取組担当者 挨拶

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羽野教授
平成18年度「特色ある大学教育支援プログラム」 「ケアマインド」を併せもった医療人教育―緩和医療とロールプレイを通して―の採択に寄せて

  平成18年度「特色ある大学教育支援プログラム」に「ケアマインド」を併せもった医療人教育が採択されましたことは、和歌山県立医科大学のケアマインド教育が評価されたのみならず、今後の本学の取り組みに大きな追い風となりました。医療問題ロールプレイの本質は、医療における問題点を自分自身で見つけそれをどのように具現化するか、その過程の中で問題点をどのように掘り下げ、患者の方々、弱者の方々の気持ちを如何に捉え、伝えようとしたかに尽きると思います。この取り組みは、学生にとって6年間の学生生活のなかで思い出深いものの1つになることは間違いないでしょうし、医師になってからは、患者の方々に満足を与える医療を支える2つの柱、すなわち、科学者としての豊富な知識、正確で冷静な判断能力とともに人・命への深い想いを養う取り組みであったと確信しております。また、そのような患者の方々の命への思い入れの強さが、真の知識や技術を吸収する源になると信じております。緩和ケア病棟での実習は、学生にとっては非常に重い内容ではありますが、医師として避けて通れないものであり、どのような状況の中でも、決して患者に背を向けてはいけないことを、この実習で学んでもらいたいと思います。
   人の考えは、一様ではありません、個々の人には一人ずつ異なる価値観があります。それらを甘受しながら、個々の患者の方々に最も適した治療を医学的に選ぶことが涵養です。正しい選択は医師の頭の中にあるのではなく、個々の患者の方々の側にあることを、多くの実体験の中から学び取っていただきたいと思います。
   今後、和歌山県立医科大学では、地域の高齢者、幼児、障害を抱える弱い立場の方々に接する機会を創出しようとしています。これらのカリキュラムを通じて、和歌山県立医科大学において学んだ「ケアマインド」が医師となった際に1つの大きな財産になることを切に願う次第です。

教育研究開発センター 教授 羽野卓三