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「ストレス」と「癒し」の研究会 ~第2回講演会の内容~

講演会の内容

日時 平成22年3月17日(水)17:30~19:00
場所 病院棟4F 臨床講堂2

講演

講演1 『性ホルモンとストレス、自律神経』
演者 上山 敬司先生 (和歌山県立医科大学医学部第一解剖学 准教授)
講演要旨 エストロゲン受容体(ERα、ERβ)は、脳内で広範囲に存在し、性行動だけでなく、認知、学習、虚血耐性、情動や自律神経機能などを修飾している。特に扁桃体内側核には、交感神経-副腎髄質系へ投射する神経細胞が多く存在し、ERαとERβも極めて豊富に存在する。閉経に伴い、ストレスに対して交感神経-副腎髄質系の反応が亢進し、エストロゲンの補充で改善することが臨床的に報告されている。実験動物でも、エストロゲンが交感神経-副腎髄質系機能を抑制し、迷走神経機能を亢進させることが報告されている。閉経後の女性に好発し、精神的・身体的ストレスにより発症することを特徴とする特異的な心疾患として、たこつぼ型心筋症が知られている。たこつぼ型心筋症の動物モデルを用いた結果から、閉経に伴うエストロゲンの低下が、自律神経機能を介して、病態形成に関与することが示唆される。一方、アンドロゲン受容体も脳内で広範囲に存在し、特に扁桃体内側核に多く発現する。従ってアンドロゲンもストレス負荷による中枢神経系の応答に影響し、男性更年期障害の病態に関与することも示唆される。

講演2 『男性の更年期障害、とくに自律神経失調』
演者 石蔵 文信先生 (大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻機能診断科学 准教授)
講演要旨 男性更年期障害は医学的には疑問の残る疾患群ではあるが、自律神経失調にもとづく頭痛、耳鳴、めまい(ふらつき感)、火照り、発汗、口渇(口内乾燥)、肩こり、腰痛、動悸、胸部不快感、息切れ、胃痛、便秘、下痢、頻尿、冷感など、女性の更年期障害と同じ症状、いわゆる不定愁訴が主体である。しかし、半数以上がうつ病や不安障害であり、自殺念慮の強い人も少なからずいるので注意が必要である。外来ではSSRIを中心に治療し、特にα・β遮断剤を少量使用することでかなりの症例で、不定愁訴が比較的早く改善する。今回は男性更年期外来500名の診療経験を中心にお話させていただきます。

(財)和歌山県医学振興会から「平成21年度講演会等開催助成」を得て、3月17日に第2回講演会を行ないましたところ、年度末の多忙な時期にも拘らず多くの医師・研究者の皆様が参加して下さいました。
ストレスに満ちた日常の生活の中で様々な不定愁訴を訴える患者さんも多く、また私たちも心や身体の不調を感じながら日々の業務をこなしている、というのが現状ではないでしょうか?ちょっと立ち止まって、私たちの生活や身体のことを見直してみませんか、というコンセプトで、「ホルモンと不定愁訴、自律神経失調、うつ」という身近な問題に焦点をあてて、今回の講演会を企画しました。

生き辛さを感じている人たちは、私たちの身の回りにも確実に増えています。石蔵先生のお話は大変わかりやすく、また聴衆を惹きつける軽妙な語り口で、しかも現代人の悩み、患者さんの訴えに真摯に取り組まれている姿勢・信念が感じられ、とても感動的でした。このような時代に求められている医療とは何かということを考えさせられました。先生のところに助けを求める人たちが殺到するということは、今の医療が患者さんのニーズに応え得ていないということかもしれません。本研究会が目指す医学・医療の方向性に一つの指針を与えていただいたような気がします。

さて、本研究会は平成22年度にも第3回、第4回の講演会を行なう予定です。テーマ、演者につきましてご意見・ご希望をお寄せいただければ幸いです。

世話人代表 仙波恵美子