ウダヤナ大学留学体験談

 医学部6年 奥平宏隆

2026年3月、インドネシア・バリ島のMangusada病院で約3週間の臨床留学を行った。主に皮膚科・性感染症領域を中心に、外来診療や処置の見学、症例の検討に参加した。日本とは異なる医療環境の中で、疾患の背景や診療体制の違いを実際に学ぶことを目的として参加した。

外来見学では、日本でもよく見られる白斑や乾癬、梅毒などの疾患が見られた一方で、ハンセン病のように日本の日常診療では接する機会が少ない疾患や、癜風、疥癬といった高温多湿なインドネシアの気候が背景にある疾患や、ビーチサンダルのゴムによる接触性皮膚炎など生活習慣や文化的要因が背景にある疾患を多く目にし、日本との違いを実感した。

全外来でとりわけ多かったのが、尋常性白斑の光線療法であったが、これは現地の先生曰く治療費が公的に負担されるため多いのだそうだ。

 外来見学に加えて手技を実際に行う機会も与えられた。局所麻酔や疣贅の電気メスによる焼灼、梅毒患者へのペニシリンアレルギーテストおよびペニシリン筋注などを経験した。日本の臨床実習では、手技を行う前に神経を傷つけないようにここは避けるように、角度はどれぐらいで、などある程度座学的な内容を履修してから実践することが多いが、私が筋注をするように言われた際は、手本を見せるからやってみるように、というような指導医の手本を見た上で実践的に手技を求められることが多く、現地の医学生はより広範な事前学習を求められているように感じた。

 今回の留学を通して、患者背景や文化、医療制度を理解することの重要性を学んだ。留学前はインドネシアの医療について、進行した性感染症や真菌による皮膚疾患が大多数であろうという固定観念があった。しかし、実際に現地に行ってみると、真菌疾患は多い一方で性感染症については日本と大きく異なる印象は受けなかった。また、日本でも数多く見られる白斑や乾癬の患者もかなり多く、実際の症例を診ることで初めて得られる知識もあると感じた。

加えて、ビーチサンダルによる接触性皮膚炎は留学前には考えつきもしなかった疾患であり、文化的な背景を知る重要性を実感したとともに医師になった後に海外旅行客などの診察の際には、自分の知識や経験だけでは想定しにくい文化的背景が存在する可能性を意識する必要があると感じた。

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