マヒドン大学国際交流プログラムに参加して
保健看護学部2年 𠮷川真央
私は2025年3月15日から26日までの12日間、タイのマヒドン大学公衆衛生学部における国際交流プログラム「Health Issues and Health System in Thailand」に参加した。このプログラムは、タイの医療・公衆衛生の現状と課題を学ぶことを目的としており、タイ、インドネシア、バリ島(インドネシア)、中国、ベトナム、埼玉県(日本)、兵庫県(日本)から来た10校の大学生や大学院生が30名ほど集まっていた。マヒドン大学や他国のクラスメイトとの交流やフィールドワークを通じて、文化・社会・医療制度の違いを知る貴重な機会となった。
1.プログラム参加の動機
私がこのプログラムに参加したいと思った主な理由は、将来、多様な価値観を持ち、人々に寄り添える医療人になりたいという目標があるからである。医療が提供される現場は常に文化や宗教、生活習慣と密接に関わっており、患者一人ひとりの背景を理解する力が医療者には求められると、これまでの講義で学んでいた。文化を知るだけでなく「文化を理解しそれに配慮した医療」を深めるには、実際に海外の医療現場や人々の生活に触れる必要があると考えた。
またタイだけでなく様々な国のクラスメイトと交流できるため、積極的にコミュニケーションをとることで私の視野を広げることになると考え、応募した。
2.活動内容と現地での学び
プログラムは、文化体験・講義・フィールドワーク・グループワークから構成されていた。ここではプログラムの一部を述べる。
①文化体験
3月16日には、世界遺産にも登録されているアユタヤ遺跡を訪れた。そこには頭部を失った多くの仏像があった。その頭部が埋まっている木が有名で、ガイドの方の説明により、戦争によってこの姿になったことを知った。タイの仏像の文化とともに、戦争の悲惨さを考えさせられた。
Free dayや放課後には、クラスメイトとナイトマーケットへ行ってタイ料理を食べたり、三大寺院を訪問し民族衣装を着たり、値切り交渉をしてトゥクトゥクに乗ったりした。これらも文化を通した面白い体験であった。寮ではよく夜に集まって各国の文化や観光地、宗教、夢などの様々なことを語り合った。刺激的で新しい考えがたくさんあり、非常に有意義な毎日を過ごすことができた。
②講義・ディスカッション
マヒドン大学の講義は非常に充実しており、「タイのUHC制度」「NCD対策」「環境と健康」などのテーマについて、事例を交えながらタイの現状を学んだ。特に印象的だったのは、「Universal Health Coverage in Thailand」に関する講義である。医療アクセスの地域格差をなくすために、政府が資源配分や人材育成を工夫していることを学んだ。
また、3月21日のグループワークでは、日本の医療制度とタイの制度の違いについて、クラスメイトとディスカッション、大学ごとにプレゼンテーションをした。日本は他国に比べて衛生状態が良く、医療が発展しており、高齢化社会での課題が目立った。タイでは感染症と慢性疾患の課題への対応が重視されており、地域ごとに求められる医療の在り方が異なることを知った。その他インドネシアやベトナムでは環境汚染や小児死亡率による課題が挙げられていた。またどの国でも、格差が大きな課題としてあることが共通点として発見した。
③フィールドワーク
特に印象に残ったのは、地域の保健センター(Health Promoting Hospital)を訪問したことである。バンナムプン地区の施設では、住民との距離が近く、健康相談、栄養指導、家庭訪問などが日常的に行われていた。医療機関が治療をする場だけではなく、地域の健康を支える場所として存在していて、日本の診療所と似ていると感じた。またタイ式マッサージを受けられる場所や栄養指導の場としてのキッチンがあり、日本との違いも見受けられた。
11日間という期間で、マヒドン大学でのプログラムは、文化や自分自身の医療観を大きく変える体験となった。文化を理解し、違いを尊重する姿勢こそが、今後も多様化すると考えられる医療現場において求められる力だと再認識した。この経験から、今後も理想とする医療人になれるよう努力したい。
4. 終わりに
このような貴重な機会を与えてくださった池田先生、山東先生、工藤さん、Ms.Annをはじめマヒドン大学の皆様に心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。