和歌山県立医科大学国際交流センター
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留学生の体験談

体験談

Shandong University 基礎配属留学体験記

和歌山県立医科大学医学部三年 中 美咲

 この度、2015年11月16日から2016年2月5日までの約3ヶ月の間、中国山東省済南市にある山東大学医学部の研究室にて研究に参加させて頂きました。例年にない3ヶ月という長期間の海外留学ということで、カリキュラム的に忙しい医学生にとってはなかなかできない非常に貴重な体験をさせて頂いたと感じております。
 私がお世話になった研究室は生化学教室で、古くから中医学で使用されてきた様々な植物が抗癌作用を持つという知見から、それらの植物から化学物質を抽出し、発癌経路にどのように作用し、どの程度抗癌作用が有用か、を究明するというのが研究のテーマでした。Yuan教授は女性でとても温かく、初めての面談では「私の研究室では、お互い家族のようにして接しているから、私のことを母親と思って何でも相談して欲しいし、お姉さんお兄さんと呼んでここにいる学生たちから色んなことを学んで欲しい。」とおっしゃって下さいました。アットホームな研究室の雰囲気に不安や心細さが一気に吹き飛んだのを覚えています。研究室では、基本的にお兄さんお姉さんたちの研究のお手伝いとして、様々な実験をさせて頂き、英語論文を読み、また計2回研究室のミーティングでプレゼンを行い、読んだ論文や行った実験についてのリサーチレポートを作成しました。英語でのプレゼン発表は私にとって初めてのことで、もともとプレゼン自体が苦手だったことで、そのタスクがすごく大きな壁に感じ、発表が近くなると、緊張で眠ることができませんでした。他の学生たちの発表を見れば、自信を持った声と覇気で訴える姿に圧倒されるばかりで、一回目のプレゼンはそんな発表には到底届かない発表になってしまい悔しい思いをしました。しかし最後のプレゼンでは、他の学生に負けないよう悔いのないように自分の英語でしっかり前を見て伝えようと臨んだことで、Yuan教授から非常に良い評価を頂くことができ、大きな壁を乗り越えた達成感と大きな自信を得ることができました。この経験は自分の糧となる非常に貴重な出来事でした。
  初めてお会いした時、Yuan教授は「私は日本で二年間研究したことがありますが、先進国である日本と比べ、中国はまだまだ発展途上国だと思います。だから、設備や生活の質、色々な面で不便に思うことがあるかもしれませんが、あなたにとって何か得るものがあって欲しいと願っています。」とおっしゃいました。また、同じ寮に住む留学生からは「日本は先進国なのに、アメリカやヨーロッパじゃなくてなぜわざわざ発展途上国の中国に留学しにきたの?」と聞かれました。しかし今この留学を終え思うことは、中国は本当に発展途上国なのかと疑問にすら思うことです。またそんなことに関係なく、中国でしか学べない大切なことを学ばせて頂くことができたということです。
  その一つとして私が山東大学に来て最も驚いたのは、学生たちの生活システムです。学生はほぼ全員キャンパス内の学生寮にほぼ無料で住んでおり、そのため広大なキャンパス内には学生、さらに先生方のためのアパートが軒並み連なっている状況です。3階建ての食堂はキャンパス内のすべての人の食事を支える大切な場所で、非常に安価なため日々の3食すべてをそこでまかなうという人がほとんどでした。研究室のお姉さんお兄さんはみんな、晩御飯を学食で食べた後も10時11時頃まで研究室で過ごし、帰って寝るだけ。また、土日も基本研究室に来るという生活サイクルです。研究ってこんなに大変なものなのかと衝撃を受けている中、私と同じ医学生にあなたはどんな生活をしているのか、と尋ねると、その彼は一つ下の2年生ながら、授業を朝から夕方まで受けた後、研究室へ行き研究に参加させてもらったり学校で自習をしたりで、寮へ帰るのはいつも10時過ぎ。土日も研究室へ行くとのことでした。授業ではすべて英語の教科書で学び、居眠りなんか不可能、と彼は言い放ちました。車の免許を持っていると私が言うと、私たちにはそんな時間ないから取れないんだと言いました。全てが私にとって衝撃でした。大学生活は学生が勉学に集中できるように整備されており、学生のその熱はすさまじく感じました。中国が様々な分野で他国を追い上げ追い越すほどの成長を遂げている理由が分かったように思いました。中国へ行き、その勢いを肌で感じられた私は非常に幸運だと思います。彼らに負けてはいられないという気持ちを抱かずにはいられませんでした。
  
  また研究や勉学以外にも多くの経験をさせて頂きました。中国の冬至では水餃子を食べること、クリスマスにはリンゴを大切な人に渡すこと、旧正月に近づくと赤色の特徴的な装飾をすることなどを教わりました。まだまだ多くの新発見があり、中国の人達と多くの異文化交流をすることができました。異文化もありましたが、正月には「紅包(ホンバオ)」と呼ぶお年玉の文化があること等、さすが近隣の国と思うほど、似通う点も多くありました。
  また、住んでいたのは大学経営のホテルのワンフロアにある学生寮でしたが、そこでは様々な国からの留学生と日々交流することができました。一緒にマーケットに買い物に行ったり、映画を見に行ったり、休日に少し遠出をしたり、晩御飯を一緒に作って食べたり、深夜まで語りあったり。常に英語で会話する環境があったことや中国だけでなく他の国の人たちと異文化交流をできたことは予想外のことで本当に嬉しいことでした。また、その留学生たちが参加する中国語のクラスにも特別に参加させて頂くことができ、中国語を少し学ぶことができたのは自分にとって大きな実りでした。
    
  



まだまだ書ききれない思い出が多くあります。滞在中、上手くいかないことがあって悩んだり、悔しい思いもしたりしました。しかしその経験も含めて、中国でのすべての体験が私にとってプラスとなる貴重なものばかりだったと感じています。
最後になりますが、このような本当に貴重な機会を下さり、色々な面で支えてくださった大学の先生方、国際交流センターの林さん、奥田育英会の皆様、中国で懇意にして下さったすべての方々、家族、友達に感謝の気持ちでいっぱいです。この留学を通して自分が一回りも二回りも成長できたと実感しています。この経験を将来に活かし、人間的にも、一医療者としてもますます成長し、社会に貢献していけるよう励んでいきたいと考えています。この度は本当にありがとうございました。


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