和歌山県立医科大学国際交流センター
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留学生の体験談

体験談

チャールズ大学短期留学実習体験報告
蓮下 雄大
今回、チェコ共和国プラハのCharles university in Praha, 2nd faculity of MedicineとIKEM(Institute for Clinical and Experimental Medicine)で臨床実習を行う機会を頂きました。
Charles universityでの小児救急科・小児腎臓内科2週間、放射線医学科1週間、IKEMでの臓器移植科1週間、合計1ヶ月間の実習を通じて考えたこと、感じたことを中心にここに報告させて頂きます。
そもそも、今回この交換留学プログラムに参加するにあたっての目的は、

  1. 日本とチェコの医学教育における違いを、実際に経験する、という形で感じたい
  2. 日本ではできない経験をし、それについて知る機会にしたい

というものでした。
本大学では、交換留学プログラムに基づいて、毎年、チェコCharles university in Pragueを含む各大学から交換留学生がやってきます。彼らは僕達の臨床実習クループに入り、共に実習に臨みます。五年生での臨床実習の際に、同じグループで留学生と共に実習するチャンスが何度か有りましたが、どの留学生も卓越した知識と、実践的で一歩踏み込んだ知識を持っていました。彼らが言うに、‘自国の臨床実習は、より実践的。だから必然と知識も教科書的なものよりも実践に則したもののなるんだ’ということでした。
何がどういう風に違うのか、将来医療に携わるものとして、世界の中での日本の医学教育がどのようであるかを知りたいと思い、今回の交換留学プログラムに参加したいと考えました。
そして、今回の交換留学プログラムではその違いを明確に感じることが出来ました。

Charles universityの医学教育システムでは4,5,6年生は午前中に病院で臨床実習、午後からは講義、セミナー、自習となっていて、4年生で各診療科の臨床講義を終えてから5年生以降実習にはいる日本のスタイルとは異なるものでした。
日本では臨床実習は基本的には朝から夕方まで一日中というものに対し、チェコでは病院での実習は午前中のみというもので、時間だけでみるとは約半分しかありませんでしたが、各Drの中でも、午前中は学生教育の時間、との認識が徹底されていて、実習内容はかなりみっちりしたものでした。
問診、身体所見、処置の一部からカルテの記載まで、Drについてもらって学生が主体的に行います。小児救急科(病棟)では患者の治療、管理が主体となっていましたが、例えば輸液を行っている患者であれば、輸液の種類、輸液量、それに対する患者状態の評価も全て考察し、まず学生がカルテに記載します。その後、Drがそれをチェックし、質疑応答があり、必要であれば訂正が入り、その記載がそのままカルテに登録されます。
カルテはチェコ語のため僕が実際にそういう指導を受ける機会はありませんでしたが、もしあってもまともなものはできなかっただろうというのが正直なところです。
もちろん回診中に質問を受ける事がありましたが、例えば、‘この患者の治療と管理はどうするの?’という問いかけに関し、薬の名前や処置名などの治療法は答えられても、具体的にどれだけ、どのように管理するかは答える事ができませんでした。
医師として実際に働くにあたり必要な全てのトレーニングを、学生の臨床実習が担っていました。彼らの言っていた‘実践的’は意味はすぐに感じることのできるものでした。
学生に聞いた話によると、チェコでは日本の医師国家試験のような統一されたものはなく、大学卒業=医師として働ける、ということになっているそうです。そして、日本では卒後研修医として、トレーニングを受ける明確な制度がありますが、チェコではそれがなく、大学を卒業した次の週から、研修医ではなく、医師として働くようです。
そのため、学生の臨床実習で日本の研修医が行う領域のことが既に求められている、というふうに解釈できました。
臨床実習の内容についてはもう一つ、各患者の中での医学生の位置づけにも違いがあると感じました。学生は患者(小児科ではその保護者含め)から当然のように問診、身体所見をとって、処置の一部まで行います。
医学生であるのだから、問診をする、身体所見をとる、治療、処置に参加する、、、それが患者のなかでも当然のものと了解されていて、医学生が実際の患者に接するハードルはより低いものであったと感じました。日本では、医学生であっても、まだ学生であるのだから、、、とういう反対の面がより強調されているように感じました。
今回の臨床実習では、希望していた通り、貴重な体験もすることが出来ました。
ひとつは、IKEMでの臓器移植科での実習です。ここでは腎臓移植、肝移植を見学させて頂きました。チェコの臓器移植に関する制度は、おおまかには、例えば本人が生前に移植拒否の意思表示をしていない場合は、誰もがドナーになりうるというもので、日本に比べ、制度的にも臓器移植に対する気持ちの面においてもより抵抗のないものであると感じました。もちろん、移植手術を見学すること自体僕にとっては初めてで手術そのものが新鮮なもので、驚くべきものでした。
日本で稀な疾患を見ることができたというのもまた貴重な経験になりました。Cystic Fibrosis(欧米では普通に見られる遺伝疾患であるが、アジアではかなり稀である)がその一例になりますが、Drたちは僕が経験するのは初めてであると知り細かく説明してくれたり、資料を印刷して渡してくれたりとかなり親切に指導頂けました。
今や日本でも欧米人を見ることは稀ではないので、そういう経験が今後どこかで生きるのではないかと思っています。

そして、実習とは離れますが、世界遺産の街、プラハでの一ヶ月間の生活も貴重なものになりました。
病院からプラハ中心地まで地下鉄で一本、地下鉄のエスカレーターを登れば9世紀より残る美しい街並みが目の前いっぱいに広がっています。オペラ、プラハ春の音楽祭(Praha Spring)等、チェコの文化的側面にも気軽に触れ、そして、ビール消費量世界一の国でビール文化を楽しみ、至幸の時間も過ごすことが出来ました。
ここには書き尽くすことが出来ませんが、チョコの医学教育的側面やその背景、日本との違いを感じ、そしてチェコの文化性、国民性までにも触れる事ができた今回の留学・滞在は僕にとって忘れることの出来ない貴重な体験となりました。

このような素晴らしい機会を与えてくださった先生方、そして今回の留学にあたり様々なサポートを頂いたAlan先生、国際交流センターの林さん、そして現地でお世話してくださった先生方、学生、全ての方々に感謝しています。 ありがとうございました。

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