和歌山県立医科大学国際交流センター
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留学生の体験談

体験談

UC Davis留学体験記
宮井優

    2015年11月から2016年2月までの約3か月間、University of California Davis(UC Davis)に基礎配属の一環として留学させていただきました。大学や研究についての紹介をはじめ、文化の違い、ホームステイの経験などについて簡単に書かせていただきます。
    Davisはカリフォルニア州の北部にある小さな町です。私が過ごした冬の時期は、和歌山より少し暖かく、雨が少ない気候でした。自転車の町として有名であり、道路には立派なbike laneが備えられており、町の中の移動は自転車が基本です。住民の方は高校や大学の学生や教職員、関係者の方がほとんどの学生の町です。町の周辺には果樹園が非常に多く、特産品としてもオレンジやアプリコットが挙げられますが、ワイン好きの方はナパのワイナリーをご存知の方もいらっしゃるかと思います。南へ電車で2時間ほど下るとサンフランシスコを訪れられるほか、サクラメントのdown townへもバス1時間でお出かけすることが出来ます。
    UC Davisは総合大学ですが、特に植物や獣医学の方面に強いことで有名です。私を含めた和医大の学生3名は、ホームステイ先のお宅があるDavisから、メインキャンパスからは離れたサクラメント市街地近くのUC Davis Medical Centerにバスで通いました。Medical Centerの敷地には病院、医学部校舎、図書館、いくつかの研究棟のほか、公園や入院患者の家族のためのホテル、職員や患者とその家族のための広大な駐車場などがあります。私はこのMedical Centerに建つUC Davis Institute for Regenerative Cures内の、Dr. Min Zhaoの研究室に参加させていただきました。
    Dr. Min Zhaoの研究室では、電場をかけた際の細胞移動に焦点を当て、創傷治癒に関する研究が行われています。細胞の持つ走電性、膜タンパクとそれにつながるシグナル経路から創傷治癒へと繋がる研究は、基礎医学を終えて臨床医学の講義が始まるまでのこの期間に触れるのにぴったり合ったテーマで、これまでに学んだ細胞生物学の分野から臨床への応用までを総合的に考えられる興味深い内容でした。実際の研究では、細胞の培養から、実験装置の組み立て、実験の操作とデータの記録、得られたデータの解析と検討が大まかな流れになりました。研究室のDr. Yao-Hui Sun、Yanさんには研究の指導やアドバイスをしていただき大変お世話になりました。短い期間ではありましたが、本格的な研究に触れられる貴重な機会をいただき、とても勉強になりました。英語でのコミュニケーションは、たどたどしくありつつも、言いたいことをシンプルに分かりやすく伝える良い練習になりました。言葉では不十分な部分で、ポイントを強調したり、表現をより正確にすることは、会話の基本で日本でも当然必要なことですが、必要に迫られてより意識して見直すことが出来たように感じます。皆さんとても優しく朗らかで、私が言葉を見つけられない時には一緒に考えて、質問し、研究の内容だけではなく英語の学習も手伝ってくださいました。英会話の知識、技術的な問題は確かにハードルになりますが、お互いのトピックを理解し、伝える努力や読み取る努力をし、真摯に会話に臨むことが出来れば会話の楽しさで帳消しに出来ると感じました。また、そう感じられる関係を築かせてくださった研究室の皆さんに心から感謝したいです。
    ホームステイは、David and Joan Anton家へ行かせていただきました。お二人が設計からこだわった、Redwoodの温かみと日の光、広いお庭が印象的な、お二人の人柄を現したような素敵なお家です。私が8時のバスに間に合うように毎日6時半に起床すると、一緒に起きて朝ご飯を食べて朝の団欒を過ごし、夜も毎日野菜中心の健康的な手料理を用意してくださりました。特に、晩御飯から寝るまでの数時間は団欒の時間として皆でリビングでお茶を飲みながらたくさんのことを話しました。大好きなJoan、Davidと過ごすこの時間は本当に楽しく、お互いのことをよく知り合い、親密に、本当の家族のようになるのを助けてくれました。弁護士のDavidは社会情勢や人権について強い思いを持っており、日本について、私自身の考えについてもたくさん話しました。日本にいると本音や思ったことをダイレクトに伝えることは時に場を乱すことになります。けれど、アメリカではまず自分の意志を持って相対し、伝えることがマナーとなります。「内容のない話には聞く価値はないけれど、面白い内容ならばどんな言葉で話しても大きな問題にはならないよ。」という言葉が印象的でした。Joanは教壇に立たれた経験があり、英語表現の指導や、lab meetingの原稿の添削を手伝っていただきました。毎日私たちのことを見守り、留学中のアドバイザーとして、時には友人として、母として最高のサポートをしてくださりました。3か月間、英語でしかコミュニケーションが取れないことは、大きな勉強のチャンスであるとともに、時には意思の疎通がうまくいかず気落ちすることももちろんありましたが、JoanとDavidが支えてくれたおかげでしっかりモチベーションを保ってあらゆることに臨むことができました。人間としてお互いに惹かれる二人に出会えたことが心から嬉しく、心からの愛をおくりたいです。
    留学に求めるものは、最先端の研究に触れること、英語力を向上させること、見聞を広めることなど人それぞれだと思います。私自身も、目標だった英会話の向上や研究への参加など、多くのことを経験することが出来ました。その中で最も感銘を受けたのは、先生方の研究に対する意欲的な姿勢や、国が違っても変わらない人間同士のお付き合いの大切さでした。学生である私たちには学ぶべきことは尽きず、貪欲に機会を逃さないこととともに、自分一人ではなく多くの方の助けがあることを意識し、謙虚な姿勢を忘れないことがとても大切であると感じました。この3か月で得られた経験やつながりは、これからきっと私を支え、また新たなチャンスをくれると思います。
    今回の機会を与えてくださった泉谷先生、Dr. Min Zhao、前田先生、羽野先生をはじめとする両大学の先生方、高田先生ご夫妻、アラン先生、奨学金を援助していただいた奥田育英会様、林さんをはじめとする国際交流センターの皆様、Joan and David、ご助力いただいたすべての方に心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

 

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