和歌山県立医科大学国際交流センター
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留学生の体験談

体験談

寺田 菜々子

長いようであっという間のハワイでの1ヶ月が終わりました。初めのうちは誰も知り合いのいない土地に来た孤独感とこれから上手くやっていけるかという不安で押しつぶされそうでしたが、ハワイの方々や日本からいらしていたDr、医学生に助けられて無事に過ごすことができました。 こちらに来た日に、5月にハワイに来ていた医学生から、ここで得たものは一生ものだと思うと言われました。最初は半信半疑でしたが、終わってみるとその通りだったと痛感しています。 具体的に何をしていたかというと、まず1週目はあの有名な渡慶次道場で修業をしました。日本時間の金曜日に医大での実習を終えて次の日に飛行機に飛び乗り、到着したのが現地の土曜日の朝でした。その日のうちにすぐにオリエンテーションがありましたが、私が想像していたよりもずっと簡単なものでした。あっけにとられているうちに次の日から実習のスタートです。当日は朝の3:00に病院に行きました。しかし、建物の位置は元より入り口さえもよく分からずうろうろ。

その上にカルテの書き方も分かっていなかったため、6時半の渡慶次先生の回診開始までにすべてを終わらすことができませんでした。あの時の途方にくれた気持ちは今でもはっきりと覚えています。今までOSCEや5年生での病院実習でなんとなく診察の流れを分かっていたつもりでしたが、いざカルテを書くために診察をしてみると全く何も分かっていないことに気がつき、最初は今まで何を勉強していたのだろうと愕然としました。ところが初日から絶望していた私に渡慶次先生は、君は良い医師になるから頑張れと言ってくださり、本当にその言葉に救われました。その日は帰って英語でのカルテの書き方を調べ、効率良く問診をする方法を考え直して、次の日は1:30からスタート、無事に先生の回診に間に合わすことができました。回診の後、その日に北海道からいらした先生と共に渡慶次先生の外来で患者さんに問診させていただき、時には聴診や触診もさせていただきました。拙い英語でしたが、先生から教わった通り目線を患者さんより低くし、servantのつもりで患者さんと接することで患者さんも心を開いてくださり、なんとかコミュニケーションをとることができました。

 日々回診をこなしていく中で打ち解けられて、問診がスムーズにいくようになった患者さんもいましたが、中には意識状態があまり良好でなく、上手くコミュニケーションが取りにくい患者さんもいらっしゃいました。今日は昨日とは違うのにどこがどのように悪いのか判断できずとても困りました。けれども一緒に回診をしていた日本の先生に相談させて頂き、原因を考え解決できたときは本当に嬉しかったです。

 渡慶次先生はこうした実習を私たち日本の医学生や日本から実習をしに来た医師にボランティアでなさってくださっています。先生曰くそれは私達のためではなく、私達の将来の患者さんのためであるからだそうです。先生から伺った、医学を発展させてきた偉人達の逸話を聞いているうちに私が今学んでいることはいかに貴重な知識であるのか、手にしている聴診器はどれだけの想いの詰まった道具であるのかということに気がつかされました。渡慶次先生は先に先輩方が述べられてきたように本当に素晴らしい先生で、医師になる前にこの先生にお会いできたことはとても幸運なことであったと思います。  

内科での3週間は、英語力にも医学の知識も秀でていない私にとっては難しい質問が飛んできて、なかなか大変でした。PocketmedicineとiPhoneを片手に必死にprotocolを調べノートに書き写してはレジデントに説明して、また次の質問がきて、といったように実習が進んでいきました。先生方は優しく、お忙しい中でも私達にしっかり教育してくださいました。observerとして参加する形でしたが、私達がやりたいと言ったことはできる範囲でやらせてくださり、私は患者さんのカルテを書き写させていただき、そこから治療方やAssessment and Planの書き方などを学びました。 実は渡慶次先生に誘っていただいて、内科のoffの日も先生の回診に参加させていただいていたので、1日しか完全な休日はありませんでした。けれども、内科が早く終わった日などに日本から来ていた医学生やdoctorとハワイのビーチやショッピングセンターに行きました。ビーチが綺麗でパンケーキが美味しいのは言うまでもありませんが、ハワイの人々は目が合えば微笑みかけてくれる本当に素敵な方々で、そういった雰囲気は何度も孤独感に負けそうになった私を助けてくれました。そして一緒に実習に来ていた他大学の医学生や日本から実習に来られていたdoctorの方々には実習中にも、offの時にも沢山お世話になりました。彼らがいなければ、この4週間をやりきることはできませんでした。本当に心から感謝しています。 今回ハワイで学んだことが今すぐに、例えばこれからやってくる試験の嵐などに役に立つかと言われたらそうではないことの方が多いと思います。もちろん、去年医大で実習した人数と同じくらいの患者さんの数を1ヶ月で診させていただきましたし、とても勉強になりました。でも、それだけではなくて、きっとこれから先の人生で何かを選択しなくてはならない時、ハワイに行かなかった自分よりも良い決断ができる、と確信できるようなものが得られました。 留学をするのは、時間も、お金もとてもかかります。それだけの投資をしても、必ずしも楽しい思い出ばかりができるというわけではないと思います。そして、人によって得るものは全く違います。 私にとってここで得たものは、たくさんの人との出会いです。わずか4週間でしたが、様々な人生を歩み、それぞれの考えを持ち生きている人達に出会うことができました。その人達からもらった言葉を忘れないように書き出していたら、いかにこの4週間が私にとって意味のあるものだったかが改めて分かりました。何かを成し遂げた偉い人の話を聞くことも、本を読むことも私は大好きですが、自分が体験したことが結局は一番私にとって糧となっていると思います。 今回このようなチャンスを与えてくださったことに、留学に関わってくださった全ての人に本当に感謝しています。坂口先生、前田先生を始めとする留学を勧めてくださった先生方や先輩、不安だった時に励ましてくれたクラスの人達、試験の時から応援してくれ出発前に応援メッセージまでくれた友達、いつも電話で励ましてくれていた家族、寂しくないようにと留学中も連絡をくれた人達。そういう人の大切さも離れて暮らしてみて改めて感じ、いかに自分が幸せだったのかを知りました。 まだまだここには書ききれないたくさんの事がありますが、とても長くなるので割愛します。もし後輩の皆さんでこれを読んで少しでもハワイに行ってみたいと思った方がいてくだされば、諦めずチャレンジしてください。ハワイは必ずあなたに必要なものが得られる場所であると思います。

 

 

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