公立大学法人和歌山県立医科大学

プラグマティズム的臨床医育成プログラム

ハードマインドとソフトマインドの融合による患者評価に立脚した「実践的臨床医」育成プログラム

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公立大学法人 和歌山県立医科大学 医学部
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活動について

セミナー・シンポジウム開催について

「プラグマティズム的臨床医育成プログラム」活動成果報告会

和歌山県立医科大学が三年間行った取組みについて活動成果報告会を開催しました。

日時:平成24年2月21日(火) 13:00~14:30
場所:和歌山県立医科大学(三葛キャンパス)講義室

次      第
講演1
和歌山県立医科大学の取組内容紹介・活動成果の報告
プラグマティズム的実践的臨床医育成プログラム

教育研究開発センター
教授 羽野 卓三

講演2
名古屋市立大学の取組内容紹介
医療系学部連携チームによる地域参加型学習

名古屋市立大学 大学院医学研究科 医学・医療教育学分野 教授
早野 順一郎 先生

  


講演1  要旨
大学教育・学生支援推進事業【テーマA】大学教育推進プログラム
「プラグマティズム的臨床医育成プログラム」
ハードマインドとソフトマインドの融合による患者評価に立脚した「実践的臨床医」育成プログラム

和歌山県立医科大学
教育研究開発センター
教授 羽野 卓三

和歌山県立医科大学はケアマインド教育に取り組みハードマインドである知識・技能とともにソフトマインドの育成を2つの柱としたカリキュラムを採用している。同時に、体験型実習を学内や大学周辺に限らず、広く和歌山県下において行うことで地域医療マインドを育成する教育を並行して行っている。これらの取り組みには、1年次の夏休みに県下の11中核病院での早期体験実習、年度末に24か所の老人福祉関連施設実習、2年次に保育所実習、3年次に障害者福祉施設実習がある。6年次には和歌山県下16の病院での臨床実習を行っており、これらの実習を継続的に行うことで、ケアマインドを合わせ持つ地域医療マインドの育成を図っている。しかしながら、これらの実習が最終的に患者満足を得られる医療を提供できるかについての検証はない。そこで、臨床実習において指導医からは知識・技能のハードマインドの評価、看護師からは接遇、共感、気配りなどのソフトマインドの評価、患者からは接遇態度、身だしなみ、時間的配慮などについて聞き取り調査をおこなった。実習中の訪室回数は研修医では増加し、訪室時間は研修医になると減少した。指導医評価は卒業時の成績、OSCEの成績と正相関を示したが、ケアマインド教育の成績とは相関を示さなかった。看護師の評価は卒業時の成績とは相関を認めず、ケアマインド教育の成績とは正の相関を示した。患者評価は卒業時の成績とは相関せず、ケアマインド教育の成績、OSCEの成績と正相関を示した。自己評価はどの成績とも相関しなかった。1年次の老人福祉施設での介護士による評価は1年次の成績、ケアマインド教育の成績と関連しなかった。看護師および患者評価はケアマインド教育の評価と相関するが、知識・技能を問う卒業試験とは相関しなかったことから、患者満足が得られる資質は通常の教育では育成が困難であり、継続的なケアマインド教育が必要である。また、老人福祉施設での評価とケアマインド教育の評価が相関しなかったことより、より継続的な教育が卒業時点におけるケアマインドの形成に必要であると思われる。


講演2  要旨
医療系学部連携チームによる地域参加型学習

名古屋市立大学
大学院医学研究科医学・医療教育学分野
教授 早野 順一郎

名古屋市立大学では2009年から文部科学省の支援事業として医療系学部連携チームによる地域参加型学習を始めました。このカリキュラムでは、(1)初年次導入教育としての課題解決型学習能力の習得、(2)将来のチーム医療の基礎となるチームワーク能力の育成、(3)医療人としてのプロフェッショナリズムの自覚を目標に、医・薬・看3学部の混成チームとして、地域のニーズの調査とそれに対応した課題解決をテーマとする学習を行っています。カリキュラムでは3学部の1学生240名が24チームに分かれ、基本医療技能実習(グループ討論、医療面接、介護手技、一次救命処置)、早期体験学習(病棟看護、看護体験、人工透析室、内視鏡室、中央放射線部、臨床検査室、栄養管理室、薬剤部、調剤薬局)を行った後に、保健福祉施設、学校、学区連絡協議会、地域振興会、一般病院とその診療圏、山間・離島などの遠隔地を担当し、地域診断技法による地域ニーズの発見と「学生なればこそできる」課題の解決に取り組んでいます。このカリキュラムの特色として、2009年以来、年間を通じて毎週水曜日に3学部の担当教員9名による医療系学部連携教育委員会を開催しており、3学部の教員が強い一体感を持ってこの事業の立案・運営、教材作成に取り組んでいます。もう一つの特色は、カリキュラムの目標に即した方略と評価を実現するために、「チーム“力”評価尺度」、「プロフェッショナリズムとコミュニケーション能力のピア評価」、「調査・研究活動プレゼンテーション・チェックリスト」を作成し、チーム内およびチーム間で学生相互にピア評価を行っている点です。このカリキュラムでの学生の活動状況の紹介と、これまでの経験について述べたいと思います。

  

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