和歌山県立医科大学国際交流センター
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留学生の体験談

体験談

ハワイ大学医学部留学報告書
生地 この実                

  2016年5月31日から6月24日までの1ヶ月間、ハワイ大学医学部オブザーバーシップに参加させて頂きました。最初の3週間はKuakini medical healthでの一般内科での実習、最後の1週間はTokeshi先生による実習でした。
   まず、Kuakini medical healthでの実習では、一般内科のチームに配属されました。チームは、4年目レジデント、2年目レジデント、ハワイ大学医学部3年生、オブザーバーである私の4人で構成されていました。チームの患者さんについてのカルテを読ませていただきながら勉強するという、密度の濃い実習を経験することができました。また、典型的な症状の患者さんがいると、私たちを連れて患者さんのもとに出向き、私たちに患者さんの診察をさせて下さいました。特に、4日に1度の当直の日は、ERの患者さんを最初から担当し、鑑別疾患や治療について考えることを求められ、正直なところ、自分の勉強不足を痛感するばかりでしたが、同時に、今までなら考えに至らなかった様な病態や治療を学ぶことができ、本当に充実したものであったと感じています。レジデントの先生方は教育熱心で、当直の日の空き時間には、ハワイ大学の学生と私向けにミニレクチャーをして下さり、またチームの患者さんの病態や今後の方針について教えて下さいました。その中でできるだけ多くのことを学びたかったので疑問に感じたことは積極的に質問し、また発言するようにこころがけていました。質問しやすい環境を整えて頂き、また私の拙い英語に耳を傾けて頂いたレジデントの先生方には、心から感謝しています。ハワイ大学の学生は、勉強熱心で、テストを次の週に控えているにもかかわらず病棟実習を丁寧に取り組んでおり、その姿に刺激を受けました。クアキニ病院での内科のチームに配属されて感じたこととして、内科のチーム制が確立されていると感じたことがひとつにあります。レジデントで構成されているチームがカルテの記載や、検査、治療のオーダーをします。そして1日に必ず1回はattendingと呼ばれる専門医にその日の状態や今後の方針をプレゼンし、チェックを受けるような形で病棟業務をすすめていきます。Attendingという立場の医師は通常hospitalistと呼ばれており、入院の患者を20人ほど受け持ちます。日本であれば入院している患者も、外来診察をうける患者もどちらも診察すると思いますが、アメリカでは完全にわかれていました。外来診療に関しては病院のすぐ隣の建物のなかにたくさんの医師のプライベートクリニックがあり、そちらの医師が診察し、入院が必要であると判断されるとクアキニ病院に紹介されるという流れになります。逆に、病院から退院するときも病院からクリニックへ紹介していました。入院中は必要なときはクリニックの医師と連絡をとりあいながら、hospitalist が患者の管理をしていました。こういった異なるシステムを見学できたことは日本では経験できなかったことだと思いました。
  私のチームのチーフレジデントは将来緩和ケアの道に進みたいと考えている医師でした。緩和ケアというのは治療をやめるという消極的なものではなく、最後までできるケアを積極的に続けていくものであるということを日々の会話の中で教わりました。また終末期に患者のまわりには、その家族、医師、看護師、など様々な立場の人々が存在しており、患者の終末期におけるなにかの決断をするときに必ずしもその皆が同じことを望んでいるとは限らないのです。そういったときに医療者ができることは、できるだけ多くのコミュニケーションを相互に図り、それぞれが感じている気持ちなどを同じ方向にむけるお手伝いをするということだということを学びました。私の実習中にも家族会議とよばれる機会は何度かあり、チームの一員として出席させていただく機会もあり貴重な経験となりました。
   最後の1週間のTokeshi先生の実習ですが、先輩から大変な実習だとは聞いていたので、びくびくしながら臨みました。しかし、実際に患者さんを診療し始めると、患者さんの今日の調子はどうだろう、という気持ちで毎日自然と病院に向かっていました。Tokeshi先生は、日本の武士道の気持ちを大事にされている先生で、医学だけではなく日本の歴史なども教わりました。また、自分が母国である日本について知っていることの稚拙さを痛感し、これからそういったことも学んでいきたいと思いました。ハワイには多種多様な人種の方々が生活しており、この留学の期間にも様々な国の文化や歴史にふれることができました。そのような環境に日本人として訪れる際には、自分の国の文化、歴史などについて自信と誇りをもって紹介できないといけないなと感じました。
   前田先生を筆頭に、今派遣において御支援頂いた諸先生方、国際交流センターの林さん、助成金をご採択いただいた奥田育英会、和歌山県立医科大学に心より御礼申し上げます。貴重な機会を与えて頂けたこと強く感謝申し上げます。また日本での準備期間から、この留学中に支えてくれた池田奈津子さん、本当にありがとうございました。
   この留学を終えた今、6年生という学生最後の機会に、医学に関してだけでなく文化や歴史などの様々な刺激をうけることができて大変うれしく思っております。この経験を胸にこれからもより一層勉学に励みたいと思います。和歌山県立医科大学の後輩の皆様にもすこしでも興味を持っている方には、ぜひ留学に挑戦してほしいと思います。人それぞれ受ける刺激は異なると思いますので自分の感性とともに、選択ポリクリの1か月を有意義なものにしてください。

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