和歌山県立医科大学国際交流センター
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留学生の体験談

体験談

チャールズ大学短期臨床留学報告書
山下弘鈴

2016年5月の4週間、チェコの首都であるプラハに立地する、チャールズ大学第二医学部附属病院のNemocnice Motol病院で3週間、関連病院のIKEMで1週間の短期臨床留学に参加させていただきました。

@ 実習内容
私の選択した科は、IKEMで臓器移植外科を1週間、Motol病院で小児科を2週間、産婦人科を1週間です。IKEMでは、臓器移植外科という名前の科ですが、一般外科、血管外科、臓器移植外科の手術を行っているので、臓器移植手術がない日は血管外科や一般外科の手術に入らせてもらいました。運が良ければ脳死のドナーからの臓器移植を見学できるよ、と先輩に聞いていたのですが、偶然2日目に65歳の脳死のドナーから腎臓と肝臓を摘出し、レシピエントに移植する手術の一部始終を見学するという貴重な体験ができました。Motol病院の小児科は内科だけでも、小児内分泌・小児消化器内科・小児腎臓内科・小児血液内科・小児神経内科・乳児科と6つの病棟に分かれており、各病棟20~30人前後の患者さんが入院していました。2週間の小児科での実習のうち、先生が興味のある科を聞いてくださったので、乳児科、小児消化器内科、小児腎臓内科を各科3.4日ずつ実習させてもらいました。実習の内容は、担当の先生に付いて患者さんを1人ずつ説明してもらい、内視鏡検査や外来を見学しました。Motol病院にはチェコ中から患者さんが集まってくるため、どの病棟でもベッド数が足りず、小児腎臓内科の病棟には腎臓内科の病気の子供だけではなく、深部静脈血栓症や髄膜炎の患者さんもいました。最後の1週間の産婦人科では、経腟分娩、帝王切開の見学をし、子宮円錐切除などの手術に助手で入りました。帝王切開の際、日本では手術室には妊婦さんのみ入室するのですが、Motol病院ではガラス越しに妊婦の旦那さんが手術の一部始終を見ており、その光景に大変驚きました。

A 印象に残っていること
留学を通して一番印象に残っていることは、「日本ではどうか知らないけど、ヨーロッパでは自分から動かないと、誰もあなたの面倒は見てくれないよ」と、チャールズ大学の学生から言われた一言です。IKEMでの実習が始まって3日目、私がそれまで行動をともにしていた医師がお休みでした。私は普段通りに手術室に行き、手術を見学していましたが、手術内容や患者さんの説明をしてくれる人がおらず退屈に感じていました。そんな時に偶然、チャールズ大学から実習に来ていた学生と更衣室で出会い、話していると、上の一言を言われました。日本での実習は、先生方が準備してくださったセミナーや手術の見学を行う毎日で、言われたことをこなす日々でした。チェコに実習に行く前は、チェコの病院でも日本と同じように、実習のスケジュールや内容は既に準備してくれていると思っていました。ですが、彼女に言われた一言で目が覚め、誰も説明してくれないから退屈だ、などと考えていた自分の愚かさに恥ずかしくなりました。和歌山県立医科大学での実習では、学生を最優先に考えてくれていますし、分単位でスケジュールが決まっています。日本での実習に慣れていた私は、与えてもらうことが当然になっており、自ら学ぶ・動くという姿勢を忘れていました。彼女の一言のおかげで、これまでの自分の実習・勉学に対する態度を深く反省するとともに、その時より医師、看護師問わず積極的に話しかけ、質問するように心がけました。黙っていると何もしてくれないけど、どの先生もこちらから話し掛けると労を厭わずご丁寧に指導して下さり、時には、この手術が見たいと言う私の希望通りに実習内容をアレンジして下さる先生もいらっしゃいました。

B 全体を通して
チェコでの生活は、医学の勉強はもちろんですが、それ以上に、自分の考え方や勉強の仕方を見つめ直す機会となりました。特に、今回はチェコへの留学は私1人でしたので、英語の通じない寮で部屋に入れず途方に暮れたり、寮のシャワーが水しかでなかったり(後で時間帯によってお湯が出るということを知りました)、生活の要であった電子レンジがある日突然なくなっていたりと、書ききれない程の予想していなかった事が起こりました。最初はその1つ1つに辟易していましたが、辛いと思いながら過ごす1ヶ月では勿体ないからと気持ちを切り替えてからは、多少のハプニングでは動じなくなったのを覚えています。何かある度にチャールズ大学の学生や、病院の先生、事務員さんが相談に乗ってくれ、親身になって助けてくださったからこそ、ハプニングも笑い飛ばせるようになりました。今振り返るとその全ての出来事が私を成長させてくれ、思うようにいかなかったことも含めて貴重な経験になったと確信しています。本留学を通して、想定外の物事にも動じずに対処できる力がついたとともに、自ら学ぶ姿勢を忘れないという勉学の基本となる重要な気付きがありました。また、日本の病院実習において先生方の面倒見が大変良い事、入念に練ってくださった実習内容など、その素晴らしさを再認識しました。今後はこの環境に感謝しながらも、甘える事無く、今回学んだことを胸に刻んで精進します。最後になりましたが、このような素晴らしい機会を与えて下さった前田教授、アラン先生、国際交流センターの林さん、チェコでお世話になった方々に感謝申し上げます。

 

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