和歌山県立医科大学では1年次に地域福祉関係施設にて介護実習を実施しています。
- 実習期間 :
- 平成23年2月21日~25日の5日間
- 目 的 :
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ケアマインドやコミュニケーション・スキルを身につける。介助体験等によって医師となる自覚、厳しさを身につける。入居者・利用者を中心とした各スタッフの協調性の重要さを理解する。老人福祉施設の現場を介助体験等を通じて理解し、老人医療の現場を体験する。アーリィエクスポージャーに続いて、地域医療の実態などを学ぶ。
医学の基本的な医学体系・概念および医療システムおよび基礎医学、臨床医学の関連について理解する。また、医療において知識・技能以外に倫理観・人間性が重要であることを体験を通して理解する。
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学生の感想文の一部を紹介します |
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今回の実習を通して、今まであまり知ることのなかった老人福祉施設について、いろいろなことを学ばせていただいた。 |
私は今までに何度かボランティアでデイサービスのお手伝いに行ったことがあるのですが、行くたびにあまり何もできない、役に立てないことに悔しい思いをしていました。今回はそんな思いを無くす良いチャンスだと思い、不安ながらも真剣に取り組もうと実習に臨みました。行ってすぐ、利用者さんとお話をしてあげて、と言われましたが、やっぱり何を話して良いのか分からず困ってしまい、結局あまり話をできずに終わってしまいました。お昼の時間には、初めて食事介助をさせていただきました。分らないことだらけですごく不安でしたが、「おいしいですか?」と聞くと、にこっと笑ってくれ、すごく嬉しかったです。その日の終りには、職員さんが丁寧にアドバイスして下さり、本当に勉強になりました。実習で一番思ったのは、たった5日間での私達の疲れとは、比べ物にならないくらいの疲れを、働いている職員さんは日々感じているんだろうなということです。私達は将来直接関係する所ではないですが、老人ホームの現状を知れ、とても良い経験になったし、この経験は医師になる上で絶対に必要なものだと思いました。
今回の実習で前もって予定されていた実習内容は、主に施設の活動の見学、そして高齢者の方々とのコミュニケーションということになっていました。施設の活動の見学は施設の実態を知るためには必須のことでありますが、私にとっての課題は高齢者の方々とのコミュニケーションでした。今回、コミュニケーションを取らせていただく方々に対してはうまくコミュニケーションを取っていけるかどうか、とても不安でたまらなかったのです。失礼な言い方だとは思いますが、認知症を患っている方々に失礼のないよう上手にコミュニケーションを取れるかどうか、実習を経験するまでは、自信が持てなかったのです。ですが、いざ実習に挑んでみると、認知症の方々とも自分の中ではうまくコミュニケーションが取れたと思うことができました。これは、ひとえに施設の職員の方々が私達に本当に優しく接して下さったおかげだと考えています。実習中に疑問に思ったことや困ったことに対し、職員の皆さんは一つ一つとても丁寧に答え、助けて下さり、様々なことを教えて下さったのです。この職員さん達の優しさは、まさに高齢者の方々に向けられているものと同じものでした。この優しさは、職員の方が日々高齢者の方のお世話をする姿を見ていれば、誰しもが感じることのできるものだと思います。実習を通じて最も私の心に残ったものは、純粋な「人の優しさ」です。これは、普段軽く口にしているような「優しさ」ではありません。相手の全てを受け入れ、自らの全てを持って相手のことを思いやり続けることを可能にする優しさ。まさにこれこそが、これから私が身に付けていかなければならないものだのだと強く感じることができました。