Charles University 臨床実習留学体験記

第6学年 生地みづ穂

    2019年5月20日より3週間、チェコ共和国のチャールズ大学医学部付属病院とその関連病院にて留学する機会を頂きました。今回私が留学先としてチャールズ大学を希望したのは、実習先の病院において移植や小児外科の症例数が多いと聞き、なかなか和歌山で見られない手術を是非見学したいと思ったからです。またチャールズ大学から和歌山医大には毎年留学生が来ており、その学生たちとの交流を通じて、チェコの学生はどのように医学を学んでいるのかを見てみたいと感じたこと。チェコも英語が第一言語ではないにも関わらず、留学生は皆英語が非常に流暢であり、自分の語学力の未熟さに危機感を感じ、勉強するきっかけにしたいと思ったことが主な動機です。留学中は大変刺激的な毎日を送ることができ、学生の集大成として非常に有意義な経験をさせていただきました。それぞれの病院での実習内容や現地での生活について書きたいと思います。
  ①IKEM(transplant surgery)での実習
チェコに到着して初めの1週間は、チャールズ大学医学部の関連病院であるIKEMという、プラハ市の中心部から少し離れた郊外の病院で実習しました。ここでは“department of transplant surgery”という移植を主に行っている科を回りました。チェコでは人口あたりの脳死ドナーの数が日本に比べてはるかに多く、チェコで行われている移植手術のほとんどがIKEMで行われているため、手術件数が多いことが特徴です。私が居た1週間でも、脳死ドナーからの移植はなかったものの、生体腎移植が4件あり、初めて見る手術は大変興味深いものでした。移植以外にもこの科には腹部外科、血管外科が含まれているので多発性嚢胞腎患者の両腎摘出など多くの手術見学をさせていただきました。
  ②Motol(pediatrics cardiology)
2週目からはチャールズ大学第二医学部付属病院のMotol病院で、小児循環器科を回りました。Motol病院は約2400床のチェコ最大の病院であり、そのうち800床が小児病棟であるという、非常に小児に力を入れている病院です。小児循環器科では内科、外科、ICUがあり、私は主に心臓血管外科の手術見学をさせていただきました。週5日、毎日2,3件の先天性心疾患の手術があり、TGAや総動脈幹症、総肺静脈還流異常症など豊富な症例を見ることができ、大変貴重な経験になりました。手術以外では、外来見学、カテーテル、エコー見学など自分が見たいものを自由に見させて頂くことができました。
   ③毎日の生活
滞在中は大学が用意してくれていた寮に泊まっていました。寮は3週間で1万4000円ほどという格安で、一人部屋ですが、キッチン風呂トイレは男女共用でした。管理人が常にいるのですが、ほとんどチェコ語のみでの対応であったので、着いた日はチェコの友人に手伝ってもらい無事部屋に入ることができました。寮から病院までは地下鉄やトラムを利用していました。どれも数分おきにあるので非常に便利で、寮からプラハの観光の中心地までも地下鉄で20分ほどであったので観光も楽しむことができました。プラハの料理はとても美味しく、街はどこを歩いても素敵で絵になる場所ばかりで、チェコの人々は優しく、実習以外でも、国としての魅力を十分に感じました。またヨーロッパにしては物価も安くとても生活しやすく感じました。
   また、滞在中は日本で友達になっていたチャールズ大学の学生に、寮の手続きや電車の定期券の購入、大学秘書さんとのやりとりなどチェコ語でないと難しい多くのことを手伝ってもらいました。一人で不安だった留学期間に友人たちの支えは非常に心強く、みなの優しさに心打たれました。週末には、チェコのおすすめの場所へ連れていってもらったり、美味しい料理を一緒に食べたりと、友達がいたからこそ滞在がより素敵なものになったと強く思います。人とのつながりは大事であると改めて感じました。
    3週間の実習は毎日楽しく、あっという間に過ぎました。普段と異なる環境で生活することで、周りから得られる刺激はとても多く、行く前よりも積極性がついたことなど精神的にも成長できたのではないかと思います。また、語学面では、チェコの先生方や学生は皆英語が堪能であり、自分ももっと英語を勉強しなければならないと強く感じる日々でした。ヨーロッパはEU圏内で留学する人が多く、病院にも留学生が多いので英語を使う機会が多く慣れているように思いました。留学を通して、自分に足りていないもの、姿勢に気づくことができ、今後に必ず生かしていきたいと思います。
    最後になりましたが、今回このような素晴らしい機会を与えていただいたことに心より感謝申し上げます。国際交流センターの川股教授、林さんをはじめ、チャールズ大学でご指導頂いた先生方、秘書さん、本当にたくさん助けてもらったチェコの友人たちなど、お世話になった多くの皆様、本当にありがとうございました。

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