和歌山県立医科大学泌尿器科 原 勲

大学医学部において臨床、研究および教育が3本の柱であることは間違いありませんが、臨床系講座の全ての基盤は日常の診療活動にあります。高い臨床能力を有する豊富な人材と優れた設備を有する大学病院が最高水準の医療を提供することは地域の住民の皆様が何よりも望んでいることであり、大学病院が質の高い医療を提供することが関連施設の医療水準を牽引する原動力にもなります。
また高い専門性と同時に徹底した危機管理を行い安全な医療を泌尿器科全般において幅広く提供することが私たちの最優先課題であり、地域の病院や開業医の先生と緊密な連携のもと地域医療を推進していく上において最も重要なことであると認識しています。
私の専門領域は尿路生殖器悪性腫瘍でありますが他に尿路結石、生殖医療、感染症、腎移植、排尿障害、小児泌尿器科におきましても診療面で積極的に取り組んでいます。また医療内容での充実と同時に忘れてはならないのが「医の倫理」です。
患者さんの視点にたち十分なコミュニケーションのもとで患者さんが真に望んでおられる診療を行う必要があります。
治療として技術的に可能であることとは別に医療者はそれを裏付ける根拠と倫理性を社会に明らかにする義務があります。
もう一つの大学病院の大きな使命は次世代を担う泌尿器科医を育成することであります。
昨今では新臨床研修制度の導入に伴い、若い医師は研究より臨床、博士号より専門医や認定医の取得に重きを置く傾向が見られます。
実地医家の育成と言った見地からすればこれで良いかもしれませんが、私は本当に優れた医師はリサーチマインドを持った医師であると思っています。
医療を構成する3つの要素として技(Art)、心(Heart)、科学(Science)が有ると言われますが、科学の見地から言えばリサーチマインドを育成することが不可欠であると思います。これは基礎研究だけでなく臨床研究においてもあてはまることであり、自分が日常臨床で疑問に思ったことを科学的な手法でもって解決することはそうした習慣を有していない医師に比べると5年、10年経った段階では大きな格差がついてくると思います。
大学以外の場においてもリサーチマインドを育成することは当然可能でありますが、一定期間大学にとどまり日常臨床以外に研究に没頭することは長い目で見れば医師として別の価値を与えてくれるものと信じています。
このホームページをきっかけに一人でも大きな志を持つ若い医師が本学に集まってくれれば望外の喜びです。