和歌山県立医科大学国際交流センター
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留学生の体験談

体験談

ハワイ大学海外臨床実習の報告書
和歌山県立医科大学6年 佐々木梨絵  

 2017年1月7日より1か月ハワイ大学医学部の関連病院であるクアキニ病院で実習をさせていただきました。実習の内容は、大きく分けてまず初めの3週間が一般総合内科の病棟での実習で、最後の1週間が、クアキニ病院の隣の外来棟で外来診療をしている日本人の渡慶次先生のもとでの実習でした。1か月の実習で学ばせていただけたことはとても多く、具体的にどのような実習をさせて頂けたということについて以下に報告させていただきます。

   初めの3週間の病棟の実習では、レジデント(研修医2年目)、インターン(研修医1年目)、オブザーバー(海外留学生、マッチング希望者、ハワイ大学医学部生など)の3人からなるチームにオブザーバーとして配属され、アメリカの研修医の病棟での仕事を見学しました。朝はまず、インターンの先生のチームの受け持ち患者さんのラウンドについて回り、受け持ち患者さんのその日の状態を把握して、質問があればインターンの先生に質問し、聴診など簡単な診察を行わせてもらったりしたのちに、インターンの先生がカルテを書くので、その間に、患者さんのカルテを見て、わからないことをUp to dateなどで調べて自主学習しました。その後、インターンの先生がレジデントの先生と合流し、患者さんのこれからの方針についての上級医の先生との話し合いやICUラウンドも毎日見学させていただきました。また、曜日によって抄読会やケーススタディ、循環器や感染症 のレクチャーなどもあり、4日に一回のオンコールの日には、救急での新しい入院の患者さんの病歴聴取や診察にも立ち会わせていただきました。空き時間には患者さんについてのプレゼンテーション、アドミッションを書いていましたが、それをレジデントの先生が添削して下さっただけでなく、チームの上級医の先生にプレゼンテーションをさせていただけたことは私にとって忘れられない、とてもいい経験となりました。
この病棟での実習では、臨床の知識だけでなく米国の研修システムや医療の特徴についても学ぶことがたくさんありました。特に感じたことを以下に大きく3つのテーマに絞って報告させていただきます。
●チーム制(屋根瓦方式)について
前述しましたが、研修医は1年目、2年目でチームを作り、最終的な診療方針はチームの上級医の先生に相談し決定するというシステムになっています。このチームの中では、レジデントは診療の取りまとめに加えてインターンと医学生の教育も担っています。?実際に、チームの先生方は私に問題をだして、課題を与えてくださり、患者さんの説明、プレゼンテーションの機会などいろいろなことを指導してくださりました。臨床技能、知識だけが医師としてのスキルではなく、教育も医師の能力の一つ?という考えが強く浸透していると感じました。?また、学生はこのようにチームに所属することで、学生のうちから実践的な知識を身に着けられるといったことや、患者さんとのコミュニケーションにも優れているといったことも感じました。?
●General medicineについて
 日本でも、ジェネラリスト、総合診療医といった包括的な診療が最近注目されていますが、米国の研修では、すべての初期研修医にとって一般総合内科・外科をみることでそれぞれの専門へ進む前に、基本的な全身管理を学ぶことが必須となっています。日本の研修でも、基本的に様々な診療科や救急をローテートすることになっているので全身管理を学ぶことはできますが、この点は、米国と日本では大きく異なっている点でありとても興味深かったです。プロブレムを事細かに列挙し、アセスメントすることで、幅広い知識を着実に身に着けることができることは医学生、研修医にとってとても重要だと感じましたし、とても面白いと思ったので日本でもこういうカルテを書ければと思いました。
●プレゼンテーションについて
米国では、日本のように、カンファレンスや学会発表の際はもちろん、日ごろから上級医に患者さんの説明をするときにも決まった形式でプレゼンテーションを行います。研修医の仕事は主に、カルテの記載とプレゼンテーションと言っても過言ではないほど、プレゼンテーションをする機会が多いのにはとても驚きました。米国の先生方は、学生時代から何度も鍛錬しているとのことですが、人を引き付ける話し方(抑揚・目線・真の取り方・スピード)、症例のまとめ方(必要なデータ、時系列、因果関係)が素晴らしく非常に感銘を受けました。プレゼンテーションの重要性を学べただけでなく、理想の型をたくさん見ることができたので、これから、日本でもプレゼンテーションの練習を日ごろからするべきだと感じました。

   渡慶次先生の実習は、まず朝は6時半の集合までに、渡慶次先生にかかりつけになっているナーシングホームの患者さんと病棟の患者さんのラウンドをして、カルテ記載を行い、渡慶次先生やほかの生徒と集合してからは、渡慶次先生の朝のレクチャーをしていただいて、そのあと、先生と一緒に容態の不安定な患者さんのラウンドをすることから一日が始まります。カルテ記載は実際の病棟の電子カルテを使うことができ、毎日自分でSOAPを記載することができ、学生ながら研修医と同様のことをさせて頂けたのは、難しく責任も伴う分、非常に勉強になりました。回診の後は渡慶次先生の外来棟での実習ですが、診察を受けにきた患者さんの予診を取らせていただき、聴診・バイタル測定・触診・採血など身体診察も行わせていただくことができました。外来の実際の患者さんに、学生でありながら、実際の診察をさせて頂けたこと、長年家庭医として診療をされている渡慶次先生に、直接臨床手技を指導していただけたのはまたとない大変貴重な経験でした。
   渡慶次先生の、実習期間中は24時間オンコールであり、どんな時でも、渡慶次先生の患者さんの入院があれば、救急に駆けつけて、病歴聴取・身体診察・入院カルテの記載を行うこととなっていましたが、実際に救急に来た患者さんに英語で病歴聴取をし、身体診察をし、現病歴・所見・アセスメント・プランを学生だけで考えカルテを書くというのは、とても難しく、しかし、これを達成することで、出来なかったこと・出来たこともわかったという点でも成長できたのではないかと思っています。実習期間中、偶然、ハワイ大学医学部の3年生(つまり、日本の医学部5年生に相当します)と一緒に実習することになり、彼女から米国の医学部についてとても多くのことを話してもらえましたし、実習では、特に、どうしても言葉の壁も大きく、困難なことも多かったので、いろいろと助けてもらうことができました。米国の医学生はとても勤勉で、知識や臨床においても優秀であり、非常に多くの刺激をもらうことができ、偶然、現地の医大生と巡り合えたことも幸運だったと思います。米国では、日本よりも医学生に与えられている権限や、求められていることの幅が広く、学生のうちからの実際の臨床への参加度が高いということは、渡慶次先生の実習でさらに実感し、ハワイ大学で実習させていただいたことで自分自身もこういった実習に参加させていただけたことはとても勉強になりました。
   また、渡慶次先生は医大生として、また今後、医師を目指す上で大切な心構えをたくさん教えてくださいました。渡慶次先生の患者さんのことを思う気持ち、患者さんへの接し方、渡慶次先生の信念のお話から、自分が目指す理想の医師像を新しく見いだせたことは、自分にとって非常に大きな、かけがえないのない学びでした。

 ハワイ大学の臨床実習で得たことはとても大きく、このような大変貴重な機会を頂くことができたこと、実習に行くにあたってお世話になったすべての人に大変感謝しております。今後、学んだことを生かして、いい医師を目指して頑張っていきたいと思います。
   今回、実習のために支援して下さった奥田育英会様に、心より御礼申し上げます。
ありがとうございました。

 

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