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素数について考察 (Kaneoke Y, Periodical Appearance of Prime Numbers)

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和歌山県立医科大学
生理学第一講座

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月経前症状の個人差は、胎生期に暴露する性ホルモンのバランスが関係

女性は月経に伴い体や精神状態に種々の変化が見られますが、症状や強さには個人差が多く見られます。その個人差の原因は不明でした。胎生期の前半に暴露する性ホルモン、男性ホルモンと女性ホルモンのバランスの違いは、出生後の体格や脳の発達に影響を与えることが知られています。胎生期の性ホルモンのバランスは、手の指の長さ(人差し指と薬指の長さの比)で推定できることがよく知られています。今回我々は、この指比と月経前症状の種類と強さに関連があることを発見しました。この研究は、医学部3年生の基礎配属実習で行われ、Frontiers in Medicine に掲載されました(Kaneoke Y, Donishi T, Iwahara A and Shimokawa T (2017) Severity of Premenstrual Symptoms Predicted by Second to Fourth Digit Ratio. Front. Med. 4:144. doi: 10.3389/fmed. 2017.00144)。

人差指の長さ(2D)割る薬指の長さ(4D)は、胎生期の男性ホルモンと女性ホルモンの量のバランスを示す良い指標として広く認められている。
  • 男性ホルモンが多いと薬指(4D)が長く、2D/4Dは小さい。
  • 女性ホルモンが多いと4Dは短く、2D/4Dは大きい。



安静時機能的MRIデータによるてんかん焦点推定方法の開発

Estimation of epileptogenic focus with network analysis of resting-state fMRI data

(日本神経科学学会、2010年9月2–4日、神戸にて発表。本研究は、名古屋大学医学部脳外科と放射線科との共同研究です)

約6分間の安静時fMRIのvoxelごとの時系列データ(約17万個)を用いて、あるvoxel (Vi) と他の全てのvoxelとの相関関数から、slice timing を考慮し相関係数を計算します。それらの平均値をそのvoxel (Vi)の値とします。この計算を全てのvoxelで行い、その値(つまり相関係数の平均値)が比較的高い脳部位を探索します。そのような部位は、グラフ理論によるネットワーク解析でいうHubといわれる点に相当すると考えられます。すなわち、他の多くの点とつながりがあるということです。ハブ空港のハブと同じ意味です。我々の検討では、脳波や脳病変などで2次性全般化てんかんの焦点が存在すると推定される部位にHubが存在することがわかりました。発作時にはてんかん焦点から異常な信号が脳の全領域に発信されているとすると、そのためには異常な神経ネットワークが構築されている可能性があります。そのようなネットワークは非発作時にもシナプス結合の強さとして存在しているのかもしれません。BOLD信号によるfunctional connectivity (2つの部位間の相関係数の高さ)はシナプス結合の強さを反映していると考えられているので、非発作安静時にてんかん焦点がHubとして描出されうるのかもしれません。図は、右側頭葉外側にcystのある症候性てんかんの方の解析結果です。この方は、脳波で右側頭葉に有意な発作波がみられ、左側頭葉にもいわゆるmirror focusが疑われました。Hub解析ではcystの周囲にHubが、また左側にもmirror focusと思われるHubがみられます。まだまだ検討事項が多くありますが、てんかん外科に有用な方法となる可能性があると思われる所見です。