭であるため、安全で確実な処置が可能です。最近では、頚椎疾患も小切開の内視鏡手術で治療を行っており、大きな切開が必要な従来の手術と同等の成績を上げています。
しかしながら、内視鏡手術は直径16mmの円筒の中で行う術式であるため、術者は限られた範囲しか見ることができません。その結果、脊柱の変形が激しい症例においては熟練した術者でも解剖学的にどの場所を処置しているのか正確に把握できなくなることがあります。この問題を解決するために、当科ではナビゲーションシステムを内視鏡手術に組み合わせて使用しています。カーナビゲーションがドライバーに自動車の位置をリアルタイムに伝えてくれるように、術者が使用している手術機器の先端がCTから作成した立体像のどの位置に存在するかを表示してくれる手術支援システムです。このシステムのおかげで術者は正確な情報をリアルタイムに確認できるため、いっそう安全に治療することができるようになりました。
また、内視鏡手術には高度な技術が要求されるため、医師が内視鏡手術を身につけるには一定の経験をつまなければなりません。術前の計画時点で実際の処置をシミュレーションするツールや、手術中に進捗状況をリアルタイムに表示・記録するツールを現在開発中で、それにより多くの医師がスムーズに技術を修得できることが期待されます。
光学的美容皮膚科講座
和歌山県立医科大学皮膚科の研究・臨床テーマは、皮膚免疫・アレルギー、皮膚外科、創傷治癒、美容皮膚科で、日本皮膚科学会認定施設および日本アレルギー学会認定教育施設となっています。当科は、平成13年の日本皮膚科学会ケミカルピーリングガイドライン策定に際し中心的な役割を担い、それを実施する場として美容皮膚科外来を設け、臨床的なエビデンスの確立に寄与してきました。本外来では、座瘡や座瘡瘢痕、光老化皮膚(しみ・しわなど)に対してレーザー療法、ケミカルピーリング、外用・注射療法を積極的に行っています。
近年、美容・整容面に配慮した治療法の開発、研究が社会的に要請されています。そこで2012年4月から、新たな美容皮膚科方面の治療法の開発・研究目的として、山本有紀准教授や古川教授の指導の元、寄附講座 光学的美容皮膚科講座(株式会社ジェイメック寄附)が設立されました。
現在進行中の研究として、表皮の損傷を最小限に抑えつつ真皮を効率よく立体加熱できるRF(ラジオ波) の特性を生かし、レーザーとは異なる特徴をもつフラクショナルRF 治療(eMatrix) の痤瘡瘢痕に対する臨床・基礎的研究を行っています。また、今後の新しい研究課題として、レーザー治療は禁忌といわれてきた肝斑に対して、低出力Q スイッチNd:YAG レーザー治療の有効性と作用機序についても検討を行う予定です。