現在、地域で住民が安心して暮らすための基盤の一つである地域医療が崩壊の危機に瀕しています。この原因の一つとして治療学と高度先進医療にのみ重点を置いた現在の医学教育のゆがみがあるといえます。そして、この医療教育のゆがみが学生の都市型医療志向を生み、それが医師の都市への集中、地域の医師不足、地域医療の崩壊、地域医療に対するネガティブなイメージ、医師の都市への集中、というデフレスパイラルを生んでいるのです。
本学では、高度な医学知識・技術を培う医学教育と、豊かな人間性涵養を目的とした「ケアマインド教育」を医学教育の2本柱としたカリキュラムを実施してきましたが、「ケアマインド教育」を「地域医療マインド教育」に継続・発展させます。
「地域医療マインド教育」とは、高度先端医療から在宅医療までのさまざまな医療のステージ・形態(医療の全体像)を学生に体験させ、考察させることにより、学生が自分自身の目指す医師像をイメージできるようにするというものです。そして、「地域医療」に対するネガティブなイメージの払拭を図り、最終的には地域医療の再生を目指すものです。
本学では、この地域医療の再生という最終目的を達成するために、地域医療に視点を置いたカリキュラムの構築やボランティア活動等の支援を行うことにより、「地域医療マインド」を持った医療人を育成するという「地域医療マインド教育」の推進します。そして、学内に既に存在する地域医療を支援するための機構との連携を密にし、学生と地域で働く医師とそれをサポートする組織を統合した「地域医療支援システム」を構築することを目的として、「地域医療マインド育成センター」を設置し、このプロジェクトを推進していきます。