和歌山県立医科大学国際交流センター
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留学生の体験談

体験談

UCD留学報告書  恩地菊乃

今回、三回生の11月中旬よりアメリカのCalifornia大学Davis校での基礎配属の機会を頂きましたのでそのご報告をさせて頂きます。
私は泉屋先生のラボでDr. Mel Campbell先生のご指導のもと、KSHV由来のnon-coding RNAであるPAN RNAが細胞のCell signaling cascadeにどのような影響を及ぼすのかという研究をさせて頂きました。始めは何をどうしていいか全くわからず、実験器具の使い方から始まり全てのことを手取り足取り教えて頂いたことを覚えています。大学で行った実験に通じるものもあれば、いままで見たこともないようなhigh technologyな機械を使うこともあり、全てが新鮮でした。最初は自分が何をやっているのかいまいち分からず、先生に言われるがままに手を動かし、手技を自分のものにするので精一杯でしたが、結果が揃い始めて先生に報告し、この結果からこういうことが分かるねと考察の仕方を教えて頂くにつれ、自分の研究の意義や面白さに気づくことが出来ました。タンパク質がタンパク質をリン酸化し、下流にシグナルを伝えることはもはや常識ですが、今回の研究ではいままでタンパク質をコードせずjunkとして扱われながらも、なぜか遺伝子中に大量に含まれているnon-coding RNAに注目し、その量の多さゆえに重要な役割を果たしているのではないか、cell signaling cascadeに影響を及ぼしているのではないかという仮説に基づき、KSHVというカポジ肉腫の原因でもあるウイルスが唯一持っているnon-coding DNAであるPAN RNAを用いて、細胞中のどういったsignaling cascadeがそれによって活性化されているかを調べました。すると面白いことにPAN RNAによって炎症に関わるcascadeが活性化されたり、ウイルスが有利に働けるようにアポトーシスを阻害するようなcascadeが活性化される可能性があるということが分かりました。またウイルスの唯一のnon-coding RNAですらcascadeに影響を及ぼすということはヒトに大量に含まれるnon-coding RNAにはきっと大きな役割があるという可能性を視野に入れることが出来ました。研究の足がかりをつかんだところで日本に帰国するというのはとても残念ですが、これからもこの方面について自分なりに興味を持ち学んでいければなと思います。
また皮膚科のclinicの見学に伺う機会も頂きました。かねてから皮膚科に興味があり、こちらの配属先を志望させて頂いたのでこの機会は何物にも代えがたい貴重な経験となりました。アメリカでは皮膚科は最難関といわれるdepartmentの一つであるので、clinicで働いていらっしゃる先生方の向上心と能力の高さを目の当たりにして非常に感銘を受けました。白人はアジア人よりも色素が薄く皮膚がんになるリスクが高いために、アメリカでしか行われていないような手術を見学させて頂くことも出来ました。こちらの大学の先生のご紹介で美容皮膚科では世界屈指と名高い先生のclinicにお邪魔させて頂いて、後ろにつかせて頂き、最先端の美容技術に触れ、また様々な患者さんの訴えを聞くことも出来ました。健康以上の自分のQOLの向上求めて先生のところに通う患者さんの中には過剰な治療を求める方もいらっしゃいました。同じ女性として患者さんの訴えに共感を覚えながらも、そのなかで医療者としてのボーダーラインを守り、健康的にその人を最大限の美しさに導く先生の姿を見るとさすがはプロだなと思い、そういう現場を実際に見学させて頂けたのはこれから臨床を学ぶ上で大きなモチベーションに繋がると思いました。
休日はCaliforniaの様々な場所に旅行し、様々な人と出会い、様々な経験をすることが出来ました。いままで一人で旅行したことなどなかった私にとってはすべてが冒険でした。見たこと、聞いたこと、感じたことすべてが忘れられない思い出です。
また留学を共にした友達にもホストファミリーにも恵まれ、楽しく過ごすことが出来たと思います。
この3か月間で今までにないほど多くのことを学ぶことが出来ました。このような貴重な機会を下さった岡村学長、前田先生をはじめとする和歌山県立医科大学の先生方、Alan先生、国際交流センターの林さん、面倒を見て下さったCalifornia大学の先生方、今回の留学をサポートして下さった全ての皆様に感謝しています。ありがとうございました。

 

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