日々進歩する医療の分野でこれから必要とされる薬学系人材は、卓越した専門的知識や見識と共に分野横断的な深い考察力を持ち、国際的・学際的観点から、医療を基礎的、臨床的、トランスレーショナルに研究・開発できる人材である。また地域の拠点となる医療機関・中核病院として地域住民の健康を守っていくためには、地域医療の医療事情・課題にリーダーシップをもって向き合い、高度チーム医療の実践によってその解決を推進できる能力も必要とされる。つまり、先端的な薬学研究や高度先進医療を国際的に展開・牽引するとともに、その成果をもって、広く地域や世界に貢献ができる先端的薬学研究者及び高度医療人が必要とされている。

　以上の背景を踏まえ、本プログラムは、以下のような能力の育成を目的とする。

①薬学に関する卓越した専門的知識や見識と高い倫理観、分野横断的な深い考察力に基づき研究計画を主体的に立案・実施する能力

②地域の保健医療課題の解決を目指して医療ニーズに応えることができる先端的薬学研究や高度先進医療を主導的かつ世界水準で実行し、展開する能力

③多種多様な基礎・応用研究を従来の枠にとらわれず、また医学・薬学統合的に実践して、その臨床直結型研究の成果を地域や世界に還元・発信するとともに後進の高度医療人育成を促す能力

薬学に関する卓越した専門的知識と見識、分野横断的な深い考察力と高い倫理観、自立した高度な研究能力を持ち、地域や世界で活躍できる先端的薬学研究者・教育者又は指導的立場から分野横断的に高度先進医療や創薬を含む臨床直結型研究を推進できる高度医療人を養成する。

所定の単位を修得し、博士論文の審査及び最終試験に合格するとともに、次に該当すると認められる者に博士（薬学）の学位を授与する。

①本プログラムの学生として備えておくべき研究・医療倫理、多職種連携、英語論文による発信方法等の基礎的・応用的知識を有している。

②薬学に関する卓越した専門的知識と見識及び専門分野以外の幅広い知識と見識を医学・薬学統合領域において有している。

③分野横断的な深い考察力と高い倫理観を持ち、先端的な薬学研究や高度先進医療の課題を発見する優れた能力を有している。

④指導的立場から積極的に課題解決に取り組み、その成果を世界に発信し、社会貢献できる高度な研究能力を有している。

　国の内外にわたる医療系大学教員、研究機関や健康･医療関連企業における先端的薬学研究者、地域医療機関における高度専門薬剤師・指導薬剤師等

学生がディプロマ・ポリシーに示す能力を修得できるように、以下の方針で教育課程を編成する。

①それぞれの専門分野で共通に必要となる研究・医療倫理、多職種連携、医療情報リテラシーを学ぶ共通科目（必修）を設定する。（ディプロマ・ポリシー①に主に対応。以下同じ。）

②医学・薬学の応用的知識や地域・世界の保健医療課題等を教授することにより、幅広い考察力、自ら多様な課題を発見する能力、発展的な研究手法や英語論文による発信方法を修得するベーシック科目（必修・選択）を設定する。（ディプロマ・ポリシー①②③）

③医学・薬学分野の卓越した知識と見識、がんや感染症、死因究明など最新の知見を学び、分野横断的に深く考察し高度な研究を行う能力を修得する専門科目（選択・必修）を設定する。（ディプロマ・ポリシー②③）

④薬学分野における卓越した知識と見識、地域・国際・学際的視点から課題を発見し解決に向け主導的に取り組む意欲と高い倫理観、高度な研究能力、成果を世界に発信する能力を修得する特別科目（選択必修）を設定する。本科目では併せて先端的薬学研究や高度先進医療・地域保健医療を指導的立場から推進できる行動力や共同研究・医療チームのリーダーとしての資質を涵養する。本科目は、講義科目としての特別演習Ⅰ及び特別演習Ⅱ並びに研究指導科目としての特別研究で構成する。（ディプロマ・ポリシー②③④）

⑤特別科目では、主科目と同じ区分から選択する副科目１（特別演習Ⅰ）、主科目と違う区分から選択する副科目２（特別演習Ⅰ）を履修し、専門分野にとらわれない幅広い視野と専門的知識の修得を可能とする。（ディプロマ・ポリシー②③④）

⑥医学・薬学両分野の幅広い専門的知識と見識を獲得するため、両分野の教員がオムニバス形式で参画する科目を共通科目及びベーシック科目等で開設するとともに両分野の専門科目を選択できるようにする。（ディプロマ・ポリシー②③）

⑦成績評価は、主体的・積極的な授業・研究への取組、レポート及び研究成果により評価する。

⑧学位審査は、研究指導教員等の中から選定された３名以上の審査委員で組織した論文審査委員会において公正な審査を行い、続いて医学薬学総合研究科委員会にて判定を行う。

ディプロマ・ポリシー及びカリキュラム・ポリシーを踏まえ、次のような学生の入学を求める。

①先端的な薬学の卓越した知識と見識、高い倫理観、課題解決のための高度な能力を身に付けたい人

②医学・薬学統合領域の専門知識や分野横断的な考察力により、薬学の多種多様な課題を発見し、その解決に精力的に取り組み、世界レベルで活動したい人

③リサーチマインドを持った高度医療人、共同研究や医療チームのリーダーとして、高度先進医療・地域保健医療を積極的に推進したい人

④薬学・医療分野において、大学、医療機関、企業等に勤める社会人としてキャリアアップを図り、教育・研究・臨床活動を高いレベルで実践し、地域貢献、社会貢献したい人

⑤本プログラムでの学修の基盤となる、薬学の知識や研究能力、考察力、コミュニケーション力や英語力を持ち、主体的・協働的に研究に打ち込む態度を有する人