公立大学法人和歌山県立医科大学

プラグマティズム的臨床医育成プログラム

ハードマインドとソフトマインドの融合による患者評価に立脚した「実践的臨床医」育成プログラム

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公立大学法人 和歌山県立医科大学 医学部
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臨床教育現場

経験教育学習 感想文

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3年生 障害者福祉関係施設

和歌山県立医科大学では3年次に障害者福祉関係施設での実習を実施しています。

実習期間 :
平成22年12月13日~17日
(学生を16グループに分けての実習。1グループあたりの実習期間は2日間)
目   的 :
大学病院ではほとんど経験することの出来ない障害者福祉施設での実習を行うことにより、さらにケアマインドを育成し、医療の現状について理解を深めることにより、医療人としての資質の向上に努める。

学生感想文抜粋  学生の感想文の一部を紹介します

障害者施設に通う障害者さんは、障害を残す病気に罹患したり先天的に障害を持っていたり様々ですが、そこには医師との関わりが絶対あり、その付き合いは長年に及ぶものだと聞きました。障害を持つことは本人だけでなく、家族に大きな影響を与えます。私は、普段の学校での勉強でデータ化された数値を覚え、そのデータでその病気を判断してしまっていました。例えば統計学上の1%は少数ですが、その1%を構成している一人一人がその病気によって人生に与えられる影響はとても大きいということを念頭に入れて医師になる勉強をしようと思いました。

今回の実習でまず最初に感じたのが、そもそも「障害者」という言葉を正確に理解していなかったということだ。今まで生活しているなかで見かける障害者の方といえば、少し挙動がおかしいと感じたり、うまくコミュニケーションがとりにくかったりする程度であり、障害者といえばそういうものだという考えがあった。こちらの施設で見た患者さんは重症心身障害者といい、特に重症の方で、筋拘縮などでほとんど自力で運動できなかったり、知的にも重度に障害がある方が多かった。最初はコミュニケーションなんてできるのだろうかという不安でいっぱいだったが、話しているうちに、リアクションしてくださったり、やはり理解されているんだとわかった。その一方で「もしかしたら、今やっていることは患者さんにとって苦しいことではないだろうか」という不安も残った。こちらが100%患者さんの反応を理解できていないところもあるし、患者さんも頭では理解されていても、うまく表現できないのではないのだろうかと感じた。将来、自分は医師となる。実際に、重症心身障害児者にかかわってくる問題に直面することもあるだろう。その時にこの経験を活かせるよう、これからも延命治療や障害児者に対しての治療について学び、自分の考えを深めていきたいと思う。

最後の学生体験実習となる障害者福祉施設実習を終えて、今までの体験実習と最も違うと感じたことはコミュニケーションの難しさだと思う。1年生の時の老人福祉施設実習もコミュニケーションをとるのが難しいと感じたが、多くの人は話すことができたので、言葉で相手が何を考えているのか、どういう人なのかということを知ることができた。しかし、今回の実習では、多くの人が脳性麻痺やダウン症などの方で相手が何を考えているのか、何を伝えようとしているのかを知るのが今までの実習以上に難しかったと思う。職員の方も日々接していく中で試行錯誤の繰り返しをしながら利用者さんのことを知っていき、どうすれば利用者さんのQOLを高められるかを考えているとおっしゃっており、勉強会を開いたり、余暇支援やスヌーズレンといった様々な取り組みが行われているそうだが、そういう長期的なケアの必要性・重要性を今回の実習では感じた。そういった考え方は、医療のあらゆる分野でも医療者に求められるものであると思う。

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