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消化管グループ

消化管腫瘍(胃がん・食道がん・大腸がん・頭頸部がん・十二指腸腫瘍)に対する内視鏡治療

我々が特に力を入れて行っている早期がんに対する内視鏡治療は、口あるいは肛門から内視鏡を挿入し、先端部から器具を出して、がんを切除する方法です。主に内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を行っています。ESDにより、大きな病変でも分割することなく一括して切除することできます。おなかを切る外科手術に比べて体への負担が軽く、胃や腸の大きさや機能が保たれることから術後の後遺症が少ないのが特徴です。

治療前には、狭帯域光観察(NBI:Narrow Band Imaging)を併用した拡大内視鏡検査で、微細な血管や粘膜の表層模様を鮮明かつ詳細に観察し、病変の悪性度や範囲診断を行います。また、内視鏡の鉗子口より小型の超音波探触子(プローブ)を体の中に挿入し、食道・胃・十二指腸・小腸・大腸などの消化管にある腫瘍に対し、その深さや内部の構造を評価します。

また、早期の咽頭がんの内視鏡治療を耳鼻咽喉科の先生方と合同で行います。

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食道ESD

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胃ESD

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大腸ESD

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※当院では2017年より主にSOクリップという牽引装置を用いて大腸ESDを行っています。下図のようにバネ付きクリップを用いて病変を上に引っ張り上げることにより、安全かつ効率的に剥離を行うことができる方法です。

SOクリップを用いた大腸ESD

イメージ図

平成29年の時点で、全国6618病院を対象にした調査(週刊朝日)では、食道、胃、大腸の当科での早期癌に対する内視鏡治療件数は、それぞれ全国35位、7位、36位であり、和歌山県立医科大学附属病院が提供する自慢の医療の一つとなっております。

当科では、この手技をできる術者が8人在籍し、このように多数の専門医が常勤する施設は多くありません。また、大きな病変や、内視鏡操作が困難で、他院では手術しかないと言われた難しい病変を含め、県内外から数多くの患者さんに御受診頂き、非常に良い治療成績を挙げています。

大腸腫瘍に対する内視鏡的切除術

大腸のポリープのほとんどは、腺腫と呼ばれる良性の腫瘍です.この腺腫は自然に小さくなったり消えてしまうことはほとんどなく、長年の間変化しないか、次第に大きくなります。問題は、大腸に発生する腺腫の中に悪性化(癌化)するものがあることです。
検査で発見されるすべてのポリ—プを取る必要はありませんが、ある程度の大きさ(5mm以上)の腺腫は切除した方がよいというのが現在の一般的な考え方です。万一、すでに癌化していても癌が粘膜に留まっている段階であり、内視鏡的に完全切除ができれば根治的な治療となります。内視鏡的にポリープを切除する際は、内視鏡の中に細いワイヤー(スネアといいます)を通します。このスネアでポリープの付け根の部分をしばり、締めつけながら同時に弱い電気(高周波電流)を流して焼き切ります。

また、隆起の丈が低く平坦でスネアがかかりにくいときは、ポリ一プの下に生理食塩水などを注入して隆起を高くし、スネアをかけて切除します。これを内視鏡的粘膜切除術(Endoscopic Mucosal Resection ; EMR)といいます。

内視鏡により切除された病変は、回収して顕微鏡で観察し、癌細胞の有無や病変の深さを調べます。病変の深さや広がりによっては、外科手術が必要となります。

EMRの手技の実際

イメージ図

また近年は、コールドポリペクトミーといって、1cm以下の良性ポリープに対して高周波電流や隆起剤を使用せずに切除する方法も行われてきています。この方法は従来の方法に比べて出血や穿孔の確率が低く、抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)を内服されている患者さんに対しても比較的安全に行うことができるとされています。
また、短時間で処置がすむこともメリットのひとつです。当院においてもコールドポリペクトミーを導入しており、適応のある患者さんに対しては積極的に行っております。

腹腔鏡内視鏡合同手術(Laparoscopy and Endoscopy Cooperative Surgery: LECS)

胃内発育型の粘膜下腫瘍や十二指腸の低悪性腫瘍に対してLECSとよばれる低侵襲手術が2006年に開発されました。LECSは内視鏡的粘膜下層剥離術の手技と腹腔鏡での縫合手技を連動させて行う胃や十二指腸の局所切除です。最小限の切除範囲での腫瘍切除が可能であり、胃や十二指腸の機能を温存できる術式です。
私たちは2013年よりLECSを開始し、現在まで胃LECS 38例 十二指腸LECS 21例を行い、全例安全に施行できています。十二指腸LECSは当院の倫理委員会の承認を得て行っています (UMIN000021200)。

胃LECS

内視鏡画像

十二指腸LECS

内視鏡画像