和歌山県立医科大学国際交流センター
| ENGLISH | JAPANESE |

留学生の体験談

体験談

ハワイ大学医学部留学報告書

出口蓉子                

 2013年5月6日から6月1日までの1ヶ月間、ハワイ大学医学部オブザーバーシップに参加させて頂きました。最初の3週間はKuakini medical healthでの一般内科での実習、最後の1週間はTokeshi先生による所謂『Tokeshi道場』での実習でした。
まず、Kuakini medical healthでの実習では、一般内科のチームに配属されました。チームは、3年目レジデント、1年目レジデント、ハワイ大学医学部3年生、オブザーバーである私の4人で構成されていました。驚くことに、私の配属されたチームのメンバーは皆、他国に国籍があるという、非常に国際色豊かなチームでした。ハワイ大学の医学部生と共に患者さんを受け持ち、問診や診察、カルテ記入など密度の濃い実習を経験することができました。特に、4日に1度の当直の日は、ERの患者さんを最初から担当し、鑑別疾患や治療について考えることを求められ、正直なところ、自分の勉強不足を痛感するばかりでしたが、同時に、今までなら考えに至らなかった様な病態や治療を学ぶことができ、本当に充実したものであったと感じています。レジデントの先生方は教育熱心で、当直の日の空き時間には、ハワイ大学の学生と私向けにミニレクチャーをして下さったり、また、典型的な症状の患者さんがいると、私たちを連れて患者さんのもとに出向き、私たちに患者さんの診察をさせて下さいました。特に、外国人である私は、当初慣れない環境のためか、相当疲れ切った顔をしていたようで、『Are you O.K?』といつも気にかけて下さり、仕事後(おそらく早く帰りたいはずなのに)わざわざカルテをチェックして下さったり、チームの患者さんについて教えて下さいました。質問しやすい環境を整えて頂き、また私の拙い英語に耳を傾けて頂いたレジデントの先生方には、心から感謝しています。ハワイ大学の学生は、勉強熱心で、学生とは思えないほど責任感をもって実習に臨んでいる印象で、患者さんに対する言動一つ一つが愛情に溢れ、かつ的確なものでした。空き時間は、受け持ち患者さんについての議論をしたり、私のささいな質問に答えてもらったり、あるいはクイズを出し合ったり、はたまた世間話に花を咲かせたりと、彼女の助けなしには、今回の実習がこれ程までに充実したものではなかったと確信しています。同じ医学生として彼女から学んだことは計り知れません。
さて、最後の『Tokeshi道場』ですが、前評判として相当大変な実習だとは聞いていたので、内心びくびくしながら臨みました。更に、基本的にlong sleeperな私にとって、朝日の未だ昇らない深夜に起床し病院へ行くという行動自体、成し遂げられそうにない課題でした。しかし、実際に患者さんを診療し始めると、自分自身の記したカルテが正式なものとして取り扱われるという責任感と恐れの方が大きく、患者さんに何か起きていないかと心配で朝は自然と病院へ足が向きました。Tokeshi先生は、患者さんへの愛情と熱意に満ち溢れた先生で、患者さんからの信頼が目に見えて分かりました。実習中、受け持っていた患者さんがお亡くなりになり、初めてだったということもあり取り乱していまいました。しかし、先生は静かに患者さんの死を悼み、それが最後に患者さんに対してできる仕事だからとおっしゃりました。患者さんの死は辛いけれども、できる限りのことはしたので悔いはないのだと。そして、これから私たちはたくさんの方の最期を看取ることになるのだと、その時に悔いの残らないように日々、一期一会の気持ちで診療しなければならないのだと、言葉を掛けて頂きました。先生の言葉とあの患者さんのことは一生忘れることはありません。外来診療では予診と診察をさせて頂きましたが、患者さんは皆さん親切で、なかには英語の発音を直して下さる方がいたり、日本語が分かるけれど私たちの勉強のために英語しかお話にならなかったり、色々と質問が飛んできたりと、医学生を教育しようという患者さんの協力には頭が下がる思いでした。毎朝先生が話して下さる医学の先人たちのお話は興味深く、医学の奥深さと神秘に魅了されました。なかでも、華岡青洲先生のことについて先生が話された時は、和歌山出身者として大変誇らしく、同時に世界的に尊敬される華岡青洲先生についてもっと深く勉強しなければと感じました。Tokeshi道場で過ごした一週間は本当に濃密でした。Tokeshi先生と、共に過ごした2人のチームメイトには心から感謝しています。
正直なところ、実習が始まる前日まで、本プログラムに応募したことを後悔していました。初めての留学、拙い英語と医学的知識など、挙げだすときりのない不安要素…。和歌山が恋しくて、おそらく生まれて初めてのホームシックに罹ってしまいました。初日は、英語の環境に戸惑い、『今日はどうだった?』というレジデントの先生からの問いに、思わず『Teribble…』と答えそうになるくらいでした。そんな私が最後には、ハワイから帰りたくないと思う程、この実習を楽しめたのは、多くの方の支えがあってこそです。共に過ごした日本人学生、特にルームメイトには様々な場面で助けられました。時間を見つけては出掛けた海、山、おいしいお店など、彼女抜きにハワイでの生活は語れません。チームの先生方の招待でレジデントのフェアウェルパーティーにお邪魔したり、最後の当直の日には中華パーティーをして頂いたり、暇な時間に皆でゲームをして遊んだりと、これらもまたハワイの素敵な思い出です。自信がないなりにも、頑張ってトライして良かったと心から感じています。ハワイでの実習を少しでも考えている方がいれば、是非チャレンジして頂きたいと強くお薦めします。
美しい自然のみならず、目が合っただけで、にっこり微笑んで挨拶を交わしてくれるHawaiian hospitalityが、世界中の人々を魅了し続けるのだろうと感じます。
最後に、このように貴重な経験を提供して下さった、大学、国際交流センターをはじめとする全ての方々、また、昨年より本プログラムへの道を切り開いて下さり、強く薦めて下さった2人の素晴らしい先輩方に心から感謝しています。ありがとうございました。

copyright(c)2008 wakayama medical university, all right reserved