和歌山県立医科大学国際交流センター
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留学生の体験談

体験談

UC Davis 留学体験記
上田 彩加
私は2015年の1月3日から3月1日までの二ヶ月間、UC Davisの皮膚科ラボに留学させて頂きました。ここで得た貴重な体験についてお話します。
I have a good news and bad news. Which do you Want to hear first?
これはアメリカでテレビドラマや映画などでよくジョークを交えて使われてるフレーズで、実際の生活でも耳にしました。あらかじめ、相手に良い話と悪い話があることを知らせておいて、さらに決めてもらう。面白いと感じるとともに論理的思考のアメリカらしいなとも思いました。日本語なら悪い知らせを伝える時は『あの、実は、、、』と言葉を濁しながら切り出すことが多いでしょうか。
留学中はこのような小さなことから大きなことまで日本とアメリカの違いを身にもって経験しました。特に先程も話したような論理的思考という部分は研究の仕方、姿勢から私生活の端々までに見えた気がします。そのような体験を交えて、まずは留学中の『大変だったこと"Bad News"』からお話しようと思います。
大変だったこととして最も印象に残っているのがアメリカの労働時間制度、frextime systemです。この時間からこの時間まで仕事する!と決まっている日本とは異なり、労働者(研究員)が自分で働く時間を決められます。1週間分の仕事をきちんとこなせば良いので、午前はデスクワークをして、午後は実験をするも良し、早く来て早く帰っても良しといった、いかにもアメリカらしい論理的な働き方です。この制度はアメリカ生活に慣れてからはとても融通が効いて良かったのですが、初めは自分で自分の時間を決めるということに戸惑い、ラボに行っても何も実験がない日はもらった資料をただただ見返して時間を潰したりするだけでした。
自己判断に任されているというのは研究の面でも同じで、初日にLaboのBossであるDr.Maverakisと軽い面談をした際も、自分がなぜこのラボに来て、何をしたいのか、何に興味があるのかを聞かれました。私はまだ専門的な知識もなく研究も授業の一環でしか行ったことがなかったので、この質問にすぐには答えられず、留学が終わるまで何度も自問自答を繰り返しました。結局、このラボでSenior Researcher として働かれているMichiko先生のアシスタントとして、"Brest milkの炎症反応に対する抑制効果"についての研究を進めることになりました。アシスタントといっても、研究の流れと基本的な実験操作については教えて頂きましたが、実験の原理を知るために論文を読む、操作方法を調べる、研究の順番や時間(何時に操作初めて培養して、次は何時から、、、など)を計画する、初めて使うソフトでデータ処理をする、研究をパワポにまとめるなど自分で出来ることは全て行わなければならず、さらにそれを英語で行うということで、困難の連続でした。実験も日によっては長時間続き、上手く予定通り行けば時間内に帰れるし、失敗すれば時間内に帰れないのはまだ良い方で、場合によっては準備に1週間、実行に3日間かけたものが無駄に終わってしまいます。また、もともと先生方が全て入念に用意してくださり、初めから結果が見えている実習と違い、実験が上手く行っても結果が予想していたものと異なるということが何度もあり、なんで?という困惑とやるせなさが募っていきました。
とにかくアメリカでの留学生活の初めは慣れない生活に加えて、言われたことを言われた通りにするといった"日本式"が通じず、自分で決めて行動する"アメリカ式"がもちろん当たり前なこと、とにかく実験すればいいとおもってアメリカに来てしまった自分の認識の甘さに気づかされました。このようなことに気づけただけでも私としては大きな進歩ですが、このままではいけないと思い自分の中で意識改革したことがこの後にお話する『留学して本当に良かったこと"Good News"』に繋がったと思います。
このままではいけないと思った私がまず始めたことは、現状を理解し、今自分が出来ることは何かを考えるということでした。現状は先ほどお話した通りで、空き時間に研究する上で必要な基礎的な知識を勉強し直したり、この研究分野における最近の論文で重要なものを読むことで、研究と実験を根本的に理解しようと思いました。この研究分野は主に免疫学と細胞微生物学だったのですが、留学前に授業を受けて勉強していたことが役立ちました。基礎の勉強を最近の論文については、Super visorであるMichiko先生に勧めてもらい、疑問点があれば教えて頂きました。また同時に、学んだことや実験で行ったことをノートにまとめたあと、留学の最後に予定されている発表会と、週に一回あるミーティングで1週間に行った研究内容を報告するためにもPowerPointを作り始めました。受身の状態から積極的に活動するようになってからは、いくつか変化が現れました。一つ目は、時間の使い方が上手くなって1日をすごく有意義に過ごせるようになりました。ラボでの仕事も計画と実行を繰り返すことで慣れたせいか作業効率が上がり、実験自体に興味が出て、楽しむこともできました。二つ目は、ラボの人達と話す機会が増えたということです。それまでは、なるべくラボのみんなに迷惑をかけないということばかり考えて話しかけるのをためらっていたのですが、分からないことがあったら聞く、とにかくコミュニケーションをとるということが重要だと思い始めました。実際、話しかけたら快く教えてくれ、困っていた時には励ましてくれたり、本当に助けられました。おかげで、あらゆることに対してポジティブに考えるようになれた気がします。
発表があった最終週は、これまでに行った実験とデータの考察と発表の練習にほとんどの時間を割きました。考察において予想に合わないデータをあまり見せないようにすることしか考えてなかった私に、『結果は事実だから予想に結果を合わせるのではなく、結果に合わせた考察をすれば良い。予想に合わなかった結果も含めて重要な研究材料だから。』と言われて、基本的だけど研究を行う上で大切なことに気づかされました。Michiko先生にPowerPointの最終的なチェックを受け訂正していただいたおかげで、発表は無事に終えることができました。
この留学では研究についてはもちろんのこと、アメリカの医療制度や研究室の在り方、自分で考えることの大切さなど、言葉では表せないほどの多くのことを身を持って経験し、学ぶことができました。研究のアドバイスを全面的にしてくださったMichiko先生、お世話になったラボの方々、そして私をラボに受け入れてくださったDr.Maverakisに感謝致します。
研究についてばかり書いてきましたが、このアメリカ生活を楽しめたのはホストファミリーのJoanさんとDavisさんのおかげです。アメリカで過ごす中で出来るだけリラックスして過ごせるようにと毎日の美味しい食事から困ったときの相談、アクティビティ(詳しく書きたいのですが、量が多くのなるので他の3人に任せます、、、)と何から何まで本当にお世話になりました。この留学が最高の経験となったのもこの方たちの存在があってこそだと思います。あと、高齢であるのに関わらず、ワイナリーに連れて行ってくれたり、食事に呼んでくれたりといろいろと気づかってくれたMartyさんとBurneyさん、セラピードッグの見学に連れて行ってくれたMarikoさん、他にもお世話なったたくさんの方々に出会えて本当に良かったです。普段の生活ではこれだけ様々な人に出会って話すことはないので、良い経験になりました。
そして、Davisへの留学のプログラムを組んでくださった高田先生、洋子さん、様々なことでサポートしてくださった泉谷先生とご家族にお礼申し上げます。高田先生と洋子さんの研究への姿勢、聞かせていただいた貴重なお話など今後に活かせるように頑張ります。
最後にこのような機会をくださった和歌山医大の先生方、留学の様々な手続きをしてくれた林さんに感謝します。ありがとうございました。
以上で報告を終わらせて頂きます。

                        

ヨセミテ国立公園で泊まったペンション前で    ラボにて、本当にお世話になったMichiko先生と。Joanさんと。


      

高田先生と洋子さん、泉谷先生と。 念願の          バレンタインデーに合わせてみんなで赤い服
カリフォルニアロールは美味しかったです。          を着ました。

 

 

 

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