医療従事者研究者の方

研究テーマ(最近の研究の概要)

 神経生理学的手法による病態研究
  1. rTMS(反復経頭蓋磁気刺激)治療とその作用機作の研究
    米国FDAでは認可されたが日本では未認可のうつ病のrTMS治療を臨床研究として行い、ヒトを用いた脳機能・構造画像、神経生理学的検査、ratを用いた基礎的な手法を用いてrTMSの治療機作の検討を継続してきた。
  2. 精神疾患の病態研究
    TMS(経頭蓋磁気刺激)の技術を応用して、ヒトの皮質のGABA機能を評価することで統合失調症のGABA機能異常仮説を、アセチルコリン機能を評価することによってアルツハイマー型認知症の病態や内因性の精神疾患の認知機能障害の病態を検討してきた。さらに、統合失調症の病態仮説のひとつであるNMDA受容体の機能異常についてもTMSの技術を応用して検討してきた。
 うつ病の復職支援プログラムの実践と有効性のエビデンスの研究
認知行動療法を基礎としたうつ病の復職支援プログラムの実践を継続するとともに、復職後の再発予防効果に着目してプログラムの有効性のエビデンスを示し、出席率や適切な自己主張、対処行動、積極性、他のメンバーやスタッフからの注意や指摘への反応の改善が復職準備性や再発予防性と関連することをこれまでに報告した。
 脳機能・構造画像を用いた病態研究
  1. 統合失調症の病態研究
    生理学第一教室と共同で、ヒトの脳で神経伝導速度を調整する役割を担うミエリンの量を反映するMRIのT1w/T2w比の脳内変化を検討し、GAFの低下や陽性症状の強さと同比の低下が関連することを示し、統合失調症の神経発達障害の機作仮説の一つであるミエリンの形成不全を支持する報告をし、さらに、脳梁の白質線維の障害と認知機能障害の関連を検討している。
  2. 気分障害の病態研究
    DTI (diffusion tensor imaging)のTSA (tract specific analysis)解析を用いて躁うつ病・うつ病の病態を検討し、両疾患群における前頭葉を連絡する軸索髄鞘の障害と、うつ病群における脳梁の白質線維の障害と認知機能障害の関連を報告した。また、双極性障害においてミエリンの量を反映するMRIのT1w/T2w比が広範な白質領域で有意に低下していることを示した。さらに、DTIのTBSS解析と安静時機能的MRIを⽤いて、双極性障害において感覚運動ネットワークの半球間の機能結合が低下していること、および、その低下が気分の調整障害に関与する可能性が示唆される脳梁を介する白質神経線維の障害と関連することを報告してきた。
  3. 重症の耳鳴の病態研究
    情動を含む中枢神経系の機能異常が想定される重症の耳鳴りについて、その病態の検討と新たな治療法の開発を目指して、脳機能・構造画像を用いた共同研究を、解剖学第一、耳鼻咽喉科学、生理学第一講座などと進めている。
 統合失調症・気分障害における認知機能障害とω-3脂肪酸の関連の研究
統合失調症における脳内・血液中のω-3脂肪酸量の減少はこれまでにも報告されていたが、⾎液中のEPA、DHA値が認知機能と有意に相関し、認知機能は社会機能と有意に関連することを初めて報告した。対象を気分障害にも広げてω-3脂肪酸と脳構造画像、認知機能障害との関連を検討している。
 認知症疾患医療センター
平成22年10月より同センターを脳神経外科、神経内科、地域連携室と運営している。認知症の診断と治療にとどまらず、本人や介護者に対する精神面を含めた支援にも力を入れ、同センターが主催・共催する講演会・研修会等による啓発活動を継続している。活動の中でアンケートによる介護の実態やニーズの把握をおこない、より適切な支援方法を目指して修正・検討を継続している。
 てんかんの診療と研究
てんかん外来(発作外来)を継続するとともに、脳神経外科、神経内科、小児科と共同で、学会・研究会・講演の開催や患者会雑誌への啓蒙記事の掲載を通じて、県下のてんかん診療の充実、てんかんを持つ患者さんの支援に努めている。研究面では、患者さんのQOLと精神症状との縦断研究の論文発表、不安障害の合併症例の報告等を行った。また、DTIのTSA解析とTBSS解析を用いて、いわゆるてんかん精神病の発病メカニズムの検討をおこない、てんかん精神病発病群の方が非発病群に比較して罹病期間が長い傾向があること、軸索髄鞘の障害が強い傾向のあることなどを報告してきた。
 精神腫瘍学
附属病院の緩和ケアチームへ参加し、精神的症状(不安・眠れない・気持ちが落ち込むなど)の緩和だけでなく、退院支援、家族のサポート(精神的サポート・療養環境の相談)、治療スタッフのサポート等に、コンサルテーション型活動をおこなうとともに、他科と共同で症例報告や臨床研究を継続している。また、県下で行われる緩和ケア研修会等への支援も行っている。
 児童・青年期精神医学
医師のみでなく臨床心理士等のパラメディカルの職種も参加する症例研究会の月例会を継続し、県下の児童・思春期精神医学領域の診療・知識の普及・充実に努めている。
 

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