チャールズ大学・IKEM 短期留学報告書

安藤 愛里

 選択ポリクリのうちの1ターム(3週間)を利用し、チェコのチャールズ大学第二医学部付属病院と関連病院のIKEM(Institute of Clinical and Experimental Medicine)での臨床留学を経験させていただきました。
私は3年次の基礎配属でもアメリカのミネソタ大学に3ヶ月間留学させていただいており、日本との違いを感じ刺激を受けたので、臨床実習でもどこか海外での実習を経験してみたいと当時から漠然と考えていました。海外の医学教育に触れたい、医学英語をもっと学びたい、という気持ちはその後も変わらず、海外臨床実習志願書を提出することに決めました。留学を志願するにあたり、和医大には臨床留学先として希望できる大学がいくつかあります。その中で私がチャールズ大学を第一志望とした理由は、①実習する診療科が選べる。②前回の留学先がアメリカだったので次は別の国で学び視野を広げたい。という2点が挙げられます。
 今回、私が選択した診療科はIKEMの臓器移植外科とチャールズ大学の小児循環器科です。
4/8-12:IKEM   臓器移植外科(1週間)
   和医大での実習では臓器移植を見る機会がなかったため、せっかく行くなら日本で見られないような手術が見たいと思い臓器移植外科を選びました。毎日朝7:30からカンファレンス、9:00から主に手術見学をして1週間過ごしました。チェコでは移植の多くが脳死下もしくは心停止下であるので予定が事前にわかるものではありませんが、私の実習期間には膵臓移植を見ることができました。移植のない日にも、多い日には1日4件の血管外科手術や消化器外科手術を見学したり、清潔で参加させてもらいました。
4/15-26 :チャールズ大学 小児循環器科(2週間)
    チャールズ大学は小児科が有名だと聞いていたので、先天性心疾患について学びたいと思い小児循環器科を選びました。IKEMと同様7:30からカンファレンスをし、その後は心エコー、カテーテル、手術、外来見学、ICU管理などから、毎日自分の興味のあるものを選び自由に実習させてもらいました。
   チェコ語ばかりで何も学べなかったらどうしようかと留学前は不安でしたが、病院の先生方は英語がとても流暢で、疾患の説明や手術の説明を丁寧にしてくれました。カンファレンスや回診はチェコ語でしたが、近くにいる先生が気を利かせて英語で説明してくれたのでとても助かりました。
    チェコでの実習の利点は、積極性さえあれば興味のある分野を深く学ぶことができる点だと思います。産婦人科にも興味があると友人に伝えたら産婦人科の先生にも紹介してくれ、チャールズ大学での実習のうち1日は婦人科腫瘍の手術の介助を経験することができました。逆に言うと、「?がしたい、見たい、興味がある」と言わなければ何も実習が始まりませんでした。チャールズ大学で一緒に実習をした学生が、実習中に興味のある分野、疑問に思ったことに対して積極的に先生に質問している姿がとても印象に残っています。チェコでは学生の実習は14:00ごろ終わるのが一般的なので、一見すると日本より実習時間が短くて勉強してないように感じられますが、実際にはだらだらと過ごす時間はほとんどなく、実習では先生とのディスカッションをしたりと非常に密度の濃いものです。そして、私の友人の多くは14:00ごろ実習が終わってからの自由時間は次の試験勉強や追加の講義(ドイツ語など)を受けるために利用していました。日本での自分の実習に対する態度を振り返ると、基本的にチェコの学生よりも長い時間(17:00過ぎまで)実習をしてはいますが、与えられたスケジュール通りに動きただ存在していることで満足していたように感じ情けなくなりました。
   もちろん、和医大の実習の方が良いと感じた点もあります。例えば、あまり興味のない診療科の実習で、積極的になるのが難しい場合でも担当症例を持ちその疾患について深く考える機会が与えられますし、スケジュール通り動くことでその科ごとの全体像が理解できます。チェコでは医学部卒業後すぐに将来の診療科を選ばないといけませんが、日本では初期研修の2年間のうちに選べばいいので興味のない分野でも満遍なく学ぶ機会が与えられているのは良いことと考えることもできます。
    たった3週間の海外実習では全てを理解することはできないので、この考えが正しいのか分かりませんが、少なくとも私にとってこれまでの自分の勉強、実習に対する取り組み方を考え直す機会となりました。今回の留学では医学的知識、医学英語だけでなく、学び方、時間の使い方、文化ごとの考え方の違いを知ることでひとまわり成長できたと思います。
   最後になりましたが、貴重な留学の機会をくださった国際交流センター長の川股先生、常に連絡をとりサポートしてくださった林さん、チェコでお世話になった多くの先生や、生活面で助けてくれた友人には感謝の気持ちでいっぱいです。この経験を生かし、医師として人としてよりよくなれるようチェコの友人に負けない向上心を持ち努力していこうと思います。本当にありがとうございました。

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