和歌山県立医科大学国際交流センター
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留学生の体験談

体験談

Minnesotaでの基礎配属を終えて       医学部三学年 田辺 美紗子

   私はこの基礎配属の期間、アメリカの北部にある、ミネソタ州のミネソタ大学に約3ヶ月留学させて頂きました。日中は研究に打ち込み、夜はstay先の家族が一家団欒する、という生活を繰り返しているうちに、気づいたら三カ月という月日があっという間に経っていました。
   アメリカに留学して、学校での研究から学んだ事、そして学校以外での異文化に触れて の感想について主に書かせて頂きます。
  まず学校面についてですが、私はミネソタ大学のGenetics, cell biology, and developmentというラボの川上教授の元で、動物の身体の再生に関する遺伝子の研究に携わらせて頂きました。そのなかでもマウスの四肢の指先の再生能力に焦点をあて、マウスの指を切断した時に、切断する部位を変えていくと指が完全に再生する領域と、完全には再生せずに不完全な再生をするケースがあり、この完全な再生を促す因子について調べる、という研究です。
   私は、マウスの胎児の体節の数を数える仕事や脱水操作という基本的なことから学び始め、次にマウスの指先を使って凍結切片・パラフィン切片の作り方や織免疫染色法を学びました。さらに再生を促しているであろうと考えられる標的物質の発現状況を確め、顕微鏡を行いました。結果を写真に収めて画像処理をするという研究の基本操作を中心に行いました。ほかにも大腸菌を培養してプラスミドを抽出して、そこに目的の遺伝子が入っているか電気泳動で確かめるminiprepも学びました。
   また、毎週行われる研究者のセミナーに参加して、最新の遺伝子研究の分野や、医学的研究の講演を聞く事が出来ました。そのセミナーは誰でも自由に参加でき、私と同じくらいの学生から、かなり高齢の方までいて、最先端の研究についての講演を聞きに来ていました。講演の後にはいつも質問や議論が飛び交っており、そういう活発で積極的な聴衆が集まる講演会に参加するのは初めての経験だったのでとてもいい刺激になりました。また、講演での英語のレベルは、話の内容そのものが難しく、研究の知識が必要なものだったこともありかなり理解するのには難しいものでしたが、いつかそんな講演会で発表内容をしっかり理解して、意見を言えるようになりたいと思いました。
   私は今まで研究の世界をのぞいたことはなかったので、年末年始や土日もあまり休まずに朝から晩まで、ひたむきに実験に励む教授や先生方をみて、研究の世界は決して甘い世界ではなく、大変なのだということを身に染みて感じました。そんな先生方の姿をみて、自分も積極的に、そして一回一回の実験に集中して取り組もうと思い、研究室にこもっていることも多くありました。朝の8時すぎに学校に行き、きづいたら夜の8時になってい て慌てて帰ったこともあります。それだけ、研究室にはやるべきことがたくさんあり、終 わりの見えない耐久レースのように感じる一方で、見たかった標的の物質が免疫染色で綺 麗に染まった時や、綺麗に予想通りのDNAバンドが電気泳動で見えた時など、小さいこと かも知れませんがすこしでも研究につながる結果が出てきたときに、心の中ですごく嬉しかったり、他にも研究をしてる中で新たな発見もあったりして、これも研究の面白さの一つなのかなと思いました。私がこの基礎配属期間、留学して良かったと感じる理由の一つ は、基礎配属に来た学生を学生としてではなく、むしろ一人の研究員のように扱って頂けたことです。そのおかげで私も、自分に与えられた仕事に責任をもち、realな研究の世界 を体験できたのだと思います。
   次にミネソタ州とホームステイについて少し書かせてもらいたいと思います。ミネソタ 州はアメリカの中でもかなり北側にあり、カナダとの国境にあります。12月から1月に かけて、−20度近くの強烈な寒さになることもある地域で、私も今まで体験したことの ない寒さを経験してきました。大学では地下通路や空中廊下などで建物同士が繋がっており、外に出ずに建物を移動できるシステムが発達しており、暖房が良く効いているため、 多くの人が室内では半袖で生活していました。私はミネソタ州のなかでも、ミネアポリス という都市の近くに住んでおり、バスで一時間くらいかけて大学に通いました。最初は慣れない交通機関を使うことに不安でしたが、町の人は本当にみんな優しくて、困って何か 尋ねると丁寧に答えてくれ、わざわざ実際に道を案内してくれる人などもいて、多くの人 に支えてもらいました。こんなときに身に染みて感じたのは、向こうの人はとてもフレン ドリーで、笑顔で、たとえ初めて会った人だとしても、たわいもない会話で盛り上がり、 きさくに話しかけてくれることが多いということです。それゆえ私も自然と、バスのなか では知らない人ばかりなのにいろんな人とおしゃべりして笑ったり、本を読んだりと、研 究から疲れて帰ってくる私を癒してくれる貴重な時間でした。
   ミネソタの魅力の一つは、住んでいる人々が親切で協力的なひとがとても多いということです。道路が凍結しているためにブレーキが利かず少し前の車に衝突したり、スリップ して道路わきに突っ込んでしまっている光景を見る事がありました。そんなとき、ミネソ タの人達はいらいらして喧嘩したり、渋滞に文句を言うのではなく、多くの人が道に車を 寄せて道路から脱線してしまった車を動かすのを手伝ったり、笑顔で車がぶつかったのを 許していたりするのです。こんなに寒い地域だからこそ、人々が助け合って生きているの が伝わってきました。
   私のホストファミリーはちょうど私の母と父と同じくらいの年齢で、本当の娘のように 扱って頂きました。学校では研究に集中して、家に帰ってくるのはたいてい夜の7時半な ど、ほとんど晩御飯の時間だったため、いつも帰ってきて、ホストマザーやホストファー ザーといろんな話をして、ぐっすり寝る、というのが私の習慣になっていました。ホスト ファミリーといて、一番うれしかったのは、私が拙い英語を話して、言いたい英単語がでてこないときなど、どんなに時間がかかっても私が伝えようとしていることにしっかり耳 を傾けてくれて、理解しようとしてくれたことです。とくにホストマザーは英語の先生 だったということもあって、私が間違った英語を使ったら直してくれたりアドバイスをく れたりしました。また、私が質問をすると“That is good question.”とよく言ってくれたの で、自分も相手の話しに自然と入っていけるようになりました。最初の一カ月は大人同士 の会話に入ることに抵抗があった私ですが、気づいたら積極的に会話に入っていこうとする姿勢に変わっていくのが自分でもわかりました。きっとそれは、ホストファミリーのおかげで、少しずつ自分に自信がついてきたからだと思います。また、多くのパーティーに 参加し、毎週日曜日は教会に行き、たくさん友達を作ることも出来ました。日本から来た 私に日本の話を聞かせてほしいという友達や、日本に来たことがある人にはよく日本人は 本当に人柄が良い、大好きな国の一つだと褒めてもらうことも多く、そんなとき、もっと もっと自分は日本の文化を知るべきであり、日本人であることに誇りをもつべきだなと感 じました。それと同時に、アメリカにはアメリカ人の良さがあり、他の国には他の国の人 の良さがあって、お互いにそれを認めあえることがとても素晴らしいと感じました。ホス トファミリーと話したことですごく記憶に残っているのは、“私達が昔に生まれていたら、 戦争をしている国同士なんて考えられない”ということです。どんなに離れた土地に住んで いてもみんな同じ人間で、言語は異なるものの、お互いが歩み寄ればしっかりとコミュニ ケーションもとれるし、良い関係が築けるということを身に染みて感じました。
   この三カ月という期間を通して、医学に欠かせない研究の分野についての理解を深め、 さらに異国の地で新しく多くの人と出会い、異なる文化の中で自分を見つめ直すことが出 来ました。大切なのは、笑顔を忘れず積極的に新しいものを見つけて、精一杯学ぼうとする姿勢だと思います。大学生活も残り3年間ですが、学生のうちにいろんな世界を目で見 て、感じて、学んでいきたいと思いました。今回、このような貴重な留学体験をするに当 たって、協力、支援してくださった学校関係者の皆さま、またミネソタ大学の研究室の 方々に深く感謝しています。ありがとうございました。

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